#17 カリスマブロガー⑥
キリンを見ている。依頼者が、ずっと見ている。僕は、首を長くして待った。このまま待ったら、キリンになり兼ねないくらい。麒麟という漢字を、サイン色紙に、何個も何個も書いていった場合。真っ黒になる。そんな長い時間、ずっとキリンを見ていたから。このままだと、頭が三つの『キリン怪獣』に見えてきちゃうよ。と思い始めてしまった。そのくらい、依頼者はキリンをずっと見ていた。
今は、絶賛黙り中だ。だから、楽だ。キリン駄洒落や、キリンジョーク集が出せるかもしれない。そのくらいキリンについて、考えていた。キリンの前にいたら、キリンを考えるしかない。たまに、ノットイコールのことが、頭をよぎることもあった。それは仕方がない。ノットイコールは【≠】と書く。キリンの【キ】に似ている。だから【≠リン】と考えていた時期は長かったと思う。
依頼者は、早口でたまには、違うことも言う。でも、基本は同じことの繰り返しだ。また、キリンキリン言い出した。先程までのキリンの言い方は、ノーマルだった。その前のキリンの言い方は、疑問系だった。『キリン? キリン?』だった。そして今は、エンジンふかし系だ。キリィーンキリィーンだ。これは、詳細を小さく隅に、書かなくてはならない。よくは知らないが、ト書きみたいなことを書かないといけない。スマホメモに入力しているから、「」とか()を使って、入れようと思う。
やっと動いた。あんなに動かなかった依頼者が、キリンの前から動いた。コアラやナマケモノや、ハシビロコウだって、もう少し動くだろう。象のゾーンに向かった。また、依頼者が黙ってしまった。あんなに喋りそうだったのに。僕は、人を無口にする才能があるのか。そうだとしたら、一番お喋りな人を、黙らせたい。世界一お喋りな人を黙らせたい。なんか、依頼者の口元を見たら、キリンが何かを食べる口を再現していた。これは、カッコを使って書き加えるべきだ。
やばい、象のゾーンってダジャレを言っていた。無意識に、ダジャレが出るようになってしまった。ダジャレの神様に、愛されてしまった。ダジャレが上手いより、オシャレが上手いって言われたい。駄洒落とお洒落。似てるけど、全然違う。僕は、エレファントになりたいよ。違った違った。エレファントとエレガント。似てるけど、全然違う。僕がなりたいのは、上品という意味のエレガントの方だ。
たぶん、象の鼻を、こぶし何個分か、測ったりするだろう。象は目がクリクリしていて可愛い、とかも言うだろう。そう、予想した。ゾウゾーンに着いて、依頼者が見始めた。ヤバい。このままでは、メモも僕のダジャレメインになる。依頼者は、たくさん言葉は喋っている。だけど、無駄な喋りが多い。ブログのネタにはならない。ゾウゾーンを多用さえすれば、なんとかカタチにはなると思うが。
ダジャレはしっかり、メモにいる。たぶん、このまま渡すだろう。ダジャレが、ブログに乗ればいいな。そう思ったりしている。依頼者は、特に手を動かしていない。象の鼻の長さが、こぶし何個分かも、測ってなかった。でも、その場で、象の鼻に乗るパントマイムみたいなものをしていた。パントマイマーでも、躊躇する。飼育員さんでも、やらない。そんなやつだ。今は、聞いた言葉をメモするというより。状況をメモしている。少し複雑だ。




