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#16 カリスマブロガー⑤

「キリンって、ツノがいっぱいあるな」

そう、ひとりごとっぽく言っていた。

「キリンって、5本もツノあるよ」

そんなことも、大きい声で言っていた。

それを、しっかりとメモした。これは、どっちだ。どっちなのだろうか。これは、どっちだ。どっちなのだろうか。動物のキリンなのか。難しい漢字の『麒麟』なのか。悩んでいるのは、それではない。麒麟は、ここにいるはずがないから。今、どっちなのかと思っているのは、声を出している目的だ。


 いつも通りで、あんな説明的な文章を、言うか。あんな大声で言うのか。僕がメモをするための、あえての声出しの方かもしれない。キリンのツノが、5本あるなんて知らなかった。キリンは、高い木の葉っぱを食べるために、首が伸びた。そんなことは、聞いたことがあった。でも、それは知らなかった。これは、ネタになるヤツだ。ブログのネタになるヤツだ。会話したいとか言っていたが、普通に僕は空気だ。


 キリンと何回言っただろうか。依頼者さんは、キリンという言葉を連発してる。連発系の人だった。見たものをそのまま、口にする人だった。ずっと、キリンキリンと言っているから、胃がキリンキリンした。胃が痛くなった、ということだ。大喜利とか演芸とかする番組だったら、座布団2枚は貰えていただろう。こんなことを、いつも考えてしまう。


 いつも、変な考えばかり浮かぶ。意見を言うときも、変が口から出てしまう。だから、お酒を飲んでいるのかよ。瓶ビール一本、飲んで来たんじゃないか。そんなことを疑われることが、たまにある。僕は下戸だ。昔から進化していなければ、下戸だ。カエルじゃない。カエルは、ゲコゲコかゲロゲロだから。今もシラフであることは、言うまでもない。まあ、今見ている動物は、ジラフなのだがね。キリンは英語で、ジラフなのだがね。また、座布団2枚相当の答えを出してしまった。


 予測変換が、かなり役に立っている。これで、依頼者が喜んだとしても、予測変換の功績だ。キリンと一回入力すれば、ワンタッチで、キリンという文字の量産が可能になった。普段は、キリンという単語を入力しない。だから、ほぼ初めてキリンと入力したと思う。もう、一生分のキリンを使ったと思う。まだまだまだまだ、止まらない。依頼者の、キリン唱えが止まらない。もう、キリンがないよ。また、座布団が貰えるかな。


 ずっと、繰り返していたが、やっとキリンから離れた。やってきた子供に、キリンの前を奪われてしまったからだ。結果的には、キリンから、切りん離されたという感じだ。『座布団、全部持ってって!』みたいに言われるくらい、しつこかったから。脳内なら、いくらしつこくても、いいのだが。ハリウッド女優カリス・マブロガーの一生。そんな小説を書いた方が、自分には合っているかもしれない。そう思ったりした。子供が、その場からいなくなってから、再びキリンの前に来ていた。僕と依頼者、どっちもしつこいのだ。


 依頼者は、キリンの首の長さを測っていた。右手をパーにして、いっぱいに広げて。これは、ブログに役に立つのか。キリンの首の長さを、面白おかしく記事に出来るのか。でも、やってくれるだろう。だって、ブロガーの前に、カリスマが付いているのだから。キリンの前には、もう25分はいる。このままだと、1時間越えそうな勢いだ。もう、キリんがない。そんな感じだろう。キリンがない、という駄洒落は、今が一番の使い時だろう。そうだろう。

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