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#11 馬鹿な高校生⑩

 男子高校生との仕事は、まだ一日が終わっただけ。それを忘れていた。完全燃焼気分で、やってしまっていた。幼稚園の年少の甥っ子にだって、これは分かるようなことだろう。甥っ子には、叱られる案件だろう。オイッ!コノヤロウってね。甥っ子だけに。二日目に向けて、気合いを入れなくてはいけない。二日目っていう漢字が、ビル街に見えなくもないな。そう、思ってしまった。また、変なことしちゃってる。


 二日目が始まった。まだ、一週間が終わるのは先の先だ。でも、楽しくなっていた。楽しくなっていたけど、本当に楽しいかは、よく分からない。楽しくしなきゃという気持ち。その気持ちを、持ちすぎた。その結果、その偽りの気持ちを、本当の気持ちだと錯覚し、楽しいと感じてしまっている。そのパターンもある。だから、よく分からない。いや、たぶん、普通に楽しい方だな。


 二日目も、自転車旅は楽しかった。やはり、楽しかった。この仕事は、想像以上に、幅広く出来るかもしれない。想像していなかった。記録の仕事で、自転車旅するとか。これも、想像していなかった。曾祖父の名前が、宗三[そうぞう]さんだったこと。これを知ったのは、小学生の頃だったが、想像していなかった。どこでも記録はするけど、スカイダイビングNG。それだけは、お店の項目に記載しなくてはならない。


 もう最終日になっていた。早いものだ。後半は、バラエティー番組のナレーションベース並みのスピードだった。三日目も四日目も、雨だった。五日目と六日目は、曇っていた。心は晴れていたのに。まあ、最初の頃は、心が腫れていたかもしれないけど。飴なめながら、雨の中を疾走した日々。そんな日もあった。それが、よみがえってきそうで、それほど、よみがえってこなかった。


 土日は、部活動をメモした。なんか、部活動なら見学しても、いいらしかった。パソコン部だった。パソコン部も、まあ喋らない。パッとしない。そこんところは、パソコン部だなと思った。パッとしないではない。地味と言い換えておこう。お香を焚いても、消えない。そんなストレスが増えるような、バッシングがどこからか、ありそうだから。なんか、ありそうだから。


 本当に楽しかった。最後は、男子高校生の自宅でパーティーだった。他の人間さんたちは、普通に喋っていた。それなのに、男子高校生は、ほとんど喋っていなかったと思う。喋っていた時間をぎゅっとしたなら、ルービックキューブ世界記録よりも、短いかもしれない。妹はずっと、男子高校生の独り言を、メモに起こしたものを見ていた。僕が貸したスマホを見て、ずっとずっと笑っている。


 前よりも、この家族が仲良くなった気がする。それはよかった。妹は、さらに可愛くなった気がする。それはよかった。妹の馴れ馴れしさが、さらに増した気がする。それはよかった。のか。これで、終わりだ。いきなり、特殊系に当たってしまった。だから、次が不安で不安で、根室の室外では、夜眠れなそうだ。って、根室の室外は、不安がなくても眠れないよ。しかも、室って二回使ってるね。はい。この仕事を始めてよかったと思った。かなりかなり、楽しかったから。

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