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セレスティア人の手記  作者: 五月雨
瓦礫の中から  ~西暦2027年~
1/210

何も見えなかった。

 何も見えなかった。聞こえなかった。


 その瓦礫が少年の上から退かされるまで。


「ダイチ!返事をしろ!」



 文明の滅亡から七日。奇跡的に助かった少年は、母の知り合いと共にいた。


 名をアルフという。年齢三十二歳、WASPと呼ばれる社会的属性。かつての支配階級だが、今更それを口にするのは差別か反動だと思っている。


 少年の母は研究者だった。極東の島国にある量子力学の実験施設に勤めていた。


 そこにいたのは、必ずしも量子力学を専門とする者だけではない。最先端の理論が社会に与える影響を読み解くため、様々な分野の有識者が集まっていた。物理学は無論のこと、惑星科学、情報工学、神経化学、果ては宗教学や言語学まで。


 少年の母は数学、転じて暗号の専門家。アルフは国の諜報機関にいたこともある。昔の仕事絡みで知り合う機会があったのだろう。


「…改めて状況を整理するぞ」


 アルフが口を開いた。必要なことを喋るとき、食事のとき以外は珍しい。


 しかも同じ内容を再び。動じない彼をしてさえ、今の状況は手に余った。それゆえ少年は、黙って年長者の愚痴に耳を傾ける。


「現在地は日本国東京、JR新宿駅跡地。生存者はアルフレッド=サトウ、ダイチ=アトジマの二名。セレスティア=キャロルは消息不明、恐らくライブラリを起動した。回復の見込みは不明ながら、ミカゼ=アトジマ共々無事と推察される……」


 ミカゼというのは双子の姉。最悪の事態を避けるため、少年の母がライブラリの被験者に供した。セレスはその護衛、アルフの元同僚かつ最も親しい友人だ。


「固定電話、携帯電話、インターネットその他の連絡手段は使用不能。目視による捜索が最適と判断、これより……」


「……無理、すんなよ」


「……………」


 眠るセレスティアを見つけ、肉体を山中の見つかりにくい場所に隠した後。二人で世界中を回り、あらゆる場所に死が満ちていることを確認した。


 上海。マニラ。シンガポール。


 ダカ。ラサ。ムンバイ。


 テヘラン。イェルサレム。イスタンブル。


 ウィーン。ブリュッセル。ロンドン。


 ワシントン……そしてニューヨーク。


 ラテンアメリカを経由してオセアニア、何なら最初は南極まで最後の人類を捜しに行くつもりだったが、やめた。


 そこまでしなくとも、僅かな生存者はいたからである。

あまりうるさく解説するのは無粋の極みだと思うのですが、

正直分かりにくい作品だと思っています。(自分の文体も回りくどいし・・・)

なので、必要があれば短い解説を入れていこうと思います。

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