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失恋生活にバイバイ

 今回の投稿を持って本作品は完結となります。ここまでお付き合い下さった方々に感謝いたしますm(_ _)m

「ウェーイ、何とか間に合った……」

「おおおお……、無人島が見事に木っ端微塵だよ」

「にゃー……」

「ミケーーーーーー!! 間に合ったのね!?」

「にゃにゃーーーー!!」



 私たちは何とかロボット兵器のメンテナンスを間に合わせることが出来て無人島から脱出に成功していた。


 そして狭いコックピットの中で私とミケは泣きながら抱き合う。


 それはそうでしょ!! だって私はロボット兵器のメンテナンスに必死だったから。モテルパパの相手をしていたミケを心配する余裕なんて無かったのよ。



 だからコックピットの入り口を少しだけ開けておいたのだ。後はミケがギリギリで乗り込む事を信じるしかなった。


 ロボット兵器のコックピットは360°モニター。私たちはママの発射した何ちゃって粒子砲の威力をモニター越しで見せつけられていた。



「モテルくんの言う通りね、……無人島が見る影もないわ」



 海上でドクロ型の煙が立ち込めている。


 馬理衣もなんてものを作っとるんじゃい。コレって数発撃てば世界征服も夢じゃない気がしてきた。能天気な馬理衣とウフフなママのコンビは本当に恐ろしいわ。



「にゃにゃー……」

「え? モテルパパは間に合わなかったって?」



 ミケが言うにはモテルパパは脱出が間に合わず、「むんむーん!!」と断末魔を叫びながら消滅したそうです。私はミケの報告に右目をピクピクと痙攣させていた。



 いくら相手が変態でもママって本当に容赦がないわね!!



「ま、親父なら大丈夫でしょー。ノーカン、ノーカン」

「モテルくんも意外とアッサリしてるのね?」

「うん? だって親父は核さえ残っていたら自力で再生できるし、大丈夫だよー」

「……マジですか?」

「マジマジ、親父は赤いリボンを掲げる悪の軍団お抱えの研究者がコンピューターで作り上げたバイオテクノロジー型人造人間だから」



 ソレって全く安心出来ない!!


 逆に言えば私はモテルパパの核を消滅させないと一生狙われるってことじゃん!! そもそも凄井家の家庭事情を心配しちゃう。確か話を聞く限りだとモテルくんのママは常識人そうだし。


 私ってモテルママから命を狙われちゃうんじゃね?


 そしてモテルパパからはストーカーされちゃうんじゃね?



『ハルちゃーーーーーん、ママに何か言うことあるわよねーーーーーー?』



 ドキッ!!


 すると私自身の心配をする暇さえ与えられずスマホからママの声が聞こえてきた。コレはママは怒ってるわよね? それくらいはキュピーンに頼らなくたって声色で判断出来ます。



 私が何年ママの娘をしてると思っとるんじゃい。



「ママのバカーーーーーー!! て言うか私を迎えにくるの、予定よりも早かったんでしょう!? 自分で予定を早めておいて仕事が遅いって言う気じゃないでしょうね!?」

『うーん、それもそうね? でもホラ、この小説の作風を考えたら……ねえ?』



 ねえ? って何じゃい!!



『姉ちゃん、そんな事はどうでも良いから早く戦艦に帰還してくれない? コッチは急いでるんだよー』

「馬理衣までお姉ちゃんをイジメるのー? 私が全部悪いのーーーー?」

「俺も人のことは言えないけど……鯖井さんチって凄いね?」



 ぐっは!!


 モテルくんがウチの家族にドン引きしちゃった!?  そしてスマホ越しでママは「あらあら、まあまあ」と困った様子で呟いている。


 馬理衣に至っては……。



『姉ちゃんー、俺、パパの仕事のために無理矢理引っ張り出されたんだよー。早くお家に戻ってカナヅチになる代わりに超人的な能力をゲットできるフルーツの品種改良をしたいんだよー』



 と好き勝手に言い出す始末。


 いつも思うけど馬理衣は何を目指して開発してるの? そんなフルーツを開発したら海賊のキングを目指す荒くれ者で世界中が大混乱するに決まってるじゃん。


 でもでも、弟に早く戻ってこいって言われるのは悪くないわね。ぐふふ、それって遠回しにお姉ちゃんが恋しいってことなのだから。



「もー、馬理衣のワガママにも困っちゃうわねー。じゃあ愛しのお姉ちゃんは帰還しますよー」



 私は弟の求めに応じてロボット兵器の操縦を開始した。


 そしてママが艦長を務める戦艦のハッチに向かって一直線に飛んでいった。私もミケもモテルくんもようやく無人島から脱出できると、全員が笑顔になっていた。


 コレで明日から自分の家のベッドで眠れると、私はルンルンとした気分になっていた。




 はい、完全を油断していました。




 ロボット兵器を着陸態勢に移行して後は自動操縦モードに切り替えれば良いだけ。そうすればロボット兵器が勝手に戦艦に格納されるのを待っていてれば良いのだ。


 コックピットの中が和気藹々と安堵の雰囲気に包まれる。そんな誰もが油断をする瞬間、ママはとんでもない事を言い出したのだ。



『ハルちゃーん、お家に帰る前に一仕事するわよー』

「へ?」



 そう言えば馬理衣もパパの仕事のためにお家から引っ張り出されたって言っていたわね。



『パパが異世界からお仕事を引き受けたからちょっと手伝って欲しいのよー』

「鯖井さん、雲行きが怪しくない?」

「モテルくん、とりあえず最後まで聞きましょう」

「にゃー」

『パパの古いお友達のグラララって笑う白いお髭の船長さんが海軍に捕まった部下を助けたいんだって。だからパパに頂上決戦に参戦しろって言うのよー。報酬も言い値で良いって言うから引き受けちゃいました』



 マジで?


 ママはいつも唐突なのよね。だけどママは鯖井家の最高権力者だから、ママは宇宙市ドームの地下六階に存在する闘技場の無敗のママさんチャンピオン。



 闘技場を主催する世界的大富豪ともマブダチだから。


 ママは鯖井家どころか日本政府する陰で操る怖い女なのだ。以前も総理大臣が消費税を上げるぞー、って閣議で法案を可決させた時なんて恐ろしかった。一発だけ引っ叩いて、翌日にその方案を取り下げさせていたわね。


 「鯖井家は食べ盛りが二人もいるのよ?」と言いながらママが凄むと、総理大臣は「鯖井さんは控除します!!」とボコボコに腫れあがった顔で敬礼していたっけ。



 ママだけは絶対に怒らせてはいけないのだ。



 うわー、隣にいるモテルくんがすっ……ごく嫌そうな顔してるんですけど。ミケに肉球で頬をペチペチとされながら「俺、バイトの途中なんだけど?」と遠い目をして呟いています。


 こうして戦艦に帰還を果たした私は、そのまま異世界に転移して戦争に足を突っ込むことになりました。そして強引に一緒に連れて行かれたモテルくんと一緒にキャッキャと暴れてやりました。


 最終的に全身がもの凄く伸びる人が戦場で泣いていたのを見かけたから、私は適当に「ドンマイ」と言って慰めてあげました。


 そして私はせっかく異世界に来たのだからと、ミケとモテルくんを連れて異世界一周旅行に出かけることにした。どっちも「せっかく来たのにとんぼ返りは勿体ない」と言ってくれたので助かった。


 因みに復活したモテルパパが異世界にまで私を追いかけに来たので、華麗にしばき倒しておきました。


 そしてその旅路の途中でモテルくんが発案した『株式会社アホ毛』を異世界で設立して私は初代代表取締役社長に就任、ミケは会長でモテルくんはバイトに就任。



 会社のロゴは勿論アホ毛よ!!



 二人と一匹は異世界で六本木や代官山の街を築いて平和に暮らしましたとさ。



 そんな訳でとんでもガールの無人島生活はここで一度終幕。


 もしアナタのいる世界に私が転移したりタイムスリップしたら絶対に私を見つけてね。アホ毛と相棒のミケが私のトレードマークだから絶対だよ? 見つけてくれたらまた元気に騒がしいとんでもガールの日常をお披露目するんだから。


 私こと鯖井晴は本当に幸せ者でした。


 ではでは読者の皆さんが元気でいられますように、私もアホ毛と共に祈っています。



 

 バイバーイ!!

 本作品はこれにて完結いたします。何でもアリと言う形のチートと元気な主人公を描きたいと思って書き続けて気が付いたら49話に到達していました。


 これもひとえに読者様がいて下さったから。読んでいただけていると言う喜びがここまで執筆を続けられた糧となりました。


 本当にありがとうございますm(_ _)m


 そして作品が一区切りついて次回作に向けて既にプロット作業を開始しておりますが、肝心の次回作は苦手ジャンルへの挑戦となります。ガラリと作風を変えるつもりです。そんな訳で皆様にどう受け止められるかが予測が付かずハラハラしながら構想を練っておりますが、もしお手に取られる機会があったならば嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] さすが最終回! ありったけの夢をかき集めそうな人影や、7個くらいボールを集めたら願いが叶いそうなでっかい何かが見えちゃいそうな気持ちになりました。 鯖井家も凄井家も、かなり強烈なメンバー構…
[一言] 完結おめでとうございます! 全体を通して読みやすく勢いもありました。 なんだろね? この小説はwww 最後までハルちゃん節で面白かったです♪ お疲れ様でした。(^^)
[一言] 完結おめでとう御座います*\(^o^)/* 一見勢いに任せた力押しにも見えますが、深みを出す為有益な知識が有効活用されている場面が幾つも隠されており、コッテリと面白かったですw 次回作も期待…
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