失恋生活四十一日目
ヒョコ!!
モテルパパは頭をモグラ叩きのモグラの如く出してはしまってを繰り返してポージングをする。ソレかもしくはヒョッコリと登場してくるどこぞの芸人さん。
「むんむんむん!!」と叫びながらモテルパパは色々なポージングを試す。
まるでウィンドウショップを楽しむ女性の如く「これじゃない」とでも言いたげにポージングを繰り返す。
そして目の前では……。
「シャーーーーーーーーーー!!」
巨大化して悠に20メートルはあろう巨体と化したミケが我を失ったように喚き散らしている。違うわね、これは完全に我を失ってるわ。
そして忘れてました。
ミケにとってキャットフードは精神安定剤、ミケは定期的にキャットフードを摂取しないとこの様に暴走してしまうのだ。ギランと目を光らせてミケは私を見下ろしては睨み付けてくる。
嘘でしょ?
私が暴走状態のミケと戦うの? 都合よく合コン参加者は気を失ってダウンしていると言うのに。私はピクピクと右目を痙攣させてミケを見上げていた。
「久しぶり過ぎて忘れてた、テヘペロ」
「むんむんむーん!!」
ガガガガ!!
私がやらかしを可愛く誤魔化していると再びセーラー服から印刷された紙が出てきた。だからモテルパパはどのタイミングでハッキングしとるんじゃい。
と言うかそろそろまともに会話してくれないかな?
変態と会話なんてしたくないけどね。こっちからだって話を振りたくないわ。
そもそも緊張して話せないって絶対に嘘くさいでしょ、そんなチキンハートが女子高生を前にスッポンポンになれるか。
まあいいか?
私が色々と諦めて紙を拾い上げるとそこにはとんでもない形式で文章が書かれていて、私の右目の痙攣は更に加速していく。
『モテルパパからハルちゃんへのドキドキ連想クイズーーーーー!! パフパフ!! ハルちゃんと言えば!?』
「可愛い」
『正解ー!! 可愛いと言えば!?』
全ての問答が既に一枚の紙に書かれている。
アンタは占い師か!!
答えが先回りされてるのが無性に腹立つんですけど。そして嬉しそうにポージングするのは止めんかい!!
「可愛いと言えば? ……ハルちゃん?」
『ブッブー!! この連想クイズはここからしりとり形式になりますー、罰としてハルちゃんはモテルパパと結婚しないといけませーん」
「舐めんな!! そして知るか!!」
バシン!!
私が怒りのあまり紙を地面の叩きつけてしまった。
そして私が罰ゲームの理不尽さにキレるとモテルパパはツンツンと指で私の肩を突いて、続けて投げ捨てた紙を拾えと言わんばかりに地面を指さしてきた。
どうやモテルパパはトコトン私と会話する気ないみたいね。イケメンだけに腹立つ、アンタが普通の人だったらこんな事態になってないでしょうに。
うう、頭痛が酷くなってきた。
私は頭に手を当てながら言われた通りに紙を拾って続きを読んだ。
『答えは「一票の重さ」でしたー。パフパフ!!』
「……答えが政治的すぎてムカつくわね」
Nなんとかどころかモテルパパをぶっ壊したくなってきた。
そしてこのしりとりはまだ続くらしい。
『じゃあ気を締め直して連想クイズの続きーーーー!! 一票の重さと言えば!?」
「……なんのこっちゃ」
『答えは「さっきネットショッピングでキャトフードを頼んどいたから大丈夫」』
「手際が良すぎる!! 変態のくせに仕事が出来ます風が妙に腹立つんですけど!!』
バシン!!
私はモテルパパのあまりの手際の良さにイラッとしてしまい、またしても紙を地面に叩きつけた。もうぶっ壊したいなんて願望で収まるか!!
「シャーーーーーーーーー!!」
「うわっ!! ちょっと、ミケってば暴れ出しちゃった!?」
私とモテルパパが漫才を続けていたらそれにキレたようにミケが全身を振り回してきた。ミケ、そうだったわね。
ミケはどんな姿に変貌しようとも私が大好き。
だからあの日の約束を忘れたと思って怒っちゃったんだ。だけどミケ、私はその約束を忘れてないわよ?
「私とミケはコンビを組んで漫才で日本一を取るって言う約束は忘れてないわーーーーーーー!!」
「シャシャーーーーーーーー!!」
私とミケは某有名お笑い事務所が経営する養成所に通うお笑い芸人の卵。周囲からも将来を渇望された若手の有望株。
去年も二人で漫才トーナメントで決勝まで進んだのよ!!
だからかな? ミケは我を忘れながらも「にゃんでやねん!!」と突っ込んみながら暴れている。
するとオリハルコン製の一軒家がミケの暴走に耐えきれず至る所に穴が空いていく。これはただ回避するだけではいつか一軒家が崩壊してガレキに生き埋めになってしまいそうね。
仕方ないか、ミケに一発キツい突っ込みを入れないとダメね。
私は去年の漫才トーナメントで使用したネタを温めながらミケの胸元に飛び込んだ。そしてアホ毛を手に握り締めながら振りかぶる。
「ミケーーーーーー!! 私はボケ、アンタは突っ込みでしょうがーーーーーーー!! コレじゃあ役割が逆じゃん!!」
「シャーーーーーー!!」
「猫が巨大化したからキャットしちゃった!! 喰らえーーーー、アホ毛ハリセン!!」
ハリセンに変形したアホ毛がスパーン!! と歯切れの良い音を立てて巨大化したミケの頭部を打ち抜いたのだった。
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