失恋生活三十六日目
「むんむんむん!!」
凄井ホレル、これからはモテルパパと呼ぶことにしよう。モテルパパは高速で腰を振っていた。そのおかげでモテルパパは隠すべき部分を華麗に隠している。
つまり高速の動きをモザイク代わりにすると?
ブチッ!!
私はこうも器用にモザイクを作られて堪忍袋の尾が切れました。盛大に血管が切れる音が響く中で私のアホ毛が宙を舞う。
キュピーン!!
「私のアホ毛はビット攻撃だって出来るんじゃい!!」
「むんむんむーん」
「私を踏み台にしたーーーーーー!?」
モテルパパはポージングをしながら腰の動きだけで私のアホ毛ビットを回避していく。
この人、もう存在自体がギャグね。ここまで私のアホ毛ビットを華麗に回避されてはそう言わざるを得ない。
そもそもこの人が本当にモテルくんと血縁があるかどうかすら疑わしく思えてきた。
「むんむんむん!!」
「とはーーーーーーーー!!」
ドガッ!!
そして一瞬で私との距離を詰めたかと思えば、ピラピラと婚姻届に母印をしろと迫ってくる。私はあまりの気持ち悪さに全力で反撃を試みるも、モテルパパは涼しい顔で避けていく。
肝心の私はオリハルコン製の一軒家を思いっきり叩いてしまい、その強度でジーンと拳に痛みを覚えてピョンピョンと飛び跳ねる。
「痛ったーーーーーーーー!!」
ガガガガ!!
え? またセーラー服から紙が出てきた。またモテルパパにハッキングされたのかな?
私がその紙を手に取ると「アイスノン持って来ようか?」と書かれてました。
何を余裕を見せつけてるのよ。変態のくせにいい人なのが無性に腹立つんですけど!!
「むんむんむーん」
再び気が触れたかのようにモテルパパが腰を振りながら部屋の中を飛び回り始めた。そしてそこからが本当の地獄の始まりだった。
何しろ一軒家の中でスッポンポンの変態が走り回るは、その変態をアホ毛ビットが追いかけ回すは。終いには私自身は神殺しグローブを装着しながら拳を振りまくる。
ソレを地獄と言わずしてなんと言おうか。
それでも私は酸っぱそうな表情のまま無限大の軌道を描いて拳を振り回してモテルパパを追いかけた。
コレって逆じゃない!?
普通は変態が女子高生を追いかけるものでしょう? それがどうしたら女子高生が変態を追いかけ回すんじゃい!!
だけど問題はそれだけじゃ無かった。
モテルパパの動きがとにかく早いのだ。先ほどの戦い同様にモテルパパはオイルを駆使して部屋を滑走する。
まるで冬季オリンピックのスピードスケート選手の如く部屋の中を滑走する。時には壁や天井すらも滑って私を翻弄するのだ。
時折フィジュアスケートのジャンプなども織り交ぜながら。
ブチブチッ!!
「どうして私が変態の良いように転がされなきゃいけないのよ!!」
「むんむんむーん」
もうどうなっても知らないからね!!
私は怒りに身を任せてモテルパパを追い込んで真正面から拳を打ち込むことに成功した。モテルパパの背中には壁、コレなら絶対回避出来ない。
そう思って私は鬼の形相になって渾身の一撃を放り込んだ。
だけどモテルパパはそんな私の攻撃を上回る動きを見せて来た。なんと拳を放り込んだ私の腕をオイルで滑走して来たのだ。
私の上腕二頭筋はスケートリンクか!!
モテルパパの方が私に向かって来る。
そうなれば当然だけどモテルパパのチ◯コが私の面前に姿を現す訳で。
ギャーーーーーー!!
チ◯コが私に向かって急接近して来る、天気予報すら予測出来ないチ◯コ接近警報が発動してるんですけど!!
ガガガガ!!
そしてまたしてもセーラー服から印刷された紙が出て来た。そしてその紙はヒラリと舞って私の足元に落ちたのだ。
そして私が吸い込まれるように紙を見下ろして印刷された文章を見てしまった……。
『本日は一日中空がモザイクに覆われる天気でしょう』
ブチブチッ!!
はい、完全にキレました。
アンタはどこぞのザワついちゃう天気予報士か!!
恥ずかしくて会話が出来ないくせに、どうしてスッポンポンになって私の前で走り回れるんじゃい!!
私は怒りが頂点に達して「ふしゅー」と口から煙を吐きながら接近するチ◯コに向かってもう一方の拳でフルスイングパンチを放り込んだ。
「神殺し発動!!」
「にゃにゃーーーー!!」
私のグローブにはプリントされたミケはミケ本人を召喚するためのワープ穴なんじゃい!! これも弟作の発明品。
神殺しとはミケのこと。
つまり神殺しグローブとは神殺しそのものを呼び出すアイテムなのだ。
ミケは私のピンチを見て「よくもウチの子猫ちゃんをイジメてくれたな?」と言ってます。そして尻尾を引っこ抜いて武器へと変形させた。
その武器とはかの有名な戦争の中で戦争を忘れたテヘペロな青い軍人おじさんが愛用したと言う『アレ』です。巻き付いてから熱と電撃で敵を攻撃するアレ。
「ウチのミケはケットシーもボコった実績があるのよ!!」
「にゃにゃーーーーー!!」
ミケは私と一緒に異世界に転移して妖精猫をボッコボコにして土下座までさせたことがあるんだからね。
ミケはどこぞのアクション俳優の如く親指で唇を拭うと鞭へと変化した尻尾をモテルパパに向かって走らせるのだった。
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