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こうして悪役令嬢は出来上がる。

廊下を歩いていると遠目にアニエス様を見つける。

会いたくないし、出来たら来た道を戻りたい。

しかし次の授業は屋外での魔法の授業な為にこの廊下を通らなければならない。


一緒に移動していたエリック殿下も彼女に気付いたらしく、僅かに身を固くした。


彼女も私達に気付いた様子で駆け寄ってきた。

「エリックさまぁ♪」

と大きな声で呼びながらブンブンと手を振っている。

私達の前に着くと同時に「キャッ!」と転ぶ彼女。

一体どうしたの?何かに躓いた?

そう思っている私とため息を堪えながら彼女に手をさしのべるエリック殿下。


「ミレーユさま、ひどいですぅ。いくらアニエスがフランシスさまと仲良しで嫌いだからってぇ、足を引っ掻けて意地悪するなんてぇ…。」

大声で叫んでからメソメソする彼女…。


勿論私はそんなことはしていないし、一緒にいたエリック殿下も分かってくれているけれど、廊下に居合わせた他の生徒達は泣いている彼女の方を信じて、私が平民苛めをしているように見えたに違いない。


それからもちょこちょこと私の前に現れては目の前で大声で泣き、意地悪しないでくださいだとか私が悪者に映るように仕掛けてきた。


トーマス様やマイケル様が言うにはBクラスの中でもアニエス様の持ち物がなくなったとか、教科書がゴミ箱に捨てられていたとか、細々とした事件が起こっていて、いずれもフランシス殿下と仲良くしている自分(アニエス)に嫉妬した意地悪令嬢(私)がやったんだわ!と悲劇のヒロイン面でメソメソと可哀想な自分をアピールしているらしい。

そしてBクラスの生徒達も皆、彼女を信じていて私のことを平民苛めをする悪役令嬢と認識し始めていた。


それは徐々に他クラス、他学年にも広がっていき私は孤立してしまった。

元々ボッチではあったけれど、魅了にかかったフリをしている前世三人組も彼女の味方の立ち位置に居なければならない為、完全に一人になった。


お城での定例報告会で次々と発覚する悪役令嬢(ミレーユ)によるヒロイン(アニエス)苛めの数々。


全部彼女の自作自演であることは分かっているし、証拠も集めているけれど、学校がとても居心地の悪い環境で私も疲れきっていた。


彼女の言う、『フランシス殿下は悪役令嬢(ミレーユ)のせいで素直に自分(アニエス)に好きだと言うことが出来ず、愛し合う二人の仲が引き離されている。』という、とんでも理論を皆が信じていた。


卒業パーティーまではまだ半年以上あるというのに、このペースで悪役令嬢に仕立て上げられていくことに恐怖を感じていた。


報告会を終えて、私と二人きりになったフランシス殿下は優しく寄り添って肩を抱き、頭を撫でてくださった。

また真っ暗な沼に沈みそうになっていたので、フランシス殿下に甘やかされて、もう少し頑張ろうと思い直すことが出来た。


彼女(アニエス)のことを面白がっているフランシス殿下も、流石に学校中が敵だらけになった私に思うところがあるのか、

「もう少しだけ耐えて欲しい。必ずミリーのことを助けるから。」と優しく声をかけてくださった。


エリック殿下からまた彼女をお城に連れていく約束をしたと伺ったので、何とか開発が済んだ魔法を視覚化出来るメガネを前世三人組に渡した。


フランシス殿下と彼女が話している時に魅了の魔法を使っているかどうかを三人に見極めて貰うためだ。


あと4話で完結で、

そのあと番外編が3話の予定です。

最後までお付き合い頂けたら幸いです。

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