彼女の言うことを聞かないと怖すぎる!
先程とは打って変わって彼女の優しかった目は鋭い目つきになり、雰囲気が一変した。
「ねえ、加羅須野君 聞こえなかった? 私に協力しなさいって言ってるの。」
あれ? 鈴芽乃ナミカさんはこんな人だっけ?
俺が知っている鈴芽乃さんは誰にでも優しく、クラスの場を和ませる理想の女子高生だったはずなんだが…
なのに、なぜ今の彼女は怖い目つきで俺は睨まれているんだろうか?
学校と今の鈴芽乃さんがあまりにも違いすぎて頭の中がごちゃごちゃになり、整理ができない状態だ。
しかし、早く答えないと怒られるだろうと思い答えた。
「何を協力すればいいの?」
「青葉の不登校になった原因は鬼丸だと思うの。だから私は許せない。だからある計画を立てることにした の。」
「どんな計画だよ」
「それはあの担任をこの学校から追い出すことよ。」
まさか鈴芽乃さんがそんなことを言うとは俺は驚きを隠せなかった。
「どうやってだよ、親に言ったところで意味がないことはわかってるだろ。」
「それは大丈夫よ」
とても自信があるように感じた。
「でも…どうやって?」
「だから、あんたと協力してあの非常識モンスターティーチャーを追い出すのよ。」
さっきまで、加羅須野君だったのにまさかのあんた呼ばわりとは… 少しショックだった。
「それで具体的には何をすればいいの?」
「今週の土曜日に何があると思う?」
「たしか参観会だけど…それがどうかしたの?」
「そこでモンスターティーチャーの実態を暴くのよ。教室内には両親だけでなく、校長や教頭が授業をみに来るはずよ。それが絶好のチャンスなのよ!」
「そんなこと無理だよ、親がいる前では教師なんて俺たちと日ごろ接する態度なんて見せずに愛想よく接するにきまっているし。」
「それなら大丈夫よ。参観会での授業の内容覚えている?」
「確か―― ま、まさかそれを利用するの?」
「もちろん、そのつもりよ。」
「この日を逃すともうあの担任を追い詰めることができる日はしばらくやってくることはないの。青葉のつらかった出来事を誰も知ることもなく闇にほうむられ無駄になることだけは絶対にしたくないの!」
今まで見たことない鈴芽乃さんの決意した顔をみた俺は協力しなくちゃいけないと思った。
「たしかに、このままじゃだめだよね。分かった、協力する!」
「ありがとう、それとこの計画を実行するには、もう一つ重要なことがあるの。」
それから鈴芽乃さんは詳しく説明をしていった。
計画をすべて話し終えた鈴芽乃さんと俺は帰ることにした。
帰り際に鈴芽乃さんはこう言った。
「今日はありがと。 あと、私のことはナミカで呼んでいいわ。 あなたのことも賢と呼ぶから。」
「あ、あぁ、わかったよ。」
「それじゃあ、また学校で」
ナミカは帰って行った。
名前で呼ばれてうれしいかうれしくないかよくわからなかった。
まあ、うちのばあさんよりはマシだと思った俺も帰ることにした。