美琴の告白②
なんとか堪えた想い。だけどはるちゃんとは毎日のように講義で顔を合わせる。ドキドキドキ。可愛いな。綺麗な仕草だな。少し男の子っぽい話し方も好き。姿勢がすごく良い。はるちゃんに触れたいな。
この想い、いつまで抑え切れるーーー?
日に日にその疑問が大きくなっていく中、はるちゃんが伊豆へ旅行に行っていることを知った美琴。「夏目漱石が愛した温泉に来てるで。美琴、漱石好きやったやろ?」そうメッセージが届く。
そう、はるちゃんはすごいのだ。何故か私の好みをなんでも知っている。私の好きそうな詩集を手に入れ、自慢気に貸してくる。その中でも作中のどの詩を気にいるかまで、彼女には分かるのだ。私とはるちゃんは、文学で繋がっているみたい。
フツフツと湧いてくるこの嬉しいような恥ずかしいような気持ちに、なんて名前を付けたらいいのだろうか。美琴はもう、堪えられなくなっていた。気付けばはるちゃんに、電話を掛けていた。
「好き。好きだよ、夏目漱石。」「はは、知ってたで。」「うん。うん。覚えててくれたんだね。」「美琴の好みは何故か分かんねんなぁ。」「はるちゃん、月、見える?」「見えるで。月、綺麗やなぁ。」
「はるちゃん、月が綺麗ですね」
「うん。綺麗。」「はるちゃん。好き。」「ん?美琴?」「はるちゃんが、好き。好きになっちゃった。」