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女友達に、恋をするなんて①

突然だが、私は唖然としている。美容室の帰り、偶然見てしまったのだ。私の恋人が、いや、私の恋人だと思っていたはずの男が、別の女性と腕を組み、木屋町を歩いているのを。


だがこれも、なんとなく、予想していたことだった。サークルの新入生歓迎で席が隣になり、なんとなく気が合った。下宿が近く、なんとなく、一緒に帰った。お酒の勢いで、なんとなく、してしまった。その結果生まれた、なんとなくの恋人だったからだ。二人の間に燃えるような恋心はない、きっとお互いがそう感じていた。


「あーあ。」それでも、ため息が出た。そこまで彼に入れ込んでいたわけではない。でも、なんとなく、好きだった。初めてかけたパーマ、彼の感想はもう聞くことはない。それはなんだか少しだけ、悲しいなと思った。


木屋町を流れる高瀬川をぼーっと見ていると、少し涙が滲んだ。ぼやける視界の隅に、見たことのある長い黒髪が映る。女性にしては高い身長、長く使っているであろう茶色の肩掛けバッグ、いつも少しだけ急ぎ足で歩く女の子。あれは、はるちゃんだ。


はるちゃんは、同じ学部の女の子。化粧っ気こそないが、涼しげな奥二重が印象的で、隠れた美人であると美琴はこっそり思っていた。同じ作家さんを好きで話が盛り上がり、よく本を貸し借りする。


「はるちゃん!」つい呼び止めてしまった。きっと誰でも良かった。はるちゃんは、人の話をゆっくり、真剣に聞いてくれるから。今は誰かに、話を聞いてほしいから。

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