誕生
ゴボゴボゴボ……
この音が聞こえると監視係の男は慌てて
緊急コールボタンを押した。
そうするとその建物の中で
ジリリリリリリリリ!!と耳に触る嫌な音が
響いた。
それに気づいたダボダボのトレーナーにジーパン姿の男は、「どうした⁉︎」と叫びながら
音がしたところに駆け寄っていった。
そうすると監視係の男は涙を流しながら、
「う……う、う、動いた…!?」と小声で
言った。
「おい!!はっきりしろ。動いたんだな?」
と、トレーナーを着た男は監視係に問い直した。コクリと監視係の男はうなずく。
それを確認するとトレーナーの男はガラスケースの中を確認し、こう呟いた。
「やっと、やっと…完成した…………」
監視係の男は落ちついて、
「良かった…。ここまで12年…。本当に良かったな!」とトレーナーの男に声をかけた。
「あぁ。あぁ。本当に本当によかった。」と
トレーナーの男は答えた。
すると監視係の男は「よし、ここからスタートだ。これからも2人で頑張っていこうな!!」と少し大きめの声で気合を入れるように
そう言った。
そうするとトレーナーの男は何かを
コソコソと探し始めた。
監視係の男はそれに気づき、
「なんだよ?どうした?あっ、わかったぞ!
記念写真撮るんだな?なんだ、それなら照れずに俺に言えばいいのにさ。カメラとかは、
そっちの棚じゃなくて、反対側の箱に入ってるぞ。」と教えた。
トレーナーの男は返事をしない。
「んだよ。無視すんなよ〜おい?おいっ。」
監視係の男は少し不安になり、話しかける。
すると、やっとトレーナーの男はボソッと
「あぁ、記念撮影もいいかもな。でもお前と
写ることなできなくて残念だよ。」
「…は?」
「どういうことだ?」と監視係の男は
意味がわからず聞いた。
またトレーナーの男は口を開きボソッと呟いた。「そうさぁ。俺は最初っから、監視係が
欲しかっただけ。天才に凡人がつくのは、
邪魔なだけだ。凡人は必要ない。」
「いや、なおさらワカンねぇよ。」
「ほら、凡人は何も理解できない。」
「俺がバカってことかよ⁉︎」
「あぁそうさ。だって俺が夜に抜け出して銃を買いに行っていたことにも気づかなかっただろう?」
「じゅ、銃!?おい…⁉︎」と、まだ喋っている監視係の男の胸を銃弾が突き抜けた。
「!?」
「がっっ…ゴフッ…っくぅ…」
バタッと音を立て、監視係だった男は倒れた
「今まで監視係ご苦労様。あっちではゆっくり休むといい。」幸いここは山奥だ。こいつはもう埋めてしまおう。そうトレーナーの男は考えていた。
この男達がある実験をしていたのは
山奥のある小さな小屋だった。
ー1時間ほどたった。
男はもうすでに監視係の男を埋め終え、
小屋の中にあるその男が住んでいただろう痕跡は全て消されていた。男はガラスケースを
担ぎ、ゆっくりと歩きながら山奥に姿を消した。