さん!
妄想は置いておくとして……王族預かりとなっているあたしには、何故かやることがいっぱいです。文字の勉強に言葉遣い、テーブルマナー、ダンスに貴族の方々を覚えるなどなど……。何故かあたしのお披露目会を開くとかで詰め込まれております。つらたん。
ついこの前には仕立て屋さんが来て、1日潰れました。採寸は時間かからなかったけれど、その後の生地選びとデザイン決定が長かった……。朝一番に来たのに、帰ってったのが夕食の時間を押して、仕方なく、残念そうに帰ってったからなぁ。あたしにはドレスとかわからないからあたしの身の回りの管理担当の侍女さんやあたしの私室付女官さん、更にはお茶をいれてくれたメイドさん、そして何故か王妃様と王女様まで巻き込んで、部屋中に生地を拡げては当てて、と気疲れも合わせてへとへとになりました。つらたん。
そんなあたしは鬱憤が溜まっております、はい。日本から持ち込んだ薄い御本では発散し切れない程です。なのでここでしか出来ない何かをしてみようと、まず考えたんです。
この世界は所謂『剣と魔法がある』んですよ。そうなると挑戦してみたくなるのが人情ってやつですよね。勿論あたしも挑戦しましたとも、ええ。
魔法には特に心惹かれたんですけどね?あたしには普通より少ないぐらいしか魔力がなかったんです。道具をちょっと使うことは出来るけど、魔法をぶっぱなすことは出来ないって言われました。
そしてね、剣もね、無理でした。
俺TUEEEは出来ない模様……。ちょっと残念。
だからあたしは思いました。ヲタク仲間を作ろう、と。ついでに腐ったお話も出来る仲間が欲しいね。こっちは高望みかもしれないけれど、ヲタク仲間は作れると信じてる。
ヲタクは!
世界を!
越えると!
あたしは信じてる!
なので、王子様がお菓子を持って労いに来てくれた時に言いましたよ。
『紙作ろう』とね。
実際には紙というものは最高級品らしい。どこだったか……ここから遠い国の特産品らしいので数が圧倒的に少ない。ここでは羊皮紙が主流で、次いで木片の使用になっているとか。
一般市民だと滅多に使わないし、魔法が発展(っていうのかな?)しているから、電話はないけれど、通信魔法があるんだって。イヤリングを使って話しているフードのお兄さんを見ました。
でもあたしは紙が欲しいんです。
安く作れる大衆向けでいいので紙をください。
そう言ったら考えてくれるとのお言葉をいただきました。あのブリザードを発生させた腹黒宰相様と話し合ってくれるとか。
密室で2人で顔を寄せあって話し合ってると手と手が触れ合って、思わず見つめ合う2人は引き寄せられるように顔を近付けちゃうんですね、わかります。う腐腐腐。
ああ、嫉妬とかもいいかも。あんな女のことじゃなくて俺のことを考えろ、とかね。いやいや、あたしの我が儘で2人きりの時間が取れたと感謝してくれてもいいのよ!(誰もそんなこと言ってない)
おっとそうだ、いつまでもお兄さんじゃあ誰が誰だかわからないので、この世界の色々を、持参したノートに書き出していこうと思います。
書いておかないと横文字が覚えにくいんだよね……。
まず、この世界は『ヴィエールイユ』というらしい。そして……丸くない。丸くないんだってよ、世界って。世界の端から水が滝のようにどこかに落ちているらしい。近付いたらもう帰って来れないとか。超怖い。
そして女神様がいて、世界を見守っていてくださるとか。あたし無神論者ですとは言えなかった。世界がまっ平だとか女神様が存在するとかはこの世界の真理だそうで、余計な口を挟む必要もないしね。
あたしが居る国は『コルマノン王国』。この世界の西側にある大陸にある国の1つ。世界には他にも沢山の国があるんだけど、まだ覚えきれていないんです。記憶力なくてすいません。
王様の名前は……なんだったかな?1回じゃ覚えられなかったんだよね。呼ぶこともないし。同じ理由で騎士団団長様の名前も記憶にありません。い、いずれ覚えます、多分。
王子様はセドリュカ=エト=コルマノンさん。セドリュカ王子って呼んでる。金髪に蒼い瞳のイケメン。身長は多分180超えてる。涼やかっていうのかクールっていえばいいのか。見た目からあまり表情の変わらない人かな、って思ってたけどそんなことはなかった。そして微笑んだ時は王様によく似てる。
あたしの状況を心配してくれて、お菓子とか花とかをよく差し入れしてくれる優しい人です。多分あたしを犬か何かと思ってるんだと思う。餌付けばっちこい。
体型はガッシリっぽい。エスコートされる時に掌に触れたけど、ゴツゴツしてるし分厚かった。勿論あたしの手よりも大きくてめちゃくちゃ男の人って感じ。騎士団の人達と一緒に鍛錬してるんだって。肩を超える長さの髪を首の後ろで結んでて、長髪男子ご馳走様です。
あ、でも第2王子の方が長髪だったわ。
第2王子の名前はフェルナンド=エト=コルマノン。フェルナンド王子ね。金髪碧眼の王様にそっくりな王子様でした。もうすぐ成人、15歳になる可愛い感じの男の子でした。そして髪は腰まであって、三つ編みにしてる。
まだ成熟しきっていない感じなんだけど、ふと見せる真剣な表情は大人びていて、可愛いとカッコイイが共存していてとても美味しいです。
身長は160のあたしより少し高いぐらい。いつもニコニコしていて雰囲気が柔らかい。お兄ちゃんであるセドリュカ王子が大好きなんだって。セドリュカ王子が剣ならフェルナンド王子は魔法。実際セドリュカ王子を支えていきたいらしくて、毎日勉強頑張ってるんだって。惚気か。
この前セドリュカ王子と話してるフェルナンド王子を見かけたんだけどさ、ものすっごく甘い空気だったんだよ。セドリュカ王子も柔らかく微笑んでて、フェルナンド王子の頭を優しく撫でてたの。フェルナンド王子も、すっごく嬉しそうにしてて、頬も薄ら染まってて可愛かった。話の内容は全然聞こえなかったんだけど、その内興奮したのか、フェルナンド王子がセドリュカ王子に抱きついてさ。セドリュカ王子もそれを難なく抱き留めて、見つめ合って笑い合う2人を見て、もう、もう、鼻血出るかと思ったよ。萌え殺す気か!と。
その時一緒にいたメイドさんも微笑ましそうにそれ見てた。その後あたしの方見て、うんうん頷きながら肩をぽん、て叩いた。これは同士発見ってことかな!?ちょっと今度お時間ありますか?
そしてこの国の宰相様、クロヴィス=マル=キャエタンさん。この国の侯爵家の1つ、キャエタン家の嫡男だそうです。宰相としては若く、まだ25歳だとか。補佐にお父さんであるキャエタン侯爵がいて、お手伝いをしているんだって。
侯爵とも1度お会いしたけれど、物凄く厳しそうでした。ちびるかと思ったよ、ホント。話してる内容は大したものじゃなかったんだけど、こっちの一挙一動、言葉の裏までもを見定めようとしてるような目でずーっと見つめられて一気に疲れたっていう、ね。
宰相様も身長が高めで、セドリュカ王子よりも高かった。
この世界の人って皆背が高い。おかげで自己紹介した時19って言ったら二度見されたり、上から下まで何かを確認するかのように見られたよ。15のフェルナンド王子とあまり差がない身長だからですね。これで普通だと言わせてもらいました。間違ってない……はず。うん。
そして19だと、この国の女性はほぼ結婚してたり、結婚間近だったりするんだって。彼氏?いたことないですわ。妄想の方が大事だったもんで。う腐っ(はーと)。
誰だ、今気持ち悪いって言ったの。これでも清楚風女子を心掛けてたんだからね!告白とかは……されたことないけども……。でも、小綺麗であろうと頑張ってたし、擬態もしてたし、中の中ぐらいだもん!興味なかっただけだし!
って、そこはいいの。あたしのことはどうでもいいのよ。普通の19歳です。はい、終了。
あ、でもこの世界から還れないなら、いずれ結婚とかしなくちゃいけないのかな?それは面倒臭いなぁ、なんて。まあ、まずはお相手を見つけなくちゃいけないんだけど。貴族は特に面倒くさそうなので平民と知り合いたいなぁと思えど……出会いが今の所一切ないんだよね。落ち着いたら話してみよう。
年齢のこと考えると腹黒宰相様いい歳だと思いません?でも仕事を理由に婚約者いないんだって。腹黒なせいじゃないのかnうひっ!?なんか背中にぞぞーってきた!
き、気の所為気の所為、うん。
セドリュカ王子には数人の婚約者候補がいるんだって。優しいし権力あるし、お金持ちだし(なんたって王子様)結婚したい人多いんだろうなー。あ、でも、王様が子供出来たのが遅かったって言ってたけど、このままいくとセドリュカ王子の子供が出来るのはもっと遅くなりそうだよね。いいのかな?
あたしが気にする所じゃないか。
そういえば、女性の知り合いって少ないんだよね。王妃様と王女様、後はお付きの人々しかいない。普通の知り合いがゼロですよ、ゼロ。お披露目会が終わるまでは言葉は悪いけど軟禁状態なので仕方ないといえば仕方ない話だけど……。
お披露目会が終わったらお茶会に呼ばれることもあるだろうって王妃様や王女様が言ってたから、お友達作り頑張りたいな!
フードのお兄さんはどこいった。