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に!

会話少なめです。妄想が弾け…るかは秘密(*`・ω・´)

 この異世界に来て早くも2ヶ月が経った。今日の午前中は色々お休みということで、あたしはあてがわれた部屋で1人、ゆったりとした時間を過ごしている。


「もう2ヶ月かぁ……。早いもんだー」


 ぼんやりと空を見上げながらこの国に来た当初を思い出し、物思いに耽る。




 お兄さんに連れられて訪れたのは、王宮の中の1室でした。待合室みたいなところで、向かい合ってソファに座って落ち着かないまま待っていたら、お兄さんがじっとあたしを見てた。

 なんだろうと思ってお兄さんの目とあたしの目が見つめあわないように、ちらちらと観察してみる。ここで見つめ合うとか怖くて出来ねえ。とりあえず、ひと心地ついたからお兄さんを観察してみようと思います。

 ソファに座ったお兄さんはテーブルのせいで膝から上しか見えないんだけど、浅く腰掛けていて、その太ももが太い。あっ、痴女じゃないよ?痴女じゃないからね!?

 ただ、ぴっちりとはしてないんだけど、ズボンがこう、太もものラインをそれとなく見せてくれていてね?やばい、筋肉いいわ。向こうじゃあこんなガタイのいい人なかなかお目にかかれなかったもん。

 あたしこういう筋肉好きかもしんない。新しいページ開くわぁ。

 おっと、いかんいかん。

 黒……じゃないな、上下深い紺色の服で、軍服のカテゴリーなのかな。騎士団か警察みたいな部隊の隊服になるんだろうけど、肩から腕にオレンジでラインが入ってる。太ももが太いって言ったけど、腕も太そう。あたしの倍近くあるんじゃない?直に見てないから詳しくはわかんないけど。肩幅も胸板もあたしの倍近くありそう。そういえば身長も結構あるっぽいんだよね。

 ガチムチマッチョなのかな?

 そんなことを考えてたらメイドさんが呼びに来た。そしてメイドさんの後ろに並んで移動した先にはどどーんとでっかい扉が。重厚な扉を傍に立っていた騎士さんが開いてくれて、恐る恐る中に入ればそこには何人かの人。確実にお偉いさん達だ、と萎縮してしまったあたしは、お兄さんの後ろにぎこちなく隠れましたとも。

 一般人向けの部屋じゃないのは雰囲気でわかる。まあ、王宮に一般人向けの部屋があるはずもないんだけどね。

 まず、ちょっとどころか物凄く高そうな椅子に悠然と腰掛ける優しそうなお兄さんに、その斜め後ろに立ついかついおじさま。誰が誰だかわからなくなるのでもったいぶらないで言います。王様と騎士団団長様です。

 王様はにこやかな表情であたしの方を見てたけど、騎士団団長様は腰に下げた剣に手を乗せていたのが見えていました。マジでいつ殺されるかと冷や汗ものでしたよ。

 ここで妄想して表情がちょっとでも変わった瞬間、斬られると思いました。ええ。

 金髪碧眼の見た目は優しそうなお兄さんですが、これで3人の子持ち。確か37ぐらいだったかな?1番上のお子さんが18だからね。それでも遅く出来た子なんですって、怖い。この国では成人が男女共に15歳。日本だと元服だっけ。若いよねぇ。あ、あたしまだ成人してなかったわてへぺろ。あれでも、この国じゃあ成人になるのか?

 っと、これは置いておこう。

 にこにこしてる王様とあたしを視線だけで射殺しそうな騎士団団長様からそーっと視線を逸らし、ソファに並んで座っている人達に視線を向ける。

 ローテーブルを挟んで左右に2人ずつ掛けられるソファーがある。向かって右側に奥からちょっと鋭い目つきの男性、服装は王様と似てる。髪の色も王様に似た金色だった。雰囲気は違うけどね。王様はふんわりにこにこ、この人はきりりとシャープ。まあ、想像通り王子様だったよ。

 だけどキツそうな見た目に反して優しい人でした。口下手だけど、あたしのことをいつも心配してくれて、花とかお菓子とかよく差し入れしてくれたのはこの王子様だった。あ、この王子様が1番上の王子様。18歳。下に王女様、その下に王子様がいる。

 そんな王子様の隣には黒い服で緑色の髪のお兄さんが座っていた。緑色だよ、緑色。ふぁんたじぃ。違和感は別になかったけどね。目の色も緑色だったけど、髪の色の方が深緑色で、目の色は若葉色だった。そして片眼鏡をかけていて、にっこりと微笑んでいた。だけど雰囲気はふんわりじゃなかった。

 切れ長で少し吊り上がった目尻は知的でカッコ良かったよ。過去形なのはこのお兄さん、この国の宰相様が腹黒だと知ってしまったからだ。まあ、カッコイイのはカッコイイ。見た目だけ。ぶっちゃけ怖い。

 でもね、こういう知的腹黒さんが右でも美味しくない?絆されるのもいいけど、知略でもって誘いうkひぃぃいい!何か突き刺さるような視線!!そして冷気!

 騎士団団長様とはまた違う威圧感に体も表情もカッチコチに固まる。あたしの頭の中覗いたの!?ってぐらいのタイミングで来たよ!怖いから今は妄想しないようにしておこう、うん。

 そしてテーブルの左側のソファーに座っているのはちょっと……なんか陰気臭い感じの人。黒いローブっていうのかな。頭からすっぽり被る……うん、ローブでいいか、わかんないし。

 ローブは足元まであって、フードが付いている。このお兄さんフードを目深に被ってるから口元しか見えないんだけど。なのに観察されてる感じがバリバリします。どこから見てるのかな。


「haueんgyloaうbaytl」


 急に聞こえた優しげな声音に思わず発信源を探す。きょろりと目を動かせば微笑んだ王様が手でソファーを指し示しているのが見えた。そして全員がこっち見てた。物凄く居心地悪いですね、はい。

 どうしたものかと一瞬悩んだけれど、ここまで一緒に来てくれたお兄さんが振り返るとあたしの肩を軽く叩いてから、そっと腰に手を添えてソファーまで連れていった。

 これがエスコートってやつか!

 ソファーの側に立たされたから、ぺこりとお辞儀してソファーに腰掛ける。フード被ってるお兄さんの隣ですよ、ええ。

 あたしを狼の巣に連れて来たお兄さんはあたしの後ろに立った。味方なんていない。くすん。

 持ってたバッグを膝に乗せて顔を上げてみる。ガン見されてた。超怖い。がくぶる。


「tyekwあdukwbi」


 王様が何かを言って漸く息苦しさが少し緩和された。団長様は未だに腰にある剣に手を添えてるし、警戒されてるっていうのは肌で感じてはいるんだけどね。


「jwpおvqmlzh」

「いjrwpzyう」


 そしてあたしを放置して何か話し合いを始める面々。一緒に来たお兄さんが会話に参加してるから、多分あたしの話だとは思う。

 全然全く何言ってるかわかんないからただの勘。口を挟むことも出来ないし、ただ居るだけ。

 テーブルに視線を落としてじっとしていたら、何か入ったカップがにゅっと出てきて驚いて顔を上げる。そこにいた美女がどうやら飲み物をいれてくれたらしい。にっこり微笑んでくれたから、あたしも何だかほっとして微笑んで頭を下げる。

 紅茶らしきものを見て、喉が渇いていると気付いた。緊張しっぱなしだからそれも仕方ないよね。

 カップを両手でそっと持ち上げて顔を近付ければ、ふわりと優しい匂いがして泣きそうになった。

 慌てて目をパチパチと瞬かせて涙を堪える。まだ泣けない。誤魔化すようにカップの中身を少し飲む。どこ産だとかどういう味とかそういう細かいことはわからないけど、紅茶だ。紅茶だった。


「……美味しい」


 言葉も通じない、日本人なんて見当たらない、見知った建物もない、あたしの常識がないない尽くしの中で、この紅茶だけはあたしが紅茶だと思えるものだった。

 そう思ったら我慢していた涙がぽろり、と流れてしまった。カップを置いて目元を拭う。

 静かなそこにコンコンとノックの音がして、男の子が入って来た。その男の子と隣のお兄さんが何かを話し合って何かを受け取った。

 男の子はさっさと部屋から出ていってしまってあたしはなにがなんやら。あ、今更だった。


「hwtpgqvrsz」


 フード被ってるお兄さんがあたしに向かって何かを言う。だけどさっぱりわかんない。首を傾げているとちゃらり、と音がして何かを見せられた。

 それは銀色のブレスレットに見えた。

 お兄さんはあたしを指差して、ブレスレットを軽く振って、手首を指差した。そしてブレスレットを押し付けられた。

 おーけー、把握。これをつけろと。

 ブレスレットを手に、それを観察してみる。小さな石がついただけのブレスレットだった。留め具とかないんだけどね。まあ、すっぽりといけばいいんだろう、これは。

 左手首へと掛ければフードのお兄さんがそのブレスレットへと手を乗せた。なんだなんだ。


「……brswpqkg」


 小さな声で何かを呟くとブレスレットが熱を持ち、淡く光った。何事かと体を固くしたけれど、お兄さんが手を離したら何事もなくブレスレットはあたしの手首にいいサイズ(・・・・・)で嵌っていた。


「……どうかな?」

「…………えっ」


 ブレスレットを見つめるあたしの顔を覗き込むようにして、フードのお兄さんがそう言った。

 そう、あたしが理解出来る言葉で、だ。

 そこからは怒涛の質問攻めの時間だった。向こうも聞きたいことはいっぱいあるだろうし、あたしにも聞きたいことが沢山あったから。

 そしてやっぱりあたしは異世界に来てしまったんだと、納得せざるを得なかった。



 そして今に至る、と。

 あの日つけられたブレスレットには自動言語翻訳魔法という魔法が掛けられていたらしい。会話は困らないけれど、文字は読めないし書けない。微妙な所ではあるけれど、意思疎通は出来るようになったから良しとした。だけど文字は勉強しなくちゃいけない。

 だって本読めないんだもん。

 でもこの世界では娯楽の意味で本がない。魔法で生活に不便はない、ないんだけれどさ……。ライトヲタクとしては紙媒体がね、必要なんですよ。

 過去、あたしの様に落ちて(・・・)来た人達は、元の世界に還れなかったらしい。そこは王家に管理されているノートに書かれていたから間違いないと思う。

 ノートは過去に来た人が持ち込んだ物という話だ。そのノートには色々な言語で何か書かれていた。日本語、英語、フランスかドイツか……色々あった。日本語に至ってはあたしが使う現代語と、古典で習うような言い回しのものもあった。

 あたしがなんとか読めたのは現代語と、英語が少しだけだった。古典風は……ぶっちゃけて達筆過ぎて読めなかった。

 元の世界に戻れないのなら、仕方ないよね。いや、愛の巣(パラダイス)にあるあれそれこれは見られたら悶死するけども。

 でもね、あたしはいい方向に考えることにしたんだ。

 リアルファンタジーだぜ?

 妄想し放題なんだよ?

 妄想しなきゃヲタクが廃るってもんでしょ!

 う腐腐腐腐腐腐。


弾けなかった(´ω`)

主人公ちゃんは空気を読みました(威圧されたという)

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