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手袋

作者: 柴原百花

高校生になった私は、陸上部に入った。中学のときは美術部だった。元々私は長距離が速かったのだが面倒なので友達と同じ部に入った。

受験シーズン、先生に呼びだされ、陸上の推薦で入ることになった。実は県の記録をもってたりする。友達や先生は私が美術部に入ったとき残念がった。まぁ、今ではそんなこと関係ないけれど。

高校に入って早々と月日が流れて年の暮れになる頃だった。

その日は近くの学校と合同練習兼試合だった。

私はドジって手袋を忘れて寒い思いをしていた。

陸上の応援は外である。

しかも一年は選手に入れないため、一日中応援だった。応援席は北風の通り抜ける場所だった。長時間こんなところにいたらきっと凍傷になるだろう、というアホなことを考えながら手を擦ったり、息をかけたりしながら温めていた。あまり効果はなかった。手の色が紫色になってきた。その時、走り終わったT先輩が無言で私に手袋を渡した。

「????」

「使えよ。寒いだろ」

「先輩が寒くなっちゃいますよ?」

「俺は別にいいよ。体動かしてるし。」

手袋に手を入れると先輩の体温が伝わってきた。それはとても温かかった。その日一日先輩は手袋を貸してくれた。

帰り−

「ありがとうございました。」

と言って手袋を返そうとしたら、

「帰り自転車だろ?

明日返してくれればいいから。」

そう一言いうと、足早に帰ってしまった。

翌日−

「先輩、ありがとうございました。」

「あぁ別にいいよ。」


普段あまり話さない先輩だった。先輩はその後、大学に行ってしまった。



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