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神の泉  作者: 中村いな
第一章
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第三話 千年に一度の物語が

第二話です。楽しんでいって下さい!


関係ない話ですが、

確認することは大切ですね。


 優子は千夏と改札口で別れた後、今の自分に何が出来るか考え始めた。

 暖かい風が吹き抜け、日影の下にあるホームには電車を待つ國代校生がまだ多く残っていた。

 優子はホームに降りて人の邪魔にならないことを確認し、スクールバッグからスマートフォンを取り出す。

 このスマートフォンは高校に入学して、少ししてから買ってもらったものだ。

 最初は必要ないと思っていたのだが、高校でスマホがかなり普及している現状を知り、また優子だけに連絡や情報が回ってこないなんてこともあったため、持たざるをえなくなったのだ。

 かなり後に知ったのだが、入学式の後に今人気のLINEでクラスの人達は自己紹介をしていたらしい。

 確かにスマートフォンは便利なのだが、凄い時代になったのだと思わずにはいられなかった。

 とりあえず、まずはメモ機能を起動させる。

 今まで優子は何度か夏休みの最初『一日の予定』なるものを立てて、今年こそはと試みたことがあった。

 しかし結局、計画を立てるだけ立てて満足してしまい、今に至るというわけだ。

 そこで、『一日の予定』とわざわざ書き出しても実行できなかった失敗を活かして、今回は方法を変えてみるらしい。

 でも、一日の宿題のノルマを設定するということは変わらない。

 前と違うのは、最初はとても低いノルマで構わないから絶対に出来る量を設定するということだ。

 今思い返せば、優子が今まで書き出したものは無意識に「今日は、これができたらいいな」という理想であり、実際にそれができるかと言えばまた別の話だったのだ。

 なぜそんなことをしてしまったのか、思い出そうとしても考えても自分のことなのに分からなかった。

 しまいには、自分のことのはずなのに顔も知らない他人のことを無理に思い出そうとしている気分だった。

 一瞬、悶々とした優子だったが、今自分がやるべきことに集中しようと気を取り直す。

 当たり前のことでも優子は、できる限り丁寧に書き出していった。

 それが、優子が今できる精一杯のことだと思った。

 どのくらい時間が経ったのだろうか。

 いつの間にかその作業に集中していたため、優子は折角来た電車を一本乗り過ごすところだった。

 同じ制服を着た学生ばかりの電車のドアで焦ってつまずいた事は、誰にも見られていないと信じたい。


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