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衝動的に書きたくなったSSです。

あくまで日記“風”なので日記っぽくなくてもそこは御愛嬌ということで

○月○日


今日から日記をつけようと思う。


なんせ今日は記念すべき日。


世界を脅かす魔王を打ち滅ぼす勇者。


その召喚の儀式に立ち合えるというのだから。


しかもそれを行うのが俺の幼馴染のルナであるというのだから人生というのは何があるかわからない。


正直教会の連中のように信心深いわけじゃないけど幸か不幸か参加出来るとなればプラスに考えなきゃ損だろう。



しかしいい買い物をした。


あまり早く行くとルナにつまらない話を長々とされるに決まってるから立ち寄った古道具屋。


そこにこんな魔法道具が売ってるとは。


思考を読み取り自動的に日記にしてくれる魔法書。


普通、魔法道具なんて安いものでも俺の給料の半分はかかるのに子供のお小遣い並の値段だったし。


文才もないし細かいこと続ける根気もない俺でも持ってるだけで事細かに書いてくれると言われ即購入。


これでも国一番の騎士である以上、恐らくは俺も勇者の旅に同行することになるだろう。


だとしたらその記録を記した本となれば売りだしたらベストセラーになるかもしれん。


騎士の仕事は嫌いじゃないけど楽にお金稼げるならそっちの方がいいに決まってる。


ははは! 今から笑いが止まんねえ!


なんてうきうきしてるうちに神殿に到着。


堅苦しい守護騎士達の間を通り召喚の間へ。


名乗りを上げて入れば主だった面子は既に集まってた。


こちらに気づいたルナが少しむすっとした顔してるけど知らん顔で配置につく。


横にいるルナ直属の魔法騎士様も何か言いたげだったけど俺が入ってすぐ後に大臣が入ってきて召喚の時間だと告げたので諦めたみたいだ。


今回の準主役であるルナが魔法陣に向かって呪文を唱え始める。


何言ってんのか全く分かんないから聞き流してるけどよく噛まないなコイツ。


しかし勇者の召喚かー。まさかルナがそんな役目を負えるほど偉くなるとはなー。


確かに孤児院にいたころから馬鹿みたいに魔法の才能あったのは知ってたけどまさか国一番の召喚者になるとは思わなかった。


魔法大国なのに魔力0のせいで筋トレばっかやってたおかげで国一番の騎士(笑)になった俺とは大違いだ。


魔法騎士や守護騎士みたいに人数多い中で一番だったら少しは拍もついただろうに。


あ、今気づいたけど、この位置って一応何かあった時にルナを守れるようにってことですぐ傍に立ってるから召喚される勇者の顔が一番見やすい位置だ。


ホント今日は色々と得な日だなーなんて思ってたら魔法陣が明滅。


「おお、なんて魔力だ!」なんて周りから驚きの声が上がるけど魔力がない俺には全然分からん。


ってうお! まぶし!?


なんか光ったと思ったら軽い爆風。


念のためルナの前に出ておくともうもうと魔法陣を中心に広がっていた煙が晴れる。


え? これが勇者?


なんかおどおどしてるデブっちょでとてもじゃねえけど運動なんか出来そうもないコイツが?


聖剣を唯一持てるなんて教会からすれば信仰の対象になりかねない存在がこの肥満体?


お世辞に言っても人よりゴブリンに近そうな顔で胸元に幼女の絵が描いてある服着てるこの男が?


呼吸があらいせいか息遣いがブヒ、ブヒって聞こえるのは俺だけか?


横を見たらルナが固まってる。


気持ちは分かる。勇者って言ったら普通美形って相場が決まってるもんなあ。


少なくとも今までに伝わってる勇者様達は皆そうだったらしいし。


でなきゃいくら勇者でも王女様や聖女様達と結婚とかは出来ないだろう。


まあそれはまだ送還魔法がない頃の勇者様への恩賞だとか強い力を持つ勇者を他国へ渡さないためのハニートラップの結果とも聞いたことあるけど。


キョロキョロしてた勇者様(仮)はルナと目があったらしくピタっと動きを止めた。


なんだ? と思ってたら急に「ウハ! 異世界召喚キタコレ!」とかわけのわからないこと叫びだした。


「ヤバス俺の時代来た! しかも青髪巨乳っ娘とかモロ好み!」なんてゴモゴモした口調でハイテンションな勇者様(仮)。


そうか、勇者様(仮)は巨乳好きか。俺とは話合わなそうだな。


どうも勇者様の目には青髪巨乳のルナ以外写っていないらしくハアハア言いながら「ね、ねえ、君、な、名前なんていうの? お、俺はねえ」とか言いながら動いてもいないのに汗をポタポタ垂らしてる。


うわあ、正直俺でも引く。ルナの奴大丈夫か?


なんて思ってたらルナがまた何か唱えだした。


あれ? 召喚後に何か魔法使うなんて聞いてないぞ?


不思議に思ってたらまた魔法陣が明滅。


え? え? と首を左右に振っていた勇者様(仮)が唐突にかき消えた。


………て、おい。こいつ送還しやがった!


ありえねえ! いくら勇者様(仮)が理想にそぐわないからって普通するか!? アホかコイツ!?


どうやら口に出てたらしい。こっち見たルナが憮然とした態度で「あんなのと共に旅をしなければならないならソルと結婚した方がマシです」とか言いやがった。


どういう意味だ。反応に困ること言うのはやめてほしい。


ルナが面食いなのは知ってるけどそれにしたってアレと比べられたことに腹を立てればいいのか、かなり低い水準ではあるけど一応結婚してもいいと思ってるくらいには好意を持ってくれてるのを喜べばいいのか微妙だ。


まあどちらにせよ本気じゃないのは分かってるから魔法騎士さんお願いだから「やはり貴様ルーナリア様に色目を!」って俺の首に氷剣を突き付けないで。


狙ってないから! ルナとか幼馴染というより兄妹に近いし好みとも全然違うから! 俺貧乳派だからぶっちゃけ姫様派!


俺が魔法騎士さん(そう言えば名前なんだっけ?)に弁護してるうちにルナが「どうやら今日は日が悪かったようです。明日もう一度行いましょう」みたいなこと言ってこの場は解散していた。


誰も文句言わなかったのは皆あの勇者は嫌だと思ってたからだろう。いいのかそれで? 



ああもう、せっかくの記念すべき日は明日になってしまった。


出版するときはこのページはカットしてもらおう。

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