ダンジョンの恩恵
女神の間
素が転移前に連れてこられたあの空間で女神が相変わらずコタツに入ってみかんを食べながらテレビを見ている。
「誰が無神経なのよ!失礼な童貞ね! ちょっと笑っただけじゃないのよ!加護まであげてるのに! まぁ確かにちょっと笑い過ぎて転移の場所は失敗しちゃったけど。 それにしてもよくあの不死王を倒せたわねあの子。素質あるじゃないの! これからが楽しみね!」
ダンジョンボスの自室の中で仰向けに寝転がりながら、自分の幸運とスキルの有用性について考えてみる。
「あー疲れたー! よくまぁ倒せたものだけど、とにかくスキル《空気》はやっぱり使えそうだな! これから検証していかないとな。 そういや、こう言う時はレベルアップするもんだよな。一応見てみるか。」
名前 空見 素
種族 人間
年齢 16
レベル 76
HP 862570/862570
MP 55900/55900
称号 転移者 女神の笑いネタ どこにいても空気
不死王を屠りし者
スキル 空気 認識阻害(神級 呪い?)パッシブ
全属性魔法の素質
加護 最上位女神の加護(一応)
「え、なんだこれ!なんでこんな一気にレベルアップしてんの? 不死王ってそこまで危ない奴だったって事か?ゲームとかだと中ボスなんだけどな!」
「というか、なんか魔法の素質とかいうのがスキルに増えてんだけど、魔法使える様になったって事か!」
素がステータスの確認をしながら寝そべっている時、不死王の自室の端で何かが光った。
この部屋には光は入ってこないが、壁や天井の数箇所が暗く光っている為完全な闇というわけではない。
「今何か光ったか? あれは……鍵?」
そこには鍵の様なものが落ちていた。
今この部屋には不死王が消えた後に残った王冠とマント、そして鍵しかない。鍵穴の様なものは見当たらない。
「鍵があるってことは差す所があるはずだけど、見当たらないよなー、とりあえずマントと王冠は貰っておくとして、鍵穴が何処にあるかだけど……ん?」
落ちていたマントを拾い羽織る。サイズはちょうどなようだが、不死王が着ていたのと同じデザインなのにこれは新品みたいに見える。
王冠は売れそうなので持っていくことにするが、王冠の内側に鍵穴みたいなものがある。
「鍵穴? え、ここに? なんでこんな王冠に穴があるか分からないけど形はたぶん合うっぽいんだよなー。 差したら突き抜けそうだけど、まぁ異世界だし不死王だからな、何かの魔法かもしれないし差してみるか。」
ブーン…
「うわっ、突き抜けはしなかったけど何かよく分からない感触だなこれ! 空間が歪んだ的な感じなのかコレは。」
差した鍵は手で持っている所だけが見えて残りは消えた様になっている。
その鍵を回した瞬間、辺りの空間が歪み、その歪みの中に巻き込まれていく。
「何だ今のは変な感じだな。 って、うぉーすげー何だよコレ宝の山じゃねぇかよ!」
周りを見回すとそこには不死王が集めた宝の山が築かれていた。
黄金、宝石、宝飾品、高そうな武具、防具、よく分からない草や液体もある。
「これが漫画とかゲームでよく見る薬草とかポーションってやつか。」
宝部屋の中をぐるぐる見回していると丁寧に飾ってある指輪と、ネックレス、ピアスを見つけた。
何やら文章が書いてあるが。
宝物庫の指輪 鑑定のピアス 解呪のネックレス
「あれっ文字読めるんだ。ステータスに書いてなかったからてっきり読めないのかと思った」
「バカねぇ、今どき転移や転生の溢れてるこの異世界飽和状態でいちいち言語理解とかステータスに載せる方がナンセンスなのよ。」
テレビを見ながら女神が呟く。
「これ全部希少な物なんじゃないか? とりあえず付けてみよう! てか解呪のネックレスで俺の呪い解けるんじゃないの? 人に認識してもらえるかも!! でも呪いのおかげで死ななかったのに解いちゃうと危ないかもな〜まぁでもアクセサリーなら取り外しできるしとにかく付けてみるか。」
置いてあるアクセサリーを全部身に付けてみることにするが、順番的にはピアスを付けて鑑定を使ってみる。
「鑑定」
宝物庫の指輪
ありとあらゆる物を収納する事ができる。
容量無限 時間停止
生き物は入れられない
解呪のネックレス
身に付けている間だけ呪いを祓う
呪い《神級》の場合は完全には無効化できず
呪いを弱める事しかできない
「すげぇほんとに鑑定使えたよ。 しかも残りの2つもすごいなコレは! ネックレスも完璧には祓えないけど弱めれるのか。 コレは有り難い。」
残りの2つも早速付けてみる。
シンプルだが綺麗な流線型のラインの入った指輪と、ベルの様な形のピアス、小さな十字架のネックレス。
「意外と似合うんじゃないか俺。 この指輪でここにある宝物を全部収納すれば良いのか。」
残りの宝物を指輪に収納していく。
というより一瞬で全部収納できてしまう。
唯一残っている王冠に付いてる鍵を外すと元の部屋に戻ってくる。
素は鍵と王冠も指輪に収納して出口を探す。
するとさっきまでは無かった新しいドアがある。
「何か新しいドアはあるにはあるけど、また変なところに繋がると怖いよなー、でも他には何も無いし行くしかないか…」
スーッ
またしてもドアノブの付いた引き戸を開ける。
思い切ってドアをくぐるとそこには太陽の光と辺り一面に木々が広がっている。
「おぉこれはダンジョンから出られたんじゃないのか? 太陽もあるし、森の中だよなコレ! 普通最初からこういうところに転移するんじゃないのかよ。 んっ?」
後ろを振り返ると今開けて通ってきたドアが消えていた。
「ドアが消えてる。 まぁ急に出てきたドアだし、急に消えることもあるか。 何にせよコレで危ないダンジョンから出て普通に人のいる所を目指せる様になったって事か。 とりあえず適当に歩いてみるか。」
「待ってろよ人のいる街。 できれば俺をちゃんと認識してくれる人たちがいる所〜〜〜!!」




