異世界初日
「あんの無神経女神がーーーーどこに転移してやがんだよぉぉぉぉぉ」
数分前………
「あぁぁぁぁ!!!やっぱりバカにしてんだろ〜!!!!」
女神にツッコミを入れながら転移した俺は暗闇の中にいた。
「んんっ、どこだここ」
眩しい光の中に放り込まれたかと思ったら次は暗闇かよ。
まだ目が慣れないが、地面はゴツゴツした岩のように感じる。
何処なんだここは、周りが見えなさすぎて身動きも取れないんだが。
あぁ、やっと目が慣れてきた。洞窟のようにも見えるが、どちらかというと人工的な建物のように見えるな。
周りには何も無い空間の中で一箇所だけがこの空間においては異質に見える。
「なんだあれ…ドア? なんでこんな洞窟か人工かも分からないところにドアがあるんだ」
目の前にあるのは異世界漫画で見るような、貴族の家の様なドアでも、王城のようなドアでも、ギルドや酒場の様なドアでも無い。
ましてや、ダンジョンのボス部屋の様なドアでもない。
ただの民家の普通のドアに見える。
もしかして誰かの家に転移させられたのか、それとも拠点になる様な場所に転移してくれたのか。
どちらにしろあの先に行く以外無いか。
……ガチャ……あれ開かない。クソ何でだよ。
押しても引いてもドアは開かない。
ドアノブも回らない。
………ってこれ引き戸じゃねぇか、なんでドアノブ付いてんだよ!!まぁいい、とにかく入ろう。
「失礼しまーす」
「…誰だ?」
「うわっっ!!」
ドアの先に居たのは漫画なんかでよく見るあの禍々しい雰囲気を放つ骸骨マントだった。
あれって確か不死王とか言う奴じゃないのか?
なんでこんな普通のドアの先にこんなのがいるんだよ!!
「むぅ、誰か入って来たのかと思ったが気のせいであったか。 それもそうか、こんな難関ダンジョンの最下層、それもダンジョンボスである我の自室に入って来れる奴など滅多におらぬな。」
なっっ!!!!!
難関ダンジョンの最下層?あのゲラ女神いぃ!!
なんて所に転移してやがる!!
いやいや、とにかくキレるのは後で今はここからどうにかして逃げないと。
幸い俺の空気扱いはこの不死王にも適用されてるしな。
ガチャ……あれっ、ガチャ…
鍵もないドアが開かない。何でだよ。
「やはり誰かおるのか? 見えはしないが、そのドアは一度入ると我を倒さぬ限り開かぬぞ。」
クッソなんで自室のドアまでダンジョン仕様なんだよ!
とにかくここを乗り切るしか無い。
てか、なんで俺は未だに認識されてないんだよ。まぁ今は助かるけども。
というか俺にあれは倒せるのか?
とにかく自分の力を確認しない事には何も出来ないぞ。
こう言うときは…
「ステータス」
フォン
開いた。
名前 空見 素
種族 人間
年齢 16
レベル 1
HP 1600/1600
MP 900/900
称号 転移者 女神の笑いネタ どこにいても空気
スキル 空気 認識阻害(神級 呪い?)パッシブ
加護 最上位女神の加護(一応)
ちょっと待て、女神の笑いネタ?舐めてんのか?
あと加護、一応ってなんだ一応って!
それからなに?俺呪われてんの?
とにかくスキルは使えそうな気はするが、《空気》ってなんだよ、ふんわりし過ぎて使い方分からねぇよ!
いや待てよ空気を操れるんだとしたら意外と汎用性高くないかコレ!
とにかく思いつく使い方でやってみよう。
「どこにおる?出てこぬか!」
ずっと目の前にいるんだけどな俺。
とりあえず、不死王なら生きるのに必要なのは魔力だよな。なら…ホイっと!
俺は手をかざし不死王の周りの空気を操り魔力を断ってみた。
「グッ、うぐぐぐっ、がぁ。なんだコレは急に体が重く、力が抜ける。」
不死王の体から力が抜けていき、体を覆っていた黒い瘴気の様なものも霧散していく。
さらに不死王の姿が薄くなっていく。
「ぐあぁ、誰かも分からぬ者に何も分からぬまま倒されると言うのか。」
しばらくすると不死王はマントと王冠を残して姿を消した。
「……ぶはぁっ!!! 怖かったーー! 何とか倒せたけど、こんなのたまたま運が良かっただけで、しかも呪われてなかったら部屋に入った瞬間やられてたって事だよなコレ。」
「というか、普通転移って言ったら森の中とか、王城とか、街の近くの草原とかが普通だろうがよ。 なんでいきなりダンジョンの最奥で、しかもボスの自室前なんだよ。 転移して秒でしぬとこだったじゃねぇかー。」
「あんの無神経女神がぁぁぁ!!どこに転移してやがんだよぉぉぉぉぉ」




