女神と転移と俺の恥
ここから異世界に入ります。
「んっ、あぇ?どこだここ?」
周りを見渡すと何もない真っ白な空間に何故かリビングにあるような家具が並んでいる。
それもオシャレな家具とかではなく、普通のテレビに、少し小さめの冷蔵庫、モコモコのカーペットに、座椅子に座布団、そして年季の入ったコタツがある!
さらにコタツの上にはお盆が置いてあり、みかんと煎餅がある。
なんだこの空間?
あの一角だけ妙に昔のじいちゃんの家みたいな雰囲気だな。
煎餅も昔あった硬いカチカチのやつっぽいな。
ん?何かぼんやりと見えるあれはなんだ?
薄い透けてる人型のモヤみたいな……あっ少しずつモヤがハッキリ見えてきた!
あれはっ!よく分からないけどすごく綺麗な雰囲気の人がコタツに入って寝転がったまま煎餅食べてる?
「きゃっ!やだ!なに?あなた誰?どこから来たのよ?」
突然現れたモヤだった美少女が喋り出した。
「いや、俺の方こそ聞きたいんだけど!ここはどこであなたは誰なんですか?」
俺の質問に美少女が面倒臭そうに答える。
「も〜のんびりしてたのに! 仕方ないわね、教えてあげるわ! ここは生命の分水嶺よ!」
「生命の分水嶺?」
「そう! つまりね、いくつかの世界で亡くなった人の中で、他の世界に行くことのできる強い魂を持った人だけがここに集まって次に行く世界を選べるのよ! もちろん元の世界にも行けるけど、その時はまた赤ちゃんからスタートよ! でも他の世界なら赤ちゃんからでも、少し成長した状態からでもある程度の自由は効くわ!」
あぁつまりはあれかよく漫画とかアニメで見るやつか!
「それってつまり異世界転生とか異世界転移ってやつですか?」
「そうよ、今時珍しくもないでしょ?」
「いや、珍しいかどうかは分かんないけど! 初めての体験だし、周りにそんな体験したやつもいなかったし。」
「………………まぁそれもそうね!」
「ま、まぁいいじゃない! とにかくあなたをどこかの世界に転移させてあげるわ! 元の世界がいい?それとも剣と魔法の世界? 人間のいない恐竜の世界とか、悪魔ばっかりの暗黒世界とか、氷と炎に包まれた世界とかあるわよ!」
「ちょ、ちょっと待って! まず俺は本当に前の世界で死んじゃってるんですか?」
「そりゃそうよ、だってここに来てる時点であなたは前の世界で亡くなってるって事なのよ! ちょっと待ってねあなたの前の世界での最後を見てみるわ!」
美少女は目を瞑り何やら考え出すと
「ふん、ふんふん、えっ、あぁそうなるのね! んっ?えっちょっ…………ちょっと待って嘘でしょ…………………………………………」
「アッハッハッハッハッハッハッハッ、ヒーヒー、クーンッフッフッフッフッキャハハハハハハハハ」
なんだこいつ急に爆笑し始めて何か俺の最後に面白い事でもあったってのか?
「おい、なんだよ何があったんだよ俺は最後突き飛ばされて頭を打ってそれで死んだんだよな?」
「プックククク、ちょっと待って、違うわよ! 確かにあなたは突き飛ばされてガードレールにぶつかって痛みでショック死しちゃったけど、ぶつけたのは頭じゃなくて股間よ!こ・か・ん!」
はっ?今この美少女は何て言ったんだ?
「えっ……? 股間?」
「そう、股間よ!あなたは突き飛ばされた時に何とかガードレールを避けようとして、つま先でチョンチョン跳ねながら思いっきりジャンプした時に股間を強打して、まぁ潰れちゃったのね! それで痛みでショック死したのよ!」
「な、なんじゃそりやぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「じゃあ俺は◯玉が潰れた痛みで死んだってのか?」
「そうよ、だからさっきからそう言ってるじゃない!ぷっくっくっ」
「そんな…………」
………数時間後
「ねぇちょっと〜もうそろそろ元気出してよ! いつまでも落ち込んでても仕方ないじゃない!」
この美少女は人の気持ちも考えずに煎餅を食べながら話しかけてきやがる!
「うるせぇ、お前に◯玉が潰れて死んだ俺の気持ちが分かるかよ!!!」
「そりゃショックだろうし、笑っちゃったのは謝るからさ〜そろそろ行く世界選んでよね! 次の世界では最大限股間に気を付けながら生きればいいじゃない?」
「バカにしてるよな?」
「してないしてない! ほらどこの世界がいい? 決めないなら氷と炎の世界に送り込むわよ!」
「こんの、他人事だと思って! つか、そんな世界連れてかれたらまともに生きていけねぇだろうがよ! 元の世界じゃなけりゃこの年から始めれるんだよな?」
「そうよ! どこがいいの?決まった?」
「ならせっかくだし剣と魔法の世界で思いっきり楽しんでやるよ!」
まぁ魔法を使えるんだったらやっぱり使ってみたいてのはあるよな!
「分かったわ! なら剣と魔法の世界に転移させるわね! 年はこのままで、見た目もそんなに悪くないからこのままにしておくわね!」
「ちょっと待ってよ、何かスキルとか貰えるんじゃないの?」
「あ〜それね、普通ならいくつかの中から選べるんだけど、あなたは何故か選べないみたいで、1つだけ決まったスキルがもうあるからそれを使って頑張って生きてね! じゃあ転移させるわよ!」
はっ?なんだそれそんなの聞いてない!
嘘だろ何だよその決まったやつって、そんなの俺持ってねぇよ!
「えっちょっ何も説明とかないのにもう転移するの?どんな世界かも、どんなスキルかも聞いてないんだけど!」
「それは行ってみれば分かるわ! スキルも使っていって何ができるか確かめてみてね! あっ、そうそう本当に今度はくれぐれも股間に気を付けてね!!」
「あぁぁぁぁ!!!やっぱりバカにしてんだろ〜!!!!」
こうして俺は人をバカにしまくったこの美少女、おそらく女神か何かにろくに説明も受けずに異世界に転移されてしまったのだった。




