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第7話 『僕らの工房建設計画、そして汗と燻製サンド』

さて、商人ギルドマスターという強力な後ろ盾(?)を得て、森へ帰ってきたカオルとエリアーナ。


街での大騒動から一転、今回はいよいよ「工房建設」がスタートします!


カオルの持つ現代知識とキャンプスキル、そしてエリアーナの聖なる力が合わさる時、どんな素敵な拠点が生まれるのか?


もちろん、作業の合間の絶品“飯テロ”も忘れていませんよ!

 街の喧騒を後にし、俺たちの森へ帰ってきた。


 エリアーナが浄化してくれたその場所は、以前よりもさらに空気が澄み、優しい光に満ちているように感じる。ここが、俺たちの新しい生活の拠点になるんだ。


「さて、と。やりますか!」


 俺はテルムの街で買ってきた新品の斧を手に、気合を入れた。


 目指すは、雨風をしのげる小さな小屋。そして、いずれは俺の燻製工房となる、夢の城だ。


「カオル様、私も何か……!」


「ありがとう。じゃあ、エリアーナは俺が切った枝を同じ長さに揃えてくれるかな。無理はしないでくれよ」


「はいっ!」


 エリアーナは嬉しそうに頷くと、小さなナイフを手に作業を始めてくれた。


 まずは基礎作りからだ。俺は地面に簡単な設計図を描き、水平になるよう慎重に地面をならしていく。キャンプで培った知識が、こんなところで役に立つとはな。


 次に、小屋の柱となる木を切り倒していく。


「――ふっ!」


 斧を振るう腕に、ずしりと衝撃が走る。慣れない作業に息が上がるが、自分の手で何かを創り上げていくこの感覚は、PCのキーボードを叩くだけだった前世では味わえなかった充実感に満ちていた。


「カオル様は、どうしてこんなことまでご存知なのですか?まるで、伝説の『大工』のようです……」


 エリアーナが、尊敬の眼差しで俺を見つめてくる。


「いや、ただの素人だよ。昔、動画で見ただけだ」


「どうが……?」


「こっちの話」


 異世界の人間から見れば、俺の行動は魔法のように見えるのかもしれない。


 順調に作業を進めていたが、釘を打つ際に、誤って木材のささくれが指に深く刺さってしまった。


「いっつ……!」


「カオル様!?」


 俺の小さな悲鳴を聞きつけ、エリアーナが駆け寄ってくる。


 彼女は俺の指を見るなり、その小さな両手でそっと包み込んだ。


「私の光よ、その傷を癒やしたまえ――《ヒール》」


 エリアーナが祈りを唱えると、彼女の手から温かく、柔らかな光が溢れ出す。


 光が俺の指に触れると、ズキズキとした痛みが嘘のように引き、ささくれは跡形もなく消え去っていた。


「……すごいな。これが聖女の力か」


「……はい。もう国にいた頃のような大きな奇跡は起こせませんが、このくらいの治癒魔法なら。私の力は、こうしてカオル様のために使いたいんです」


 そう言って微笑む彼女の顔は、まさしく聖女そのものだった。


 こんな力を持つ彼女を、国はいったいなぜ追放したのだろうか。謎は深まるばかりだ。


 昼時になり、俺たちは作業を中断して昼食をとることにした。


 今日のメニューは、街で仕入れた食材を使ったスペシャルサンドだ。


 黒パンに、森のバターと呼ばれる濃厚な味の木の実のペーストを塗り、そこに主役を乗せる。


 先日作った燻製ハードジャーキーを、街で買った新しいスパイス――ピリッとした辛みと痺れるような風味が特徴の『炎山椒』で和えたものだ。


「うわっ、うまっ!この痺れる辛さが、疲れた体に染みる……!」


 ガツンとくる炎山椒の刺激と、噛めば噛むほどに旨味が出るジャーキー。それを黒パンががっしりと受け止める。最高の労働飯だ。


「辛いのに……美味しいです!体が、ぽかぽかしてきました!」


 エリアーナも、小さな口を真っ赤にしながら夢中でサンドイッチを頬張っている。


 腹を満たし、午後の作業を再開。


 スキルの「燻製ポイント」を使い、蝶番ちょうつがいや窓枠の金具といった細かい金属パーツを生成すると、作業効率は飛躍的に上がった。エリアーナはもう、驚くことにも慣れたようだった。


 そして、陽が傾き始めた頃。


 俺たちの目の前には、ログハウスの基礎と、四本の柱、そして屋根の骨組みまでが組み上がっていた。


「……できた」


 まだ壁も屋根もない、骨組みだけの状態。


 だが、それは間違いなく、俺たちが初めて自分たちの手で作り上げた「家」の原型だった。


「すごい……!本当に、お家が……!」


 エリアーナが、月明かりに照らされた骨組みを見上げ、感極まったように声を震わせている。


 俺もまた、胸にこみ上げてくる熱いものを感じていた。


「ああ。これが、俺たちの城だ」


 二人で並んで、自分たちの城を見上げる。


 穏やかな夜の森に、俺たちの笑い声が静かに響いた。


 この幸せな時間が、ずっと続けばいい。


 そう願いながらも、俺はこの穏やかな生活が、そう長くは続かないであろうことも、心のどこかで予感していた。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!


今回はがっつりスローライフ回!二人の初めての共同作業、いかがでしたでしょうか?


カオルの知識とスキル、そしてエリアーナの癒やしの力。この二人が揃えば、なんだって出来そうですね!


骨組みまで完成した、二人の愛の巣(工房です)。


次回、ついに壁と屋根が付き、快適なログハウスが完成します!


そして、完成した工房で、カオルが最初に作る「記念すべき燻製」とは……?


「こういうのでいいんだよ、こういうので!」


「スパイシージャーキーサンド、絶対美味い!」


「二人の夫婦感が最高すぎる」


と思っていただけましたら、ブックマークと☆☆☆☆☆の評価で、二人の新築祝いをよろしくお願いします!


皆様の応援が、工房をさらに立派にしていきます!

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