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第41話 『赤竜の鱗は究極の鉄板? 肉汁爆発! 「燻製チーズ・イン・ハンバーグ」と和解の食卓』

いつも応援ありがとうございます!

 前回、最強種である赤竜イグニスを「トマホークステーキ」で満足させ、代金として国宝級の『赤竜の鱗』を手に入れたカオル。

 普通の冒険者なら即座に売って大豪邸を建てるところですが、燻製バカの思考回路は違います。

「この鱗、ずっと熱を発してるな……せや! ホットプレートにしたろ!」

 というわけで、今回は伝説の素材を使った賄い飯です。

 王女と騎士団長。立場の違う二人が、一つのテーブルで熱々のハンバーグを突く。

 溢れ出す肉汁とチーズが、二人の心の壁も溶かしていきます。

 ジューシーなハンバーグ回、スタートです!

「……温かい。いや、熱いくらいだ」

 閉店後の『森の燻製工房』。

 俺はカウンターの上に置かれた、一枚の巨大な鱗を観察していた。

 赤竜イグニスが置いていった『赤竜の鱗』。

 直径は50センチほど。ルビーのような輝きを放ち、触れなくても熱気を感じる。

 鑑定スキルによれば、**《恒久熱源:表面温度200度を永続的に維持する》**というとんでもない代物だ。

「カオル様、それをどうするおつもりですか? ギルドに売れば、お城が一つ買えますよ?」

 エプロン姿のエリアーナが、お盆を拭きながら心配そうに尋ねる。

 隣では、騎士団長のセシリアが腕を組んで唸っていた。

「うむ……。竜の鱗で作った鎧は、あらゆる魔法を防ぐという。国家防衛の要にもなり得る素材だ。……まさか、鍋敷きにする気ではあるまいな?」

「いいや。鍋敷きじゃもったいない」

 俺はニヤリと笑った。

 200度で安定した熱源。しかも、汚れが一切付着しない超撥水はっすいならぬ超撥油はつゆ性質。

 これこそ、料理人が夢見る**『究極の鉄板グリドル』**じゃないか。

「ちょうど腹も減ったし、みんなで『賄い』にしよう。……今日はハンバーグだ」

「はんばーぐ! お肉こねこねですね!」

 ロロが尻尾をブンブン振ってボウルを持ってきた。

 今回のメニューは、ただのハンバーグではない。

 燻製の香りと、ドラゴンの熱を利用した『燻製チーズ・イン・ハンバーグ』だ。

 まずはタネ作り。

 牛と豚の合い挽き肉に、炒めた玉ねぎ、パン粉、卵、牛乳を混ぜる。

 ここまでは普通だが、俺はそこに**『冷燻コールド・スモーク』**をかける。

「生の挽き肉の段階で、15度の冷たい煙を10分だけ当てるんだ」

 チップは『ヒッコリー』。

 肉に火を通さず、香りだけを纏わせる。

 こうすることで、焼いた時に内側から香ばしい燻香が湧き上がる「燻製肉スモークミート」のタネが完成する。

 そして成形。

 タネの真ん中に窪みを作り、そこに『カマンベールチーズ』と『チェダーチーズ』をたっぷりと詰め込む。

 空気を抜きながら、チーズがはみ出さないように丁寧に丸める。

「よし。……セシリア、エリアーナ。テーブルの準備を頼む」

「了解した! ……しかし、どこで焼くのだ?」

「ここだよ。客席のテーブルだ」

 俺は『赤竜の鱗』を、ドンッ! とテーブルの中央に置いた。

 鱗はすでに、最適な焼き頃温度(200度)を放っている。

「えっ……まさか、その上で!?」

「いくぞ! ジューッ!」

 俺は人数分のハンバーグを、直接鱗の上に乗せた。

 ジュワァァァァァァッ!!

 凄まじい音が店内に響く。

 竜の鱗が持つ遠赤外線効果なのか、肉の表面が一瞬で焼き固められ、旨味を閉じ込める壁が作られる。

 普通のフライパンとは火の通りが違う。

「いい匂い……! 香ばしいお肉の匂いと、少し焦げたチップの香りがします!」

 エリアーナが目を輝かせる。

 両面に焼き色がついたら、少量の赤ワインを入れて蓋をし、蒸し焼きにする。

 待つこと5分。

 蓋を開けると、ふっくらと膨れ上がり、パンパンに張ったハンバーグが鎮座していた。

「完成だ。ソースは特製の『燻製デミグラス』をかけて……さあ、熱いうちに食おう」

 俺、ロロ、エリアーナ、そしてセシリア。

 四人がテーブルを囲む。

 かつては「王女」と「護衛」という堅苦しい関係だった二人も、今は同じ釜の飯を食う仲間だ。

「い、いただきます……」

 セシリアがナイフを入れる。

 その瞬間。

 プチュンッ……ドバァァァッ!!

 肉の堤防が決壊した。

 中から溢れ出したのは、透明な肉汁と、黄色と白のマーブル模様になったトロトロのチーズ。

 それらが鉄板(鱗)の上で混ざり合い、ジュウジュウと音を立ててソースと一体化していく。

「なんという……肉汁の洪水だ……!」

 セシリアは一口サイズに切った肉を、たっぷりのチーズに絡めて口に運んだ。

「……んん~~ッ!!」

 彼女が天を仰ぐ。

「美味しい……! 肉の表面はカリッとしているのに、中はフワフワだ! 噛むと燻製の香りが鼻に抜け、その後に濃厚なチーズと肉の旨味が押し寄せてくる……! なんだこれは、今まで食べていたハンバーグはただの肉団子だったのか!?」

「カオル様! これ、凄いです! チーズのコクが、燻製の香りでさらに深まっています!」

 エリアーナも頬を膨らませて幸せそうだ。

 ロロに至っては「はふはふ! 鱗さんありがとうですぅ!」と鱗に感謝しながら3個目を食べている。

 ふと見ると、セシリアの口元にソースがついていた。

「……セシリアさん、ついてますよ」

 エリアーナが、自分のナプキンで自然にセシリアの口元を拭った。

「あ、す、すまない……姫様、いや、エリアーナ殿」

「ふふ。ここでは『同僚』ですから。……もっと食べてくださいね、団長さん」

 エリアーナが、自分の皿から付け合わせのポテトをセシリアに分けてあげる。

 セシリアは一瞬驚いた顔をして、それから少しだけ表情を緩めた。

「……ああ。ありがとう。……美味いな、みんなで食べると」

 赤竜の鱗の熱気のおかげか、それとも燻製の魔法か。

 頑なだった騎士団長の氷の心も、チーズのようにすっかり溶けてしまったようだ。

 こうして、『森の燻製工房』の結束はより強固なものになった。

 竜の鱗という最強の調理器具ホットプレートを手に入れ、怖いものなしのカオルたち。

 だが、そんな平和な店を、遠くからじっと見つめる視線があった。

「……報告通りね。竜をも手懐ける料理人」

「会長、どうされますか? あの店を潰しますか?」

「いいえ。……『買収』よ。あの技術、我が『商業ギルド』が独占するわ」

 王都の経済を牛耳る巨大組織。

 そのトップが、不敵な笑みを浮かべて動き出そうとしていた。

 最後までお読みいただき、ありがとうございます!

 チーズ・イン・ハンバーグ!

 切った瞬間に中身が溢れ出すあれは、全人類の夢ですよね。

 しかも竜の鱗で焼くとか、火力調整いらずで最強のエコ調理です。

(※竜の鱗は本来、国宝級の素材ですが、カオルにかかればただのホットプレートです)

 さて、王宮(政治)、騎士団(武力)、ドラゴン(最強種)を攻略し、

 次なる敵は「経済」!

 商売敵として現れるのは、冷徹な女会長?

「店を売れ」と迫る彼女に対し、カオルが出す「答え(料理)」とは?

 金では買えない味がここにある!

 次回、商業ギルド編、開幕!

「ハンバーグ食べたくなった!」

「竜の鱗便利すぎw」

「みんな仲良しでほっこり」

と、肉汁に溺れたい方は、ぜひブックマークと☆☆☆☆☆の評価をお願いいたします!

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