表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/44

第31話 『床下からの侵入者!? 頑固ドワーフと黄金の半熟燻製卵、そして魔改造窯』

 いつも熱い応援、ありがとうございます!

 前回、可愛いコボルトのロロ君が仲間に加わり、癒やし成分が補充された『森の燻製工房』。

 しかし、平穏な時間は長く続きません。

 今回の訪問者は、なんと「床下」から!

「穴掘り族」ことドワーフの親方たちが、土埃と騒音と共にやってきます。

 彼らの目的は、美味しいお酒と、それに合う最高のアテ。

 カオルが出すのは、ラーメンのトッピングでも主役級の破壊力を持つ「あの卵」。

 とろっとろの半熟回、スタートです!

「ご主人様! チップの補充、終わりました!」

「ありがとう、ロロ。助かるよ」

 コボルトの少年・ロロが働き始めて数日。

 彼の鋭い嗅覚とまめな働きのおかげで、仕込みの効率は劇的に上がっていた。

 エリアーナも弟ができたようにロロを可愛がり、店はとても良い雰囲気だ。

 ……そう、足元が揺れだすまでは。

 ズズズズズ……ッ!

「えっ? 地震!?」

 エリアーナがトレイを押さえる。

 いや、違う。揺れは店の「真下」から局地的に発生している。

 ドガァァァァァァァンッ!!!

 凄まじい轟音と共に、厨房の床板が吹き飛んだ。

 もうもうと立ち込める土煙。

 ロロが「ひぃっ!」と俺の後ろに隠れる中、ぽっかりと空いた穴から、泥だらけのヘルメットが顔を出した。

「ケホッ! ぺっ! ……おい! ここは何処だ!?」

 現れたのは、立派な髭を蓄えた、岩のようにゴツい男。

 ドワーフだ。しかも一人ではない。穴からぞろぞろと三人も這い上がってきた。

「……あの、うちは燻製屋ですが。どちら様で?」

「ああん? ワシらは地下水道の拡張工事をしてたんだよ! だがな、数日前から天井の隙間から『とんでもなく美味そうな匂い』が降ってきやがって、仕事にならねぇんだよ!」

 リーダー格のドワーフ――親方のガルガンが、俺に詰め寄った。

「その匂いを辿って掘り進んでみりゃあ、ここに出たってわけだ! 責任取れ、人間! ワシらの鼻と腹はもう限界なんだ!」

 完全に逆ギレである。

 しかし、彼らの目は本気だ。美味しいものを食わせないと、このまま店を解体されかねない迫力がある。

「……わかりました。お詫びと言ってはなんですが、自慢の燻製をお出ししましょう。ちょうど、酒飲みのための新作ができたところです」

「酒だと!? 話が早ぇじゃねえか!」

 俺は彼らを、破壊された床の端(比較的安全な場所)に座らせ、冷蔵室から壺を取り出した。

 中に入っているのは、数種類の出汁と醤油ベースのタレに三日間漬け込んだ『半熟卵』だ。

「これを、今から燻します」

 俺は手早くチップを用意する。今回は『ヒッコリー』と『ピート(泥炭)』のブレンド。

 ピート特有の薬品のような、スモーキーな香りは、ドワーフ好みの強い酒に合うはずだ。

 《スキル【燻製マスター】Lv.2:『瞬間・風神燻ソニック・スモーク』》

 《熱燻の煙を高速で循環させ、卵の表面を一瞬でコーティング。黄身に熱を通さず、香りだけを定着させます》

 わずか数分。

 艶やかな飴色アンバーに染まった卵が完成した。

 俺はそれを半分に切り、皿に盛る。

 パカッ。

「おおぉぉ……ッ!?」

 ドワーフたちがどよめいた。

 白身はしっかりと色づいているのに、中心の黄身は、今にも流れ出しそうなほどのドロドロの半熟。

 黄金色のマグマが、断面からとろりと溢れ出し、燻製の煙と共に揺れている。

「『半熟煮玉子の瞬間燻製』です。どうぞ」

 ガルガン親方が、ゴクリと喉を鳴らし、震える手で卵を掴んだ。

 そして、一口で放り込む。

「んんっ……!!」

 親方の動きが止まる。

 口の中で、プリッとした白身が弾け、次の瞬間、濃厚な醤油ダレの味と、ねっとりとした黄身の甘みが氾濫する。

 そして、鼻腔を突き抜ける、ピートの強烈な燻香。

「……酒だ! 酒を持てぇぇぇッ!!」

 ガルガンが叫ぶ。

 俺は用意していた冷えたエールを差し出した。

 彼らはそれを奪い取り、一気にあおる。

「プハァァァァッ!! 最高だ! たまらん! この卵、黄身がソースみてぇに濃厚で、煙の匂いが酒を加速させやがる!」

「親方! こっちの『チーズ入り』も美味いですぜ!」

「こっちの『マヨネーズ乗せ』も犯罪的だ!」

 ドワーフたちは、あっという間に卵を平らげ、樽ごとおかわりを要求してきた。

 機嫌は完全に直ったようだ。

 一息ついたガルガン親方が、ゲップをしながら厨房を見回し、ふと眉をひそめた。

「……それにしても、兄ちゃん。お前、こんないい腕してるのに、道具がボロすぎねぇか?」

「え?」

「その煉瓦の燻製窯スモーカーだよ。熱伝導も悪いし、気密性もガバガバだ。これじゃあ、お前のスキルの半分も活かせねぇだろ」

 図星だった。

 店が急激に忙しくなり、初期装備の自作窯では、量も質も限界が来ていたのだ。

「……そうなんですが、買い換える暇もなくて」

「よし! 決めた!」

 ガルガン親方が立ち上がり、ニカっと笑った。

「美味い卵の礼と、床をぶち抜いた詫びだ。ワシらが『本物』の窯を作ってやる!」

「えっ、いいんですか!?」

「おうよ! 地下工事で余った『ミスリル銀』と『耐火煉瓦』を使ってな……へっへっへ、職人の血が騒ぐぜ!」

 そこからは早かった。

 ドワーフたちは仲間を呼び寄せ、土魔法と鍛冶技術を駆使して、瞬く間に厨房を改築し始めた。

 カンカンカンッ! ジュウウウッ!

 数時間後。

 そこには、鈍い銀色に輝く、巨大な最新鋭の燻製窯が鎮座していた。

『ミスリル製・魔導燻製窯スモーク・オーブン

 ・温度管理機能付き(自動調整)

 ・三段式で大量調理可能

 ・煙の循環効率300%アップ

「す、すげぇ……」

「へんっ、こんなもんだ。これで思う存分、美味いもんを作りやがれ! ……あ、支払いは『卵の燻製』一年分でいいぞ?」

 こうして、俺は最強の調理器具を手に入れた。

 ロロの鼻、エリアーナの接客、そしてドワーフ製の魔導窯。

 店のレベルが、一気に数段階跳ね上がった気がする。

 だが、道具が良くなれば、作りたくなるのが職人のさが

 俺はこの新しい窯で、今まで作れなかった「長時間の温燻」が必要な、あの大型料理に挑戦することを決意していた。

 最後までお読みいただき、ありがとうございます!

 ドワーフ襲来! からの、まさかの設備投資成功!

 やはり職人同士、通じ合うものがありますね(主に胃袋で)。

「半熟煮玉子の燻製」……ラーメン屋でこれが出てきたら、それだけでビール3杯はいけます。

 黄身のとろとろ感と燻製の香りは反則級の組み合わせです。

 さて、最強の窯「ミスリル製スモーカー」を手に入れたカオル。

 次回は、この窯の性能をフル活用した「丸ごと」料理に挑みます。

 ターゲットは……鳥? 豚?

 いいえ、丸ごと一匹の『若鶏』を使った、クリスマスも顔負けの豪華メニューです!

 皮はパリパリ、中はジューシー。

 ナイフを入れた瞬間に溢れる肉汁の海。

「スモーク・ローストチキン」回、お楽しみに!

「煮玉子最高!」

「ドワーフのおっちゃん、いいキャラw」

「ミスリルの無駄遣い(褒め言葉)」

 と、とろとろの黄身に惹かれた方は、ぜひブックマークと☆☆☆☆☆の評価で、カオルの快進撃を後押ししてください!

 よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ