第18話 『開店、即、完売。そして街に広がる『聖女』の噂』
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皆様のブクマと評価のおかげで、カオルとエリアーナの物語は絶好調です!
さて、前回まさかの大行列で幕を開けた『森の燻製工房』の初日。
ついに、その扉が開かれます!
カオルの「楽園のソーセージ」と、エリアーナの接客。この二つが組み合わさった時、テルムの街に前代未聞の熱狂が巻き起こります!
飯テロと、商売繁盛の爽快感(ざまぁ要素はありませんが、圧倒的成功というカタルシス)をお楽しみください!
「……嘘だろ。列が、まだ伸びていく……」
店の窓から外を覗き込んだ俺は、冷や汗を拭った。
開店5分前。行列は角を二つ曲がり、大通りまで達しているという報告が、ドノバン様が派遣してくれた警備のギルド職員から入っていた。
「カオル様、大丈夫です。私たちが作ったものですから、きっと喜んでいただけます」
エリアーナが、俺の背中にそっと手を添える。
純白の『聖女の白夜のマント』を羽織り、店の制服として用意した清潔なエプロンをつけた彼女は、凛として美しかった。マントの『精神守護』の効果か、彼女からは微塵の動揺も感じられない。
「……そうだな。やるしかない。よし、いくぞ!」
俺は深呼吸をして、店の扉を大きく開け放った。
「『森の燻製工房』、ただいまより開店します!!」
その瞬間、怒号のような歓声が上がった。
先頭の客たちが、雪崩を打って店内に入ってくる。
「おい!噂のソーセージをくれ!5本だ!」
「こっちは10本だ!」
「俺はパンに挟んだやつをくれ!」
注文の嵐。だが、俺の頭の中は驚くほど冷静だった。
《スキル【燻製マスター】Lv.2が発動。調理工程を並列処理します》
俺の前には、特注の巨大な鉄板。
そこへ、一度燻製してあるソーセージを次々と並べていく。
ジュウウウウウウウッ!!
一斉に脂が弾ける音と共に、熟成された肉とスパイス、そして燻製の香りが爆発的に広がり、店内はおろか、通りまでをも支配した。
「うおぉぉっ!なんだこの匂いは!?」
「匂いだけで酒が飲めるぞ!」
客たちの目が、飢えた狼のように変わる。
俺はスキルによる完璧な温度管理で、数十本のソーセージを同時に、最高の焼き加減に仕上げていく。
「お待たせいたしました!『楽園のソーセージ』です!」
「焼きたてをどうぞ!」
ホールの接客は、エリアーナと、ギルドから派遣された数名の店員が担当している。
だが、客たちの視線は、忙しく動き回るエリアーナに釘付けだった。
「おい、あの子……めちゃくちゃ可愛くないか?」
「銀髪の……まるで妖精みたいだ」
「それに、あの動き。あんなに忙しいのに、汗ひとつかいてないぞ……?」
エリアーナのマントには『完全恒温』と『自動浄化』がついている。熱気渦巻く厨房近くでも、彼女だけは涼やかな風をまとった女神のように美しく、そして疲れを知らなかった。
そして、肝心のソーセージを口にした客たちが――次々と「撃沈」していく。
「――ッ!!??」
「な、なんだこれはぁぁぁッ!!」
「皮が!パリッと弾けて、中から肉汁が!?」
「美味い!美味すぎる!これが銀貨1枚(約1,000円)だと!?ふざけるな、金貨を出しても惜しくないぞ!」
店内は、歓喜と咀嚼音、そして追加注文を叫ぶ声で阿鼻叫喚の地獄絵図――いや、天国絵図となった。
「持ち帰り用、あるだけくれ!」
「明日また来るから予約させてくれ!」
カチャリカチャリと、代金の硬貨が箱に投げ込まれていく音が止まらない。
俺の手も止まらない。
焼いて、出して、焼いて、出して。
だが、不思議と疲れはなかった。客たちの「美味い!」という笑顔が、何よりの回復薬だったからだ。
そして――。
「えー、大変申し訳ございません!!本日の分は、これにて完売とさせていただきます!!」
ギルド職員の声が響いたのは、開店からわずか2時間後のことだった。
用意していた500本のソーセージが、文字通り「蒸発」したのだ。
「ええーっ!?」
「まだ並んでたのに!」
「明日だ!明日は絶対一番に並ぶぞ!」
買えなかった客たちの悔しげな叫びを聞きながら、俺たちは店の扉を閉めた。
嵐が、過ぎ去った後のような静寂。
「……終わった……」
「……はい、終わりましたね……」
俺とエリアーナは、その場にへたり込んだ。
そして、売上金の入った箱を開ける。
そこには、山のような銀貨と、かなりの数の金貨が混じっていた。
「……たった2時間で、普通の店の、一ヶ月分の売り上げだ……」
俺は震える手で、エリアーナとハイタッチを交わした。
大成功だ。文句なしの、大勝利だ。
だが、俺たちはまだ知らなかった。
この日の熱狂が、別の意味を持つ噂となって、街中に広がり始めていることを。
街の酒場や広場で、興奮した客たちが語り合っていたのだ。
「なあ、聞いたか?あの店のソーセージ、食ったら古傷の痛みが消えたんだよ」
「俺なんか、徹夜続きだったのに、目がパッチリ冴えちまった」
「やっぱり、あそこで給仕をしてた銀髪の子……。あの子が料理に『祝福』をかけてるんじゃないか?」
「『森の聖女様』……いや、『ソーセージの聖女様』か?」
本来、身を隠すべき元聖女・エリアーナの存在が、『食の奇跡』と共に、予期せぬ形で注目を集め始めていた。
そして、その噂は、街の教会に潜む、とある人物の耳にも届こうとしていた。
「……ほう。食べただけで傷が癒える肉、か……。そして、銀髪の娘……」
工房の成功の裏で、新たな運命の歯車が、静かに回り始めていた。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
開店即完売!気持ちいい!!
圧倒的な実力でねじ伏せるこの展開、楽しんでいただけましたでしょうか?
500本のソーセージを2時間で売り切るカオルの調理スキルも大概ですが、マントのおかげで涼しい顔して働き続けるエリアーナも、十分に人間離れしています(笑)。
そして、恐れていた(?)事態が。
あまりにも高性能すぎる料理と、エリアーナの美しさが、「聖女」の噂を生み出し始めてしまいました。
「ソーセージの聖女」という二つ名は、果たして名誉なのか、それとも……?
次回、大繁盛の裏で動き出す不穏な影。
しかし、カオルたちはそんなことつゆ知らず、稼いだお金で「次なる一手」を打ち出します!
スローライフ(大忙し)は、まだまだ止まらない!
「ソーセージの聖女www」
「圧倒的勝利!読んでてスカッとした!」
「教会にバレるのはヤバイのでは……?」
と、続きが気になっていただけましたら、ぜひブックマークと☆☆☆☆☆の評価で、二人の行く末を見守ってください!
よろしくお願いいたします!




