第15話 『聖なる煙のなめし革、約束のマント、そして頬の温もり』
お読みいただき、本当にありがとうございます!
皆様のおかげで、物語はついに15話という節目を迎えることができました!
さて、前回、街に豪華な拠点を手に入れた二人。
しかし、彼らの本当の城は、やはりあの森の工房です。
今回は、ついに、あの約束が果たされる時が来ました。
瘴気獣から手に入れた最高の素材『無垢なる聖毛皮』と、街で揃えた最高の道具。そして、カオルのLv.2のスキルが融合する時――ヒロインが装備するアイテムとしては、史上最高級の一品が生まれるかもしれません。
心して、お読みください!
街の拠点での快適な数日を過ごした後、俺とエリアーナは、新品の道具一式を荷馬車に積んで、森の工房へと帰ってきた。
やはり、この澄んだ空気と木の香りに包まれると、心が落ち着く。ここが俺たちの原点だ。
工房に、街の鍛冶屋に特注した真新しい道具を並べていく。ミスリル銀のように輝く解体ナイフ、黒檀の柄がついた手斧、そして毛皮をなめすための専用のなめし台。どれも、職人の魂が宿った一級品だ。
「すごい……道具が、まるで宝石みたいに輝いています……」
「ああ。最高の道具が揃った。――エリアーナ、約束の品を作る時が来た」
俺が保管箱から『無垢なる聖毛皮』を取り出すと、エリアーナはごくりと息を呑んだ。
穢れを知らぬ純白の毛皮は、それ自体が聖なる光を放っているかのようだ。
「さあ、始めようか」
まずは、なめしの作業からだ。これは、毛皮から余分な脂肪や組織を取り除き、「皮」を「革」へと変化させる、最も重要な工程。
新品のミスリルナイフは、恐ろしいほどの切れ味で、俺の意のままに毛皮の上を滑っていく。
だが、俺のやり方は、この世界の常識とは少し違っていた。
「カオル様……?それは……燻製の準備、ですか?」
「ああ。最高の毛皮には、最高の燻製技術が必要なんだ」
俺は、なめしの最終工程に、燻製を取り入れた。
使う薪は、瘴気獣との戦いの決め手となった『月光樹』の枝。そして、火の中には砕いた『星屑の岩塩』をひとつかみ加える。
立ち上るのは、ただの煙ではなかった。聖なる銀鈴草の時と同じ、清浄な魔力を帯びた、銀色の煙。
俺はその聖なる煙を、工房の外に作った専用のテントに引き込み、吊るした聖毛皮を、じっくりと、優しく燻していく。
これは、風味付けのためではない。煙の持つ魔力と浄化作用を、革の一本一本の繊維にまで浸透させ、素材をさらなる高みへと昇華させるための、『聖煙の儀』だ。
《スキル【燻LEDマスター】Lv.2が『聖煙なめし』を実行中……》
《『無垢なる聖毛皮』の魔力抵抗値が上昇します》
《『無垢なる聖毛皮』に、浄化・防汚・恒温の特性が付与されます》
スキルが、俺のやっていることが正解だと教えてくれる。
丸一日かけて燻し終えた毛皮は、もはや神の使いの羽衣とでも言うべき代物に変化していた。
純白の輝きはそのままに、シルクのように滑らかで、羽のように軽い。なのに、ミスリルの鎧に匹敵するほどの頑丈さを秘めている。
俺は、その奇跡の革を、エリアーナの体に合わせながら、丁寧に裁断し、縫い合わせていく。
最後に、留め具だ。
俺は『金剛の爪』の一本を、工房の片隅に作った小さな炉で熱し、砥石で慎重に削り出した。
完成したのは、夜空に輝く三日月を思わせる、漆黒の美しい留め具。
純白のマントに、漆黒の留め具。
そのコントラストは、我ながら完璧だった。
「……できたぞ。エリアーナ」
完成したマントを、俺は彼女の肩に、そっとかけてやった。
マントは、まるで意志を持っているかのように、彼女の体にぴったりとフィットする。
《鑑定結果:聖女の白夜のマント》
《効果:物理・魔法ダメージ大幅軽減、自動浄化、完全恒温(常に快適な温度を保つ)、気配遮断、精神守護(精神攻撃への耐性)》
「…………」
俺が鑑定結果に絶句していると、エリアーナは、自分の身を包むマントの感触を、確かめるようにそっと撫でていた。
「あたたかい……。カオル様の、優しさに包まれているみたいです……」
「気に入ってくれたか?」
「はい……!はいっ……!私の……宝物です……!」
彼女は、くるりと一回転してみせる。
純白のマントが、ふわりと舞った。銀の髪と、海の色のドレス、そして純白のマントをまとった彼女は、もはや人間ではなく、舞い降りた天使そのものだった。
俺が、その神々しい姿に見惚れていると。
エリアーナは、俺の前に歩み寄ると、少しだけ背伸びをして――
ちゅっ。
俺の頬に、柔らかく、温かい感触が触れた。
「え……」
「……あ、あの!これは、その……!感謝の、気持ちです!他意は、ありませんので!」
顔を真っ赤にしたエリアーナは、それだけ言うと、マントを翻して工房の外へと駆け出していってしまった。
俺は、自分の頬に残る、夢のような感触に、しばらくの間、その場で立ち尽くすことしかできなかった。
頬が、燃えるように熱い。
約束は、果たした。
そして、俺たちの関係も、どうやら新しいステージへと、一歩だけ、進んだようだ。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
やりました……!ついに、約束の「聖女の白夜のマント」が完成です!
チート性能もさることながら、最後のエリアーナのキスシーン!いかがでしたでしょうか!?作者は書きながら、砂糖を吐きそうでした(笑)。
さて、エリアーナの守りも完璧になり、二人の仲も大きく進展しました。
いよいよ、商人ギルドとの約束を果たすべく、本格的な「燻製工房」の稼働が始まります!
次回、カオルは『浄化された極上獣肉』を使い、テルムの街の度肝を抜く、新たな「キラー商品」の開発に着手する!
その驚くべき商品とは、一体……!?
「最高のプレゼント回だった!」
「マントの性能、盛りすぎで最高w」
「頬キス!ごちそうさまです!!!」
と、二人の進展にニヤニヤしていただけましたら、ぜひブックマークと☆☆☆☆☆の評価で、この甘い余韻を分かち合ってください!
よろしくお願いいたします!




