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第12話 『レベル2の初仕事と星光の霊薬、そして君への贈り物』

皆様、いつも熱い応援を本当にありがとうございます!


さて、前回ついにレベルアップを果たしたカオル。


今回は、そのLv.2になった【燻製マスター】の力が、ついにベールを脱ぎます!


戦利品の中でも最高のお宝『マナの結晶心臓』を使い、新レシピ『霊薬燻製』に挑戦!


果たして、一体どんな規格外のアイテムが生まれてしまうのか……?

 瘴気獣との激闘から一夜が明け、森には穏やかな朝が訪れた。


 エリアーナはまだ疲労が抜けきらないのか、ベッドですうすうと寝息を立てている。聖なる力を文字通り絞り出したのだ、無理もない。


(少しでも早く、元気になってほしい)


 その一心で、俺は工房に一人立ち、ある決意を固めていた。


 昨日の戦利品の中でも、ひときわ異彩を放っていたアレに、挑む時が来たと。


 俺は保管箱から、慎重に『マナの結晶心臓』を取り出した。


 それは、まるで巨大な宝石だった。人の拳ほどの大きさで、内側から淡い光を放ち、どく、どくと生命のように脈動している。触れるだけで、膨大な魔力が伝わってきた。


 これと、レベルアップで得た新レシピ『霊薬燻製』を組み合わせる。


 一体、何が生まれるんだ?


 《スキル【燻製マスター】Lv.2がレシピを提示します》


 《レシピ名:星光のジャーキー(霊薬級)》


 《概要:マナの結晶体を燻製することで、エリクサーに匹敵する回復効果を持つ携帯食料を作成する秘儀。》


 《警告:調理過程でマナの制御に失敗した場合、小規模な魔力爆発を引き起こす危険性があります。細心の注意を払ってください。》


「……魔力爆発、ね」


 ごくり、と喉が鳴る。どうやら、Lv.2の初仕事は、命がけのクッキングになりそうだ。


 だが、エリアーナのためだ。やるしかない。


 俺は『燻製師の解体ナイフセット』の中から、最も繊細な刃を持つ一本を手に取った。


 息を止め、 pulsatingする結晶心臓に刃を入れる。硬いようで、すっと刃が通る不思議な感触。まるで、光の塊を切り分けているようだった。


 俺はそれを、数ミリの厚さの薄切りにしていく。切り分けられた破片は、まるで星屑のようにキラキラと輝いていた。


 次に、浄化された湧き水と『星屑の岩塩』、そして心を落ち着かせる効果のある『月見草』の葉を数枚入れた液体に、星屑の破片を浸していく。


 マナが逃げ出さないよう、優しく、しかし確実に下味を染み込ませる。


 そして、いよいよ燻製工程だ。


 使うのは、工房に備え付けた特製の暖炉兼燻製器。


 薪には、スキルが推奨した、魔力伝導率の高い『月光樹』の枝を使う。


 火をつけ、煙を立てる。


 それは、ただの煙ではなかった。立ち上る煙は、月光のように淡い銀色を帯び、まるで天の川のようにきらめいている。


 俺はその聖なる煙の中に、星屑の破片を一枚一枚、丁寧に吊るしていく。


 あとは、スキルによるナビゲートに従い、完璧な温度と煙の量を維持するだけ。


 それは、料理というより、儀式に近い作業だった。


 俺の全神経が、燻製器の中に注がれていく。


 どれほどの時間が経っただろうか。


 燻製器の中から放たれる光が、最高潮に達した瞬間、俺は火を止め、ゆっくりと蓋を開けた。


 工房内に、甘く、清浄で、ただそこにあるだけで魂が満たされるような、神々しい香りが満ち溢れた。


 燻製器の中にあったのは、もはやジャーキーと呼べる代物ではなかった。


 一枚一枚が、光を閉じ込めた琥珀のように透き通り、自ら淡い星のような光を放っている。


『星光のジャーキー』の完成だ。


 《鑑定結果:星光のジャーキー(霊薬級)》


 《効果:食した者の魔力と生命力を、瞬時に全快させる。あらゆる状態異常と呪いを浄化する。一切れで、市販の最高級ポーションを遥かに凌駕する。》


「……とんでもないものが、できちまったな」


 俺は完成したジャーキーの中から一枚を手に取り、まだベッドで休んでいるエリアーナの元へ向かった。


「エリアーナ、起きれるか?すごいものができたんだ」


「……カオル様……?……まあ、なんて綺麗な……お菓子ですか?」


 目を覚ましたエリアーナは、俺の手の中にある星光のジャーキーを見て、不思議そうに首を傾げた。


「薬だよ。君のためのな。さあ、一口食べてみてくれ」


「こ、こんなに貴重そうなものを……!私なんかが……」


「いいから」


 俺が促すと、彼女は申し訳なさそうに、小さな口でひとかじりした。


 その、瞬間だった。


 エリアーナの全身が、温かい黄金の光に、ふわりと包まれた。


 消耗しきっていた彼女の瞳に、みるみるうちに生命力がみなぎり、青白かった頬には、血の気が戻っていく。


「あ……あ……!」


 エリアーナは、自分の体に起きている奇跡に、驚きの声を上げた。


 光が収まった時、そこにいた彼女は、俺が初めて会った時よりも、ずっと健康的で、生命力に満ち溢れていた。


「体が……魔力が、満ちていく……。いえ、前よりも、ずっと……!カオル様、これは、一体……」


「俺の、新しい力だよ。君を元気にするためのな」


 俺の言葉に、エリアーナははらはらと涙をこぼした。


 そして、次の瞬間、彼女はベッドから飛び出すと、力いっぱい俺に抱きついてきた。


「ありがとうございます……!ありがとうございます、カオル様……!」


 その温もりと、感謝の言葉が、俺の心の、一番温かい場所をじんわりと満たしていく。


 俺は、彼女を優しく抱きしめ返しながら、決意した。


 このスキルで、この力で、俺は彼女を守り、支えていく。


 そして、このとんでもない代物を、どう活かしていくか。


 手の中に残る、数枚の星光のジャーキー。


 そして、工房に眠る、伝説級の素材の山。


(……そろそろ、ドノバン様のところに、顔を出しに行くか)


 俺たちのスローライフは、どうやら次のステージへと進む時が来たようだ。


 それは、この世界の常識を、俺の燻製がひっくり返し始める、本当の始まりの合図だった。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!


やりました……とんでもないチートアイテム『星光のジャーキー』、爆誕です!


Lv.2の初仕事で、いきなりエリクサー級の霊薬を作り上げてしまうカオルのスキル、末恐ろしいですね(笑)。


エリアーナも完全回復し、二人の絆はさらに深まりました。


そして、カオルはついに、本格的な商業活動を決意します。


次回、カオルとエリアーナは再び、街テルムへ!


この『星光のジャーキー』を目の当たりにした時、商人ギルドマスター・ドノバンは、一体どんな反応を示すのか!?


辺境の街に、とんでもない激震が走ります!


「インフレがすごい!(褒め言葉)」


「エリアーナの抱きつき、ごちそうさまです」


「ドノバン様の驚く顔が目に浮かぶw」


と、次回の展開にワクワクしていただけましたら、ブックマークと☆☆☆☆☆の評価で、二人の新たな門出を祝福してください!

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