第11話 『戦いの後、莫大な恵み、そしてレベル2の景色』
皆様の熱い応援のおかげで、無事に瘴気獣を撃破することができました!本当にありがとうございます!
手に汗握る戦いを乗り越えたカオルとエリアーナ。今回は、読者の皆様が待ち望んでいた「戦利品(お宝)」と「ご褒美」の回です!
レベルアップした【燻製マスター】は、一体どんなとんでもない力を秘めているのか?
倒した瘴気獣からは、どんな規格外の素材が手に入るのか?
興奮と飯テロと、少しのほっこりを詰め込んでお届けします!
勝利の咆哮は、なかった。
ただ、森を覆っていた邪悪な気配が霧散し、本来の清浄な空気が戻ってきたことだけが、俺たちの勝利を静かに告げていた。
「……カオル様……」
隣で、エリアーナの体ががくりと傾ぐ。聖なる力を使い果たし、顔は青白く、立っているのがやっとの状態だった。
「よく頑張ったな、エリアーナ。もう大丈夫だ」
俺は彼女の体をそっと横抱きに抱え上げた。驚くほど軽い。この小さな体で、俺と一緒に戦い抜いてくれたんだ。
完成したばかりの我が家――ログハウスへと戻り、彼女をベッドにそっと寝かせる。すぐに穏やかな寝息を立て始めた彼女の額に、俺はそっと感謝の口づけを落とした。
翌朝。
俺は一人、昨日の戦場――巨大な落とし穴へと向かった。
穴の底には、浄化され、巨大な熊の姿に戻った亡骸が横たわっている。問題は、どうやってこれを引き上げるか、だ。
(……こういう時こそ、キャンプの知識だな)
俺はロープと木の枝を使い、滑車の原理を応用した簡易的なクレーンを組み上げた。時間はかかったが、一人でもなんとか、巨大な熊の亡骸を地上へと引きずり出すことに成功する。
そして、解体作業。
ここで俺は、自分が倒した相手が、どれほど規格外の存在だったかを思い知ることになる。
《スキル【燻製マスター】が瘴気獣の素材を鑑定します》
• 『浄化された極上獣肉』:瘴気が完全に浄化され、生命力に満ちた最高級の肉。食せば、傷や疲労を回復させる効果がある。
• 『無垢なる聖毛皮』:一切の穢れを知らない、純白の毛皮。非常に頑丈かつ、微弱な魔力抵抗を持つ。
• 『金剛の爪』:黒曜石のように硬く、鋭い爪。加工すれば、最高級のナイフや矢じりになる。
• 『マナの結晶心臓』:瘴気が浄化される過程で、獣の生命力とエリアーナの聖力が凝縮して生まれた奇跡の結晶体。膨大な魔力を秘めている。
「…………マジか」
出てくるもの全てが、伝説級のアイテムばかりだった。そこらのダンジョンボスを倒したって、これほどのドロップ品はないだろう。
そして、俺は改めて自分自身の変化を確認する。
《スキル:【燻製マスター】Lv.2》
《解放された新レシピ(一部抜粋):》
• 『熟成燻製』:肉を長期間燻し熟成させることで、旨味を極限まで引き出す禁断の調理法。
• 『霊薬燻製』:マナを帯びた素材を燻製することで、ポーションを超える回復効果を持つ霊薬を作り出す。
《生成可能アイテムが追加:》
• 『燻製師の解体ナイフセット』:燻製ポイントで生成可能。どんな巨大な獣でもスムーズに解体できる、魔法の切れ味を持つナイフ。
• 『保存のための魔法塩』:燻製ポイントで生成可能。素材の鮮度を長期間保つことができる特別な塩。
「……レベルが1つ上がっただけで、できることが違いすぎる……!」
俺は早速、燻製ポイントで『解体ナイフセット』を生成。驚くほどスムーズに、巨大な熊の解体を終えることができた。
手に入れた莫大な量の極上肉は『魔法塩』で処理し、聖毛皮と爪、そして結晶心臓は、工房で大切に保管することにした。
工房に戻ると、エリアーナが目を覚ましていた。
顔色も随分と良くなっている。
「カオル様……!お怪我は!?」
「ないない。それより、すごいものが手に入ったぞ」
俺が戦利品について説明すると、エリアーナは信じられないといった顔で目を見開いた。
「そんな……。あの獣が、これほどの恵みをもたらしてくれたなんて……」
「君の聖なる力のおかげだ。これは、俺たち二人の勝利の証だよ」
俺は、浄化された熊肉の中でも、特に柔らかいロースの部分を厚切りにし、鉄のフライパンでシンプルに焼き上げた。味付けは、街で買った『星屑の岩塩』だけ。
ジュウウウッ、と肉の焼ける音が、工房内に響き渡る。
それだけで、暴力的なまでに食欲をそそる香りが満ちていた。
「さあ、快気祝いだ。まずは、俺たちの勝利に乾杯しよう」
焼き立てのステーキを頬張る。
その瞬間、俺は言葉を失った。
(……なんだ、この肉は……!?)
柔らかい、とか、ジューシーだとか、そんな陳腐な言葉では表現できない。
噛んだ瞬間、肉が舌の上でとろけ、凝縮された生命力そのものが、奔流となって体中に染み渡っていくような感覚。疲労が、体の芯から消えていく。
「……おいし、いです……。体が、喜んでるのがわかります……」
エリアーナもまた、涙を浮かべてステーキを味わっていた。
最高の勝利の宴だった。
食事を終え、俺は保管してある純白の毛皮を手に取った。
それは、エリアーナの銀髪のように美しく、触れると吸い付くように滑らかだった。
「エリアーナ。これで、君のために暖かいマントを作ろうと思う」
「えっ……!そんな、こんな貴重なもの……!」
「君がいたから、手に入ったものだ。それに、君にはいつも温かくしていてほしいからな」
俺がそう言って微笑むと、エリアーナは顔を真っ赤にして俯いてしまった。
その耳まで赤くなっているのを見て、俺はなんだか無性に、彼女が愛おしくなった。
手に入れた、最高の素材。
レベルアップした、無限の可能性を秘めたスキル。
そして、かけがえのないパートナー。
「さて、と……。次は、何を作ろうか」
俺の燻製工房の本当の始まりは、ここからなのかもしれない。
俺の頭の中は、これから生み出すであろう、まだ見ぬ絶品燻製のことで、いっぱいになっていた。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
激闘を終え、今回はご褒美たくさんのボーナスステージでした!
伝説級の素材の山に、レベルアップしたチートスキル。カオルのスローライフ(?)は、ここからさらに規格外の領域へと突入していきます。
エリアーナへのプレゼント(マント)の約束も、ニヤニヤが止まりませんね!
そして、手に入れた『マナの結晶心臓』。
これを、新レシピ『霊薬燻製』で調理したら、一体どんなとんでもないものが出来上がってしまうのか……?
次回、ついにレベル2のスキルが火を噴きます!「伝説のポーション」を超える、「伝説の燻製」が、ここに爆誕する!
「この戦利品、ヤバすぎる!」
「レベル2のスキル、夢が広がりすぎるだろ……」
「はよマント作ってあげて!」
と、ワクワクが止まらなくなっていただけましたら、ブックマークと☆☆☆☆☆の評価で、カオルの新たな創作活動を応援してください!
よろしくお願いいたします!




