腹からイソギンチャクが生えた話、から抜粋してみた。
新生児検査諸々も無事に何事もなく終わって、月を跨いで間も無くに退院。
如月達の退院前に母が色々と配置換えをしてくれていて、ソファをベッド代わりにして、何かあってもすぐに動けるようにしてくれていた……のだが、事件は一ヶ月過ぎたところで起きてしまった。
傷が開いた。
…と言うわけで、ようやくタイトル回収話になる。
だけど、傷・症例の話になるので、人によっては結構ゾワゾワしてしまうかもしれない。
その辺はどうかご了承頂きたい、症例部分はここではあんまり長く掲載しないけども。
傷跡テープ貼替2回目まで何もなってなかったのに、急に現れた見知らぬモノ。
自分でもゾワッとしつつ確認すると、少し抉れた状態の赤黒い傷が2つほど出来ていた。
さらに傷が開いたら困るけれど、そう言う時に限って世間はちょうどお盆時期で医療機関はお休み。なので休みが明けてすぐに、産院で診察してもらう事に。
拵えてしまった傷は、擦れ合って皮膚の表層部分のみが破けてしまった、と言う事だった。
…なんで擦れ合ってたのかという詳細?本の中でだけの説明にさせて欲しいので割愛。
とりあえず、なんかしらの理由でできてしまったお腹の傷。治療法はというと。
「抗生物質の塗り薬を出すから、それを塗ってもらって。それを乾かした後に絆創膏の高級なアレ貼ってね」
そんな感じで自宅治療をしつつ、なんや寒夜と色々なことを乗り越えながら1ヶ月が過ぎたある日のこと。
風呂場で高級なアレを剥がして、体を洗ってシャワーを浴び出したところで、お腹の異変に気付く。
「……なんか、そよいでるな?」
思わず声に出してしまい、目視確認。
お腹の傷口部分の2箇所両方が、イソギンチャクの触手のように水にそよいでいた。
イソギンチャクと言うと某ピンクの丸いアイツの海ステージに出てくる敵キャラ的な、もさっとした感じを想像するかも知れない。
だが如月には、平ったく吸盤みたいな形をした、オオイソギンチャクモドキみたいなタイプが出来ていた。
高級なアレを使った修復力の高さはよく知っていたけど、こんな事になるなんて予想してる訳もなく。
流石にこれはマズ過ぎるのでは?と思い、翌日はチビらぎを母に任せて午前中に速攻で産院へ。
このイソギンチャクが一体なんだったのか。わかる人にはすぐわかると思うけども。
お腹にイソギンチャクができるのは本当に珍しいケースだから参考の除外にしてもらいたいけど、傷跡の痛み具合は比べられる物ではない。
なので、経験者から聞いた話が自分の中にあるとしても「○○さんは大したことないって言ってた」みたいな発言は控えていただけたらこれ幸い。
技量を比べるのであれば第三者の方がいいけれど、相手の痛みや回復程度を自分と比べる事ができるのは、その状況をよく知る当事者だけだと思うので。