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腹からイソギンチャク お試し版。  作者: 如月 巽
妊娠中の話…の抜粋。
5/8

令和の時代にも戦力外通告?!と焦った実話から抜粋してみた。

 法律上、正社員だろうがパートタイムだろうが、私みたいな非正規雇用の人間だろうが、労働している妊婦は、皆等しく《産前産後休暇》と《育児休業》を取得することができる。


 この書き方をするとやや刺立つ感じに聞こえるかも知れないが、この《産前産後休暇》は、単胎出産の場合は出産予定日から数えて6週間前からの取得となる。

 産休前までの勤務期間に体調不良を引き起こした時はどうするんだというと、社会人にとっては当たり前だけど有給休暇取得か当日欠勤連絡を入れた上で、病院に行ったり自宅でゆっくり休む他にない。


 法律上では生理休暇というのが認められているけど、妊娠には特別休暇的な物はない。


《チビらぎ》の出産予定日は6月30日だったので、その6週間前に当たる5月20日から産休に入ったのだが、実は3月から5月中旬までに会社へ行った回数は4回だけ。


その間は何をしていたのかというと、ずっと会社を休んでいた…というよりも、休ませてもらっていた。

 と言うのも、職場の上長から「傷病手当出すから、頼むから休んでくれ」と心配されて、休ませてもらっていたのであって、断じて自分から「会社休みまーすw」とした訳ではない。


私は自分を《取次ヨメコ》と指している通り、物流業の人間。

 妊娠中で一番大切にしたい時期はバリバリの労働期で、チビらぎが宿っていることが判った時点での如月は、前職場から転籍した臨時社員のなかで唯一、現場責任を担っていた。

 ぶっちゃけ、妊婦の行う仕事としては相性が最悪な方だろう。 


 社員さんの判断で、負荷が掛かる現場責任から別の仕事にしてもらったけど、今度は少しの距離の難往復連続を繰り返したらまさかの目眩に襲われて、そのまま医務室へ。


 子供が宿る前は本当になんともなかった仕事内容が、日を追うごとに出来なくなっていく。



それから年が明けてお腹も大きくなってきた頃。



「如月さん。大変申し訳ないんだけど、来月から産休前まで休んでくれない?」


上長から言われた一言に、思わず目が点になる。


「え、戦力外通告ってことですか?」

「違う違う、そうじゃない。自宅から会社まで遠いし、体調が悪くなってもすぐ帰れる距離じゃないでしょ」

「まぁ、確かにそうですね…」


 平時の体ではなんとも思わない道のりも、妊娠していると結構しんどい。

 実際、一度だけ体調不良感があったのに出社してしまい、会社到着直後にトンボ帰りで帰路に着いて病院へ向かったことも。

 診察してくれた先生に「異常を感じて帰ってきたのはいい判断でした」と言われたけど、ホントは出社しないほうがよかったよな。


「初産は色々準備も大変だし、何かあっても助けられないかもしれないから、無理せず休んで欲しいんだ。傷病手当も出すから」


 少々体調を崩しやすくなっていたので、ありがたく受け入れさせていただいた。


 定期検診で上長から言われた提案について話をすると「妥当だ」と言っていただき、診断書の提出と交換で傷病手当の書面をもらい、3月から自宅で過ごすことになったのだった。

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