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朝から騒がしいな
参拝を終えて(将軍、僕は今日も元気です。なぜか。)、すぐ隣の公園へと向かう。乃木公園。乃木将軍が自らの邸宅地を遺言により公園として寄贈したものである。春にはまるで幸せの象徴かのように多くの花を咲き誇らせていた桜の大木は、今では葉桜に変わり涼しげな木陰を作っている。
「おい、サナやめろ、わかったから!俺が悪かった。なあ裕太止めてくれ、お前とお揃いで買ったっていう人差し指のリングが、ゴリゴリと俺の身を削り取り続けているんだよぉ!」
しゃがみこんで頭を手で覆う健太に向かって、初めての天敵に立ち向かう猫のような格好でサナが殴りかかっている。
「朝から騒がしいな。」
僕の言葉に、祐樹が「朝と言っても十一時だぞ。」と返す。それもそうだ。




