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時空鉄道(仮)  作者: Mitos
6/6

これから

「ごちそうさまでした」

浩次は米粒一つ残さず完食すると、コップの水をゴクゴクと飲み干す。

「ごちそうさまでした」

続いて俺も食べ終わる。いつまでも暗い顔してるのもな…。そう思って何気ない話題を振る

「そういえば、浩次は池袋に何しに来てたんだ?」

待ってましたとばかりに浩次に笑顔が戻る。もともと果てしなくポジティブなやつで、何があろうと常に前だけみれるやつだ。この10年つらい思いしてきた人間がそうできる笑顔じゃなかった。

「俺か!?俺は今日1ヶ月ぶりの休みでさ。久々に池袋来てみたくなったんだよ。ここは高校時代よく遊んだし今でも好きな街だよ」

なんて切り替えの早いやつだ。あっという間にテンションが上がりきっていた。

「ぷっ、くくっ」

その相変わらずさに思わず笑ってしまう。

「何だよ、俺何か変なこと言ったか?」

浩次が不思議そうに見てくる。

「いや、なんでもないよ。相変わらずノーテンキなやつだなって」

からかい半分に笑いながら言ってみる。

「ひっでぇ、それじゃ俺が昔からバカみたいじゃん」

浩次も半笑いで反論する。

「だってその通りじゃん」

一瞬、間があったかと思うと俺も浩次も一気に吹き出して爆笑した。こんなにくだらないことで笑い会える友達も人生で何人出会えるものだろう。

「相変わらず元気そうだな」大笑いしたせいで目に涙を浮かべながら言う。

「そっちもな」

浩次の目に親しみが込められていた。

「さーて、飯も食ったし、そろそろ出るか」

浩次に次いで、席を立つと食堂のおばちゃん出てきて会計をする。レジはなく、引き出しがレジがわりのようだ。。

会計を済ませて店を出ると浩次が口を開く

「さて、俺はもう帰るかな。」

俺はまた1人になるのが不安になった。

「休みなんだろ。もう少しいてくれよ。」

俺の頼みに頭をかきながら少し考えたみたいだったが

「んー、ごめんな。近所のおじさんが隣に家建ててるの手伝ってあげないと。それに今日は8年ぶりに光に会えたし、最高の休みだったよ」

「そっか。俺も浩次に会えてよかったよ。でないと今ごろどうしてたか。」

そう言ってまた2人で笑い合う。不思議とコイツを見てるとなんでも何とかなりそうな気がしてくる。

「…お前はこれからどうするんだ?」

今度は少し心配そうに聞いてくる。コロコロと本当に切り替えの早いヤツだ。まぁ見てて少しおもしろいんだけど。

「そうだな…。とりあえず、元の世界に帰る方法を探してみるよ。いつまでもここにいるわけにもいかないしな。」

と言っても何の当ても手がかりもないけど。

「そっか。何か困ったら連絡くれよ。これ、俺の今の住所だから。」

浩次は後ろのポケットからメモ帳を取り出して胸ポケットにあったペンでささっと書いてそれを俺に渡す。

「あぁ、てか電話するよ。ケータイ持ってるだろ?」

携帯電話を取り出しながら言う。

「あ、ケータイなら今は使えないよ。戦争で電波塔がほとんど壊れて、ケータイ会社ももうないんだ。」

「…マジ?」

ケータイ依存性の俺にはかなりのショックだった。

「ま、もし元の世界に帰れなくても、ここに住むのも悪くないよ。住めば都ってね。」

浩次は笑いながら言ったが、さすがに悪いジョーダンだ。

「そーもいかねぇって。ま、帰る前にはまた連絡するよ。」

「ははは。じゃ、またね」

そう言って浩次は駅に向かって歩いて行った。それを見送ると、しばらく考えてからサンシャイン60通りに向かうことにした。何の手がかりもないし、とりあえず歩いてみるのがいいだろう。

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