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時空鉄道(仮)  作者: Mitos
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惨状

俺は冷静に今の状況を整理してみる。俺が降りた駅は間違いなく、俺の知る池袋駅ではない。しかし、駅の看板には紛れもなく『池袋』と示されている。そしてずれていた時間…。考えれば考えるほどわけがわからなくなる。

俺はとにかく、改札を出るために歩きだした。すれ違う人はみんな、うつむいて絶望を浮かべている。その生気のなさに恐怖すら感じながらも、改札を出ようとすると、改札が閉じた。俺はICカードのSuicaに定期券を入れていて、期間はあと2ヶ月は切れないはずなのに…。

まぁ接触不良とかで時々あることだし、そう思って自分を落ち着かせながら、改札口の駅員のもとへ行く。

「あ、すいません。なんか改札閉まっちゃったんですけど。」

そう言って俺は駅員にSuicaを見せた。

駅員はそれを確認すると、思いもよらない言葉を返した。

「お客さん!?これもう10年も前に定期切れちゃっってますよ」

「え!?」

俺は半ばパニックになりながら定期券を見ると、紛れもなく『2010年9月16日まで有効』の文字が刻まれている。

「あの…今日って2010年の7月13日…ですよね?」

そう聞くと駅員のほうが驚いた顔をした。

「何言ってんですかお客さん。今日は2020年の7月13日ですよ。」

駅員があきれた風に言う。

俺は納得出来ないままお金を払ってなんとか改札を出た。

(今日が2020年…?そんなばかな…)

だが、改札を出た俺は、ここが少なくとも2010年の池袋駅ではないことをさらに思い知ることになる。

改札を出るとすぐ目の前に公道が広がっていた。2010年の池袋駅は改札を出ると駅の中をかなり歩かないと公道には出られないはずだ。

しかも都会の象徴でもあるビル街はきれいさっぱりなくなっていて、ボロボロの瓦礫に埋もれた公道の向こうには、ボロボロの木で造られたの民家が、点々と立ち並んでいた。

急に恐怖が襲ってきた。俺はケータイを取り出して親友の淀川(よどがわ) 隼人(はやと)に電話をかけた。

しかしつながらないどころか、

「このサービスは現在提供されておりません」

と、電子音が聞こえてきた。

ケータイも使えないのか!?よく見ると、電波も0になっている。

俺が慌てふためいていると、後ろから声が聞こえた。

「光…か?」俺にはまるで神の声に聞こえた。振り返るとそこには友人の伊達(だて) 浩次(こうじ)が立っていた。

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