敵襲……
「そうです、それなんだ。僕らでニナルティナ兵を捕まえてしまって。その扱いを頼みに来たんだ」
僕は七華王女の両肩を持って言った。
「まあ僕らって、きっと砂緒様が御一人で敵を成敗されたのね!?」
「い、いやー?」
踏まれただけだしな、とても成敗したとは。
「スピナ、とりあえずお前はあの敵兵を拘束する手はずを! お行きなさい」
「ハッ」
仮面の下の表情一つ変えず、スピナは冷たい声で返事をするとささっと魔呂の方に向かって行った。
「じゃ、じゃあ僕達はこれでっ! 魔呂とあの子をよろしくね」
僕はピッと指を立てた。少し離れた所で雪乃フルエレが怪訝な顔をして立っている。
「はぁ? 事情が良く分かりませんわ。とにかく外では何ですので、お部屋にお入りをっ!」
「い、いやいいってハハ」
小さい時は気兼ねなく無邪気に遊びあったけど、少し大きくなると身分の差や周囲の視線が厳しい。それに七華自身が色っぽ過ぎて何故か避けてしまうよ。
「まあご遠慮なさらずに!」
「そんな事よりあのスピナって男、絶対に君を狙う変態だと思うから、気を付けてよ」
僕は奴が消えたのを確認して小声で伝えた。完全にロリ巨乳好きだと思っている。
「まあっわたくしの事をそこまで心配して下さるのね? でもご安心を、私が崖から落ちそうになっているのを助けたのが流れ者のスピナなのです。彼は私に完全服従ですわ!」
崖から落ちかけるってどんなシチュエーション? いつの間にか居たと思ったら流れ者だったのか……ますます怪しいよ。でも結局彼女に押し切られて城の中に入れられてしまった。
「……と、いう訳でライグ村近くの森でこの子が追い掛けられてて、皆で魔ローダーを倒したんだ」
僕はお城の人達に能力以外の事情を説明した。
「なんと、ニナルティナ軍は西隣のユティトレッドとの長きに渡る戦いや、七葉後川流域の小国群との小競り合いが続き、我が国とは和議の盟約を結んでおったのに何故」
重臣の一人が呟いた。たしかにエリアは広いが東端に位置する割と田舎の弱小国リュフミュランは、各国からノーマークで平和だった訳で。
「何故ってその金髪の少女を追い掛けて来たのでしょう? 我が国は関係無いはず。その子共々送り返せば良いのですわ!」
うっ僕にはとても優しくて良くしてくれるのに他人には厳しい七華。村の人達から意地悪王女等と揶揄されてる事知ってるのかな? 本当はそんな事無いのに……けどいきなり送り返せは人聞きが悪いよ。
「確かに」
おじさん達、確かにって。