幼馴染と仮面の男
ガシャーンガシャーン
雪乃フルエレの操縦で、奪った魔ローダーはリュフミュランの城の眼前にまで辿り着いた。
「ここからは?」
割と冷たい顔で彼女が聞いて来る。もっとワーッと助けてくれた僕に感謝しても良いはずだけど。
「待って、知り合いが居るからその子に連絡出来れば」
等と僕が言った直後であった。
カサカサカサッ
突如正門や城壁の上にずらっと弓兵魔銃兵や魔導士が並び立った。ま、当然と言えば当然か、突然敵国の魔ローダーが城壁の前に現れたらこうするしか。
「貴様何者かーっ! 突然我が城の前に魔ローダーで現れるとは無礼であろう!!」
司令官らしき人が凄い大声で怒鳴った。確かにその通り。
「フルエレ、あの大きな声が出せる?」
「やってみます」
彼女は即座に目の前の魔法操作パネルをぴっぴっと押したりした。
『あっあーっ』
突然の大音響に居並ぶ兵達がビクッとする。どうやら成功の様だ。先程の司令官はびっくりしてすぐに隠れてしまった。
『すいませーーん! 怪しい者ではありません。私はウブスナー家の砂緒という者です。あの、七華王女に取り次いでもらえば事情をお話しします!!』
「砂緒は大きな声出さなくても、機体が拡大してるから」
「うるさいにゃ」
うっ確かにそうだった。僕は無意識に大声で話していた。しかし味方だと明かした途端に先程隠れた司令官が身を乗り出した。
「貴様が身内であるという証を見せよ! そもそも身を隠して無礼であろう!! 姿を見せい」
一応貧乏でも貴族なのに偉そうだな。
「フルエレ、ハッチ開けて」
「危険では?」
「お兄様っ」
「大丈夫、此処の人達は悪者じゃないよ」
「分かりました」
『開けます!』
言った直後にフルエレの操作でハッチは開いた。
バシャッ
僕は落ちるギルギリまで前に出て、武器を持っていないと両手を広げた。見てる兵達はまさか奥で美少女が運転してるなんて思って無くて、安心して身を乗り出した。
「おお子供だ」
「ニナルティナ兵では無いな」
「誰かウブスナー家とやらを知る方を!」
目の前でごちゃごちゃとお役所仕事風なやり取りがあって待たされて、しばらくしてようやく僕が本人だと確認された。
「砂緒さまーーーっ! わたくしでーーす! 早くお城にお入りをっ」
その後に遅れて目的の七華王女が城壁に出て来た。彼女は幼稚園や小学校以来の幼馴染で、14歳になった今でも身分の差を越えて、何故か僕をいつも取り立ててくれる、とてもやさしい王女だっ。僕達は開いた巨大な城門を四つん這いで潜り、正門広場に降り立った。ただそこはぐるりと弓兵や魔銃兵や魔戦車まで並べて揃えてこちらを狙っていた。
「狙っていますが」
「仕方ないよ」
「腹立つのーっ」
猫呼がフーッと爪を立てた……みっともないから止めてくれ。
「砂緒様ーーっ! これ皆の者武器を下げなさい!」
叫びながら七華が飛んで来た。そのままがばっと僕に抱き着く。
「七華、良かった。いろいろ事情があって、どうしたら良いか困っていたんだ」
「私も心配しましたっ! 一体何事かと思ったら魔ローダーから砂緒さまの声が。でもご無事ですのね? 何処もお怪我などは?」
離れた七華王女が、身を屈めて僕の身体のあちこちを調べる。その度に14歳とは思えない急成長してしまった見事な胸が良く見える。どうしてこうなったんだろう……? 昔はまっ平だったのに、いつの間にか年齢にそぐわないくらいに色っぽくなってしまって。しかし……気にしてはいけない。僕は必死に七華の目だけを見た。
「だ、大丈夫だよ!」
「よかったですわっ!」
再び七華が強く抱き着くと、ドレスの胸が僕にむぎゅっと押し付けられる。うっやっぱり大きい。
「あの……早くお話を」
「お兄様! 何やってるの??」
気付くとフルエレと猫呼が、むすっとしてこちらを見ている。あれ、フルエレも少しは嫉妬しているのかな??
「姫、あちらの魔呂の手に敵兵らしき者が」
「スピナ! お前を呼んだ覚えは」
気付くと僕の背後には、七華の護衛騎士で常に目の周りが隠れるマスクを装着した怪し過ぎる男、スピナが立っていた。