目覚め
なた……あなた 起きて……貴方、早く起きて……
眠るといつも同じ夢。きっと美しい女性がいつも僕の事を起こそうとする。でも霧の中の様に髪の長いその女性の顔は良く見えない。多分実際には存在しない夢の中だけの理想の女性。
「お兄様! お兄様早く起きてっ!!」
今度は物理的に実際にぐりんぐりんと揺り動かされる。きっと妹の猫呼だ。
「ごめんごめん、気持ち良くてつい……」
ゆっくり瞳を開けると野原の中、目の前には可愛い妹の猫呼の笑顔が。彼女は僕の顔をみてネコミミをぴくぴくさせて喜んでいる。妹と言ってもネコミミが付いている別種族の義妹で、僕の家の地方貧乏貴族ウブスナー家の養女となったのだ。ある日両親が突然ネコミミの女の子を連れて来た時はびっくりしたけど、今は本当の兄妹の様に暮らしているよ。
「砂緒お兄様ぁー抱っこ」
しかし最近猫呼は妙にくっ付いて来て困る。また抱っこのおねだりか……いいのかな?
「はいはい、ここにお座り」
「うふふわぁーい」
猫呼は嬉しそうに僕の膝の上にちょこんと乗ると、途端にネコミミの頭を僕の胸にすりすり擦り付けてくる。
「ちょ、こら……こすりつけ過ぎだぞ!」
「だってお兄様だぁーい好き!」
すぐに喜んでネコミミをぴくぴくさせるので、ちょうど鼻に当たってくしゃみが出そうになる。
「ふぁっふぁっ止めろってワザとしてるだろ?」
「うふふ……すりすりー」
大好きな妹だけど、ここまで仲良くなってしまって良い物だろうか? 猫呼がもっと美しく成長した時に一人の女性として好きになってしまったりしたら……あっついでに言うと僕は元日本人で、何かの理由で死んでしまった後に気付くとこの異世界に転生していた。どんな人でどんな暮らしをしてたかとか余計な事は覚えていない。この異世界の人々も賢く、知識で無双するなんて事も出来ずに地方の貧乏貴族の長男として平和に暮らしている。転生した時に地味スキルを獲得していたけど、特に使い様が無くて今に至る……
メキメキメキ……
二人で和んでいると突如森の向こうの方から変な音がする。
バタバタバタ……
今度は森の中から鳥たちが驚いて飛び立つ音が。
「お兄様?」
「何だろ??」
僕達は森の方にゆっくりと近付いて行った。
ヒュイーーンヒュイーーーン
メキメキメキ……
いつも遊びに行っている森の中に分け入ると、すぐに音の正体が現れた。巨大な全高25メートルの魔ローダーという魔法ロボットだ。それが木々をなぎ倒しながら何かを探す様にのし歩いている。
「うわ、魔ローダーだっ」
「お兄様怖い!」
僕は猫呼を庇って抱き締める。
「何か良く分からないけど、隣国のニナルティナ軍の魔呂かもしれない、みつかるとヤバイ逃げよう」
「ニナルティナ軍がこんな所まで?」
妹の顔が恐怖に歪む。
「大丈夫だよ、こっそりと逃げよう!」
僕達はまだ遠い魔ローダーから身を隠し、必死に家の館に帰ろうとした。
ウィーーーーーン!!
その瞬間、僕達の真横を木々をすり抜け何かの乗り物に乗った金髪の美少女が、物凄い勢いで駆け抜けて行く。そしてそのまま森を出ると最初に居た草原に出て行ってしまった。
「今の何?」
「それより僕達の家の方に向かった。行こう!」
すると、あらぬ方向を探していた魔ローダーが、何故か先程走り抜けた乗り物の方に向かって来た。つまり僕達の方にだ。
ガシーンガシーン!
巨大な足音が近付いて来る。
「お兄様怖い!」
「急ごう」
僕達も森を抜け、草原に出たが……
「あっコケてる……」
先程の金髪の女の子は、倒れた魔輪という魔法力で動くオートバイを必死に起こしていた。
「君何をやってるの! 早く逃げなさい、こっちにアレが来るよ」
「だめ、折角盗んだのに、もったいないよっ!」
「え?」
ガシャーンガシャーン……
等と言い合いしている間に、振り返ると巨大なプレートアーマー鎧をそのまま25メートルに巨大化した様な魔ローダーが仁王立ちしてこちらを睨んでいた……
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