夜が明けるある日。
激しい闇夜に光る閃光
一人の夜に堕ちた
眠りの前の鮮烈な霹靂
稲妻走る指先にまで
痺れて広がる眼球のカーブ
映し出された白い夜
フラッシュバックして求めた
押し流された夜の奥底
喘ぐ様な呼吸
曖昧な境界線が現実を超える
ねじれた様な花瓶の中の
暗闇に生まれた光の理由を知る
放物線を描くテニスボール
エンディングを迎えることの無いフィルム
ひっくり返る真夜中が繰り返し点灯する
自分の命とポリエチレンの袋
まるで永遠に結びつくことの無い遮断機
線路沿いの道を歩く
夜空の星を見上げた少年
鈴虫の声が鳴り響く
田んぼの水路に群生する蛍の光
それを試験管の中に入れて
真夜中の理科を始めた
呻き声立てる定点カメラの様な視線
黒い影
誰も居ない代わりに水滴が落ちた
超重力を抜けた青白い放射線が一瞬
瞬きした帚星の尻尾から撒き散らされる
目には視えない光の呟きが
聴こえることの無い
ニュートリノよりも小さく囁く
透明な窓際のベッドのカーテンの隙間
声
見上げた北極圏に波打つ夜空のオーロラに
底知れない物質が明けない心を急かす
早く 早く 早く
銀河へと続く線路沿いの道を
乗り遅れたはずの列車が月に向かう
銀の帚星は青く青く光る
底の見えない黒い夜を跨いだ
生まれ変わる前の夜にいた私