目に見える者
ある時、人は言った。
旅に出てごらん。きっと価値観が変わるよと。
でも、変えたかったのは、価値観ではなく、自分の心に素直に声を出す事だった。
旅して傷ついて帰ってきて思った。
素直に声をだす。素直に声を出す。素直に声を出す。
どこに??誰に??
でも他人じゃないんだ。
自分の心の声を出したいんだと。
押し黙っていた。
自分さえ、黙っていれば。皆幸せになれると。
嘘だった。幸せになりたいのは自分で。他人なんて二の次で、迷惑かけてでも、危害さえ加えなければ良かっただけだった。
涙を飲んだ。こんなに、酸っぱくて、ほろ苦い飲み物があるのかと初めて感じた。
後悔してもしょうがないのは分かっている。
私がしているのは、これからの話だ。
もう一度言う。私がしているのは、これからの話だ。
太陽の照りつける、この暑い大地に。
自分の向かう道に、このしょっぱい汗という飲み物と一緒に、あらがおう。
まだ生きてるぞー。君も生きてろよー。