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はんばぁぐ  作者: 夢介
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2/6

2.

「きゃあああ」



 妻は悲鳴を上げながらリビングに走り込んできた。


 夫も、箸を置き妻に駆け寄った。


 すると、妻を押しのけるように部屋の中に入ってくる男、手には包丁を握っている。倒れ込んだ妻は、夫に手だけですり寄った。


 夫もしどろもどろで

「な、なんだ君は・・・」

 と言いながらも、腰が引けている。


「金を出せ!」

 強い口調で男がわめき出す。 さすがに夫もこの勢いに負けて

「ひぃっ」

 と言う声を上げ腰を落とす。


 男は尚、強い口調で

「金だ!」

 と包丁を振り回す。


「か、金はやるから、助けてくれ」

 夫は妻に被さるようにしながら言った。


 男も興奮しているのか、息をきらしながら

「ガタガタ言うんじゃねぇ!」

 と夫に包丁を突きつける。


 夫はあわてて後ろポケットにある財布を取り出すと男に差し出す。男は中を確認し、札を全部抜き取り、財布を投げ捨てる。


「も、もういいだろ」

 夫は男に懇願した。


 男は妻に包丁を突きつけ

「お前のは?」

 と詰め寄った。


 妻は、今にも泣き出しそうな顔でタンスの上を指さす。

 男は、タンスの上の女物の財布を手に取り、財布の中身だけを抜き出し、またタンスの上に財布を戻した。


「まだ、あるだろう?」

 男は包丁を振り回しながら、リビングの机上に並べられていた食事を床になぎ落とし、食べかけのハンバーグがケチャップの筋を残しながら転がった。


 妻も夫も口を利けないのか、ただ首を横に振るだけ。

「通帳と印鑑は?」

 との問いにも、ふたりとも黙っている。


「ちっ!」

 男は舌打ちをして本棚、タンスの中を手当たり次第に中のものを放り出して調べている。


 夫と妻は、目で男を追いながらも、ふたりで手を握り合いガタガタと震えている。


 リビングの床は、ちらばった食事の上に洋服や下着、雑誌などが散乱した。


 部屋の中で一番大きい洋服ダンスに手をかけて開けたとたん、何か大きなものがドスンと転げ落ちた・・・



 胸に包丁を刺され死んでいる老人だ。



 一瞬みんなの動きが止まった・・・


「お母さん!」

 妻の声が部屋の中に響く。

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