第七十八話 リョーガと神をも超える力
…魔神 ジークと対峙する俺達、しばらく互いににらみ合い硬直状態が続く
「…いくぞ」
先に仕掛けてきたのはジーク、右手をかざして魔力弾を放ってくる。
「『向風返し』!!」
術で跳ね返すイリア、そして間髪入れずにマルコとメイリーさんが動く
メイリーさんは柳葉刀、マルコはカランビットナイフを手に両サイドからジークに詰め寄る
「…『土腕』」
地面から出てきた巨大な二本の腕を操り二人の攻撃を防ぐ
「ここはワシが!」
ここでジョナサンさんが前に出て巨大ロボの力で土腕を押さえ込む。
「ぬぉぉぉ!!」
「今です!」
「はい!」
今のうちに斬り込んでいく
「…甘いな」
と、ジークは自身の両腕に風を纏わせて二人を掌底でフッ飛ばしてしまった。
「ぐあっ!」
「きゃあっ!」
「マルコ!メイリーさん!」
「リョーガ君!」
「あぁ、いくぜぷよたん!」
「ぷよ!」
「フン、何度来ても同じこと…」
・・・・・
一方その頃、王都では…
「来たぞ!これ以上の好き勝手を決して許すな!」
王都に攻め入ってきたアリオスを食い止めようと立ちはだかるリマーシ王国騎士団の精鋭達
「何としてもここで食い止めるんだ!我ら騎士団の名に懸けて!」
「…フン、愚かなり」
するとアリオスは、拳を突き出しその風圧だけで騎士団の面々を大きくフッ飛ばしてしまった。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「な、なんて力だ…」
「とても、敵わない…」
「諦めるな!騎士たるもの、どんなに相手が強大な強さ持っていようとも決して諦めてはならない!我ら騎士団の鉄の掟を忘れたかぁ!?」
「で、ですがこれは…うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「…つまらぬ、揃いも揃って弱き者ばかりである…悲しきかな…」
「く、そ…」
「弱きは罪、貴様らに生きる価値などはない…消え去れ」
「あ、あぁ…」
するとその時だった…。
『ちょっと待ったぁぁぁ!!』
「!!?」
「あ、あれは!?」
そこへ現れたのはドラゴンに変身したフウラとクリムだった。
『また会ったのぅ…剛神 アリオス』
「貴様は、いつぞやの…」
「ド、ドラゴンに、クリムゾンウルフロード…!?よりによってこんな時に新手が…」
「いや待て、あれは我々の敵ではない…あれはリョーガ殿の配下の者達、我々の味方だ」
「リ、リョーガって…あの魔獣使いの?」
「これは、心強い味方が来たな…」
「フン、いつぞやのドラゴン娘か…また性懲りもなく我に伸されにきたか?」
『馬鹿を申せ、貴様はここで止める…儂の全てを尽くしてのぅ!』
「世迷言を…来るが良い!今一度我にその力を示すが良い!」
「ゆくぞ!」
「ガウッ!」
激しくぶつかり合う三人、その様子を啞然としながら見る騎士達
「な、何なんだこりゃ一体…?」
「次元が違いすぎる…とても入り込む隙間なんてありゃしないな…」
するとそこへ、ガンディの治療を終えたハナビとメリッサも王都へ到着する
「皆はん、ご無事でありんすか?」
「あ、あなた達もリョーガ殿の?」
「のだ!助けにきたのだ!」
「さぁ、ここはあちきらに任せてお行きなんし!」
「あ、あぁ…」
「お二人とも!あちきらも助太刀いたしんす!」
「ノリノリ全開でいっちゃうのだー!」
「かたじけない!」
「ガウッ!」
・・・・・・
「『暴風雪』!!」
「『炎柱』」
ジークと激しい攻防戦を繰り広げる俺達、ジーク一人相手に悪戦苦闘してしまう
「『シャドームーヴ』」
スキルで影に身を潜めてジークの背後から斬りかかるマルコ
「愚かな…」
と、右手を掴まれて掌底でフッ飛ばされるマルコ
「ケホッ、馬鹿な…気配は完全に断ったはず…」
「その程度か?人間」
「くっ…」
「はぁっ!」
続いてメイリーさんがジークに斬りかかる
「フン…」
「避けても無駄ですわよ!」
と、ジークの動きを予知して間髪入れずに剣を振るうメイリーさんだが、ジークはそれらを全て紙一重でかわしてしまう。
(あ、当たらない!未来予知で動きは読めているはずなのに…)
「遅い、遅すぎるな…」
「そ、そんな…きゃあっ!」
敢えなくフッ飛ばされてしまうメイリーさん
「メイリーさん!」
「僕達全員でかかってかすり傷一つ負わせられないなんて…」
「やっぱり、神と人間では縮まらない差があるぷよね…」
「諦めんな!必ず突破口はあるはずだ…俺達が簡単に諦めてどうする!?」
「ご主人様…」
「リョーガ君…」
「俺は諦めない、絶対に!」
「生意気な…砕け散れ!人間!」
と、特段大きな魔力弾をぶつけてくる
「あ、危ない!」
と、ジョナサンさんが巨大ロボで盾となって俺達を守る
「ジョナサンさん!」
「ぬぉぉぉぉぉ!!」
魔力弾の威力があまりに強すぎてロボのあちこちから火花があがる
「く、イカン…もう限界じゃあ!」
“バゴーーーーン!!”
等々耐えきれずにロボは木端微塵に破壊されてしまった。
「ジ、ジョナサンさーん!」
「…安心してください、彼は無事です」
「!?」
見ると、マルコがジョナサンさんを抱えて立っていた
どうやら危機一髪のところを彼がスキルを使って救い出したらしい。
「マルコさん!」
「し、死ぬかと思ったわい…恩に着るぞマルコ殿」
「礼は結構…」
「ぷよたん、ジョナサンさんを頼む!」
「お任せぷよ!」
「さぁ、どうする?」
「くっ…」
「リョーガ君…」
「ん?」
「ここは僕があいつに最大火力の爆撃魔術を叩き込むから、リョーガ君達はその準備の間時間を稼いでほしい」
「イリア…分かった!任せろ!マルコ!メイリーさん!」
「心得ました」
「はい!」
イリアが魔力を集中している間、俺達が体を張ってジークを足止めする
「『岩石縛り』!!」
「『マジックブースト』!」
「くっ!小賢しい真似を…」
「メイリーさん!」
「はい!『円閃龍刃』!!」
回転させた剣の勢いに乗せてジークを斬りつける
「ぐぅ、この程度の傷を負わせた程度で…思いあがるな人間!」
「『炎熱鉄拳』!!」
「『太陽拳撃』!!」
俺とマルコ二人の渾身の拳を叩き込む
「ぐっ!人間ごときが、調子に乗るな!」
「皆さん!もう十分です!離れてください!」
「分かった!」
「これで終わりだ、魔神ジーク!『爆裂炎斬』!!」
イリアの爆撃魔術が炸裂し、教会ごと辺り一面がフッ飛ばされる
「…や、やったか?」
土煙の中、立ち尽くす一つの影が見えた
「イリアか!?」
だがしかし、土煙が収まってそこに立っていたのはイリアではなくジークだった
イリアはジークに踏みつけにされてボロボロの状態で地に伏していた。
「イ、イリアぁ!」
「イリアさん!」
「フン、これで貴様らの奥の手も尽きたな…」
「嘘だろ…イリアが」
「終わりだ、人間ども…一人残らず始末して神であるこの俺に逆らったことを心の底から後悔させてやる!」
「…ふざけんな」
「リ、リョーガさん?」
「ご主人様?」
「リョーガ殿?」
「ふざけんなって言ってんだ!俺はお前を神だなんて認めねぇ!それでもまだ神だなんだってほざくんなら、俺が神を超えてやるよ!」
「神を超える…?人間ごときが、思いあがりも甚だしいぞ!分をわきまえろ下等生物め」
「人間を、ナメるなぁぁぁぁ!!」
するとその時だった…
“ドクンッ”
俺はその瞬間、体の奥底から熱く燃え滾る何かを感じた。
「うぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「こ、これは…!?」
・・・・・
【王都】
「ギャウンっ!」
「クリムはん!」
「クリムちん!」
『クリム殿!』
「ガ、ガウゥ…」
「無理して動いちゃダメなのだ!じっとしてて!」
音曲魔術でクリムの傷を癒すメリッサ
『ぐぅ、ハァ、ハァ…』
「どうしたドラゴン娘?口ほどにもないであるな…」
『フン、ぬかせ…(不味い、先刻の戦いで力を使いすぎてしもうた…もうあまり全力も出せぬ)』
力を振り絞ってアリオスに挑むフウラ
「ガ、ガウゥ…」
「クリムちん!まだ動いちゃダメなのだ!」
「ガウッ!ガウガウ!」
「クリムちん?」
「な、なんでありんすか?」
「ガーウ!ガウガウ!」
「えっ!?」
「ハナビちん?クリムちんなんて言ったのだ?」
「…あちきの妖力を、自分に寄越せと」
「えっ!?そんな、アンデッドでも妖魔族でもないクリムちんがそんなことしたらどうなるか分かんないのだ!」
「ガウッ!ガルルルル…」
「覚悟の上だと、そう言っておりんす…」
「クリムちん…」
「分かりんした、後のことはお頼み申しますえ…『狐流妖術 炎舞・灯火』」
クリムに自分の妖力を注ぎ込むハナビ
「ガウッ!?ウゥ…」
「クリムちん…」
「トドメである…」
『ぐあぁぁぁぁ!!』
アリオスに殴り飛ばされるフウラ、力尽きて変身が解かれる
「う、うぅ…」
「哀れなり…ドラゴン娘よ、あわよくば貴様とはもっと全力で手合わせたかった…残念である」
「くっ…」
「今、引導を渡してくれようぞ…」
スッと右手を構える
(今度こそ、おしまいかの…?)
「さらばだ…」
するとその時だった…
“ゾクッ”
「!?」
ただならぬ威圧感を感じてバッと後ろを振り向くアリオス
(何であるか…?この異様な威圧感は)
「ガルルル…」
全身から禍々しいオーラを放ち低く唸り声を挙げるクリム
(なんだ?あの獣、先程とは打って変わって気配が変わったか?)
「ガルルルル…ガウゥゥゥゥゥン!!」
と、次の瞬間…
“チカッ!”
クリムの全身が激しく光りだした
「こ、この光は…!?」
「まさか、『進化』でありんすか!?」
「一体何に進化するのだ?」
光が収まる、そこに立っていたのは顔は狼で額から一本角を生やし、二本足で立った筋骨隆々の赤鬼のような姿へと変貌したクリムだった。
「ガウゥゥゥゥゥン!!」
「あれは…鬼?」
「いいえ、あれは…『狼鬼』でありんす」
「ろーき?」
「ええ、ウルフ系のモンスターが妖魔の力に目覚めて鬼となった姿でありんす…近年では狼鬼にまで進化するに足る者が現れず、その数は減りつつあり滅んだものと思っておりましたが…まさか、クリムはんが」
「グルルルル…グワッ!」
真っ直ぐにアリオスに突っ込んでいくクリム、拳に狼型のオーラを纏わせて振りかぶり思い切り殴りつける
「くっ!何をするかと思えば、そんな単調な攻撃では我は…っ!?」
と、力が突然抜けたかのようにガクンと膝をつくアリオス
(なんだ?急に体に力が…)
「まさかあれは、狼鬼が得意としていた技『餓狼拳』…」
「ど、どんな技なのだ?」
「拳に触れた相手の生命力を吸収する技でありんす、餓えに餓えた狼のごとき拳、故に餓狼拳…」
「ガァァァァウ!!」
そのまま間髪入れずにアリオスをボコボコに殴りつけるクリム
(馬鹿な!殴られる度に我の力が吸い取られていく!こ、このままでは…)
「ガァウ!」
「ぐぼぉっ!」
鳩尾に強烈なボディーブローをくらわせる、アリオスはたまらず膝をつく
「最早、これまで…無念」
「ガァウ!」
トドメを差すクリム、アリオスはそのまま倒れて動かなくなる
「ハァ、ハァ、ガウゥゥゥゥゥン!!」
「す、すごいのだクリムちん…」
「天晴れでありんす」
「グルルルル…」
「へっ?」
メリッサ達をにらみつけるクリム
「グワッ!」
「ひぃっ!」
飛びついて食らいつく、と思いきやメリッサに抱きついて顔をペロペロと舐めまわすクリム
「ちょ、アッハッハッハ!や、やめて!くすぐったいのだ!」
「おやおや…」
「ガウッ!ハッハッハッ!」
「外見は変わったけどやっぱり中身はクリムちんなのだ!」
「クァーッハッハッハッハ!それでこそクリム殿じゃのぅ!」
「フフフ、ともかく…後はジークだけでありんすなぁ…」
「そうじゃのぅ…」
「リョーガちん達、大丈夫なのだ?」
「心配はいらぬ!主殿に任せておけば万事大丈夫であろう!儂は信じる!」
「あちきも、リョーガはんらを信じるでありんす」
「メリッサも信じるのだ!」
「ガウッ!」
・・・・・
一方その頃、俺達の戦いもいよいよクライマックスを迎えようとしていた。
「リ、リョーガ様…?な、なんて凄まじい魔力…肌がピリピリしますわ」
「信じられん、一体どこにそんな力が…」
「ぷよ!思い出したぷよ!」
「…何か知ってるのか?」
「はい、以前ご主人様が持ってる魔獣使いのことについて書かれている本を拝借して読んだことがあるぷよ、この現象はもしかすると…あの本に載っていたテイマー系の最強にして究極のスキルが発動したんだぷよ!」
「テイマー系最強にして究極のスキル?」
「一体どのようなスキルなのですか?」
「そのスキルの名前は『共鳴』、その力は自分と契約した配下の能力及びスキルを全部自分一人で行使する能力ぷよ!」
「なんと!?契約した配下の力を自分一人で!?」
「そんなことが可能なんでしょうか?」
「ぷよ、最近ではこのスキルを扱えるに足る者がほとんど現れなかった為、最早幻のスキルとして知られているほどぷよ」
「そ、そんなすごい能力でしたら…もしかしたら」
「ええ、彼なら奇跡を起こせるかもしれませんね」
「…魔力の質量が変わった?貴様一体何をした?」
「ああ、これがホントの奥の手ってやつだよ」
「頭に乗るなよ、人間風情が!」
「これでホントに終わりにしてやるよ…俺はこの力を持って、神だろうが“凌駕”してやるっ!!」
To be continued...
-----【To days Result】-----
剛神 アリオス ‐Win‐




