第五十四話 リョーガと不死鳥
…前回のあらすじ、総ギルド長のアルカイルさんから『Sランク昇格試験』を受けることを勧められた俺は、二つ返事で承諾し、早速試験を受けることになった…。
最初の試験は『キングゴブリンの討伐任務』、俺はミーニャ達と協力して難なくキングゴブリンを討伐することができ、無事に最初の任務をクリアしたのだった。
【ギルド本部】
「…昨日はご苦労だったな、では今回の任務を言い渡す…次の任務はこれだ」
と、依頼書を手渡される
任務の内容は『フェニックスの羽根の採取』といったもの…。
「では、健闘を祈る!」
「はい!」
・・・・・
フェニックスとは、別名『不死鳥』とも呼ばれる古今東西最も有名な伝説級の鳥のモンスター
その翼は高熱の炎を纏っており、その炎が消えぬ限り命が尽きることもないと言われる…正に『不死』
しかもその炎の羽根はフェニックスから毟りとっても向こう百年は火が消えることなく灯り続けるらしい。
その為、様々なエネルギーの源として活用されているとのこと
今回連れてきたメンバーは、火属性に強い耐性のあるハナビ…水属性の遠距離攻撃が可能なゲータ…そして鋭い嗅覚でモンスターの探知が可能なクリムを選んで連れてきた
今回も立会人としてイリアが同行する。
フェニックスは数年に一度、火山の火口に現れては炎の力を蓄えていくらしい
ということで俺達は、今回最もフェニックスが現れる確率が高い東大陸の『アスオ火山』へとやってきた。
「…ふぅ、相変わらずここは死ぬほど暑いな」
「クゥン…」
「ホントにここに来るでやんすか?」
「あぁ、間違いない…アルカイルさんが過去の記録を基にここに来る可能性が高いことを示してくれた…もしダメだったら他の火山へいけばいい」
「そう上手くいくでやんすかねぇ…」
「まぁまぁ、気長に待つといたしんしょう…お茶でもどうぞゲータはん」
「ありがとうでやんす…」
「みんな水分はこまめに補給しとけよ、じゃないと獲物が来る前に干上がっちまうからな…ほら、クリムも飲め」
「ガウッ!」
水筒の水をクリムにも分け与える
「ふぃー、生き返ったでやんす!」
「…アンタは?ちゃんと飲んだ方がいいぞ?」
俺がそういうと、イリアは必要ないと言わんばかりに首を横に振る
「そ、そうか…まぁアンタがいいならそれはそれで…」
てか、このクソ暑い中でそんな鉄仮面被っててホントに平気なのかよ…?
と、少し心配になった。
「…ガルルルル」
「!?、おいでなすったな…」
すると、空を覆いつくさんばかりの大きな影が現れた。
「ピギョォォォォ!!!!」
現れたフェニックスは、オレンジ色の炎の灯った大きな翼を羽ばたかせ鋭い目つきで俺達を睨み付けた。
「す、すごい迫力でやんす…」
「えぇ、ほんに…」
「お前ら、忘れんなよ?あくまで目的はアイツの羽根をいただくこと…絶対に無茶だけはするな、いいな?」
「合点でやんす」
「承知でありんす」
「ガウッ!」
「よし、いくぞ!」
「ピギョォォォォ!!」
翼を羽ばたかせ熱風を巻き起こす
「『狐流妖術 炎舞・紅炎陣』!!」
炎の壁で熱風を防ぐハナビ、一方でフェニックスも負けじとハナビの炎を消し飛ばそうと更に強く翼を羽ばたかせる。
「くっ…厄介な風だな」
「ふぅ、流石のあちきも限界でありんす…」
「ここはオイラにお任せを!くらうでやんす!」
矢を放つゲータ、だが風の勢いに押されて悉く落とされてしまう
「…まだまだぁ!」
怯むことなく矢を連射するゲータ
「俺も負けてられないな…いくぜ!『暴風雪』!!」
フェニックス対策として新たに覚えた『氷撃魔術』で援護する
“グサリッ!”
すると、矢の一本がフェニックスの翼に突き刺さる
「当たった!」
「ピギョォォォォ!」
地面に降り立つフェニックス、すると火口のぐつぐつ煮えたぎるマグマの中へダイブした。
「マグマの中に…まさか!」
すると次の瞬間、マグマの中からフェニックスが勢いよく飛び出し、再び空へ舞い上がった。
先程ゲータから受けた矢のダメージは綺麗に治っている。
「やはりな、マグマの中に飛び込むことで炎のエネルギーを蓄えて傷も治したってことか…」
「えぇっ!?それずるくねぇでやんすか!?」
「難儀でありんすね…」
「クゥン…」
「つまり、いくらダメージを与えようが何をしようがここにいる限りは奴は無限に復活できる…詰んでんな」
「ど、どうするでやんす?」
「……」
「ピギョォォォォ!!」
そうこう考えてる間に、フェニックスが火炎放射を放ってきた
「危ない!」
と、ハナビが真の姿を解き放ち前に立ちはだかる
『『狐流妖術 炎舞・白光炎陣』』!!』
白い炎のバリアを張り俺達を守る
「ハナビ!」
「ハナビ姐さん!」
『あちきは平気でありんす…』
「復活されるだけでも厄介なのにあの強烈な炎だけでもどうにかしたいな…」
「けど、あんなのちょっとやそっとじゃどうこうなるもんじゃないでやんすよ?オイラの水の術だって太刀打ちできないでやんす…」
「何か手はないか…?」
こんな時、ぷよたんさえいれば画期的な打開策を見出せられるのにな…
「!?、そうだっ!」
「だ、旦那?」
『リョーガはん?』
「ハナビちょっと耳貸せ」
『へ、へぇ…』
俺は思いついた策をハナビに耳打ちする
『…なるほど、できるか分かりんせんがやってみるでありんす』
「あぁ、よしゲータ!もう一度フェニックスを攻撃するぞ!」
「えっ?で、でも攻撃しても意味ないんじゃ…」
「大丈夫、いいから言う通りにしてみな」
「へ、へい…」
言われた通りにフェニックスへの攻撃を再開する
「ピギョォォォォ!!」
「『水流陣』!!」
フェニックスの攻撃を水魔術で防御する
「ゲータ!休まず撃ち続けろ!」
「へい!」
ゲータの猛攻により傷ついていくフェニックス、ある程度攻撃を受けたところでまた再び火口のマグマへ飛び込もうとする。
「ハナビ!今だ!」
『あい!『狐流妖術 幻技・無間魔廊・極』!!』
「ピギョっ!?」
と、強力な幻術空間に閉じ込めて身動き取れなくする
「よし!」
動けなくなったところで羽根を掴んで毟りとって断熱素材の回収用のビンにしまう
「アチチチ、これでよし!ずらかるぞ!クリム!」
「ガウッ!」
クリムに跨って全員で一気に山を駆け降りる
【アスオ火山 麓】
「ふぃー、ここまでくれば大丈夫だろう…」
「はぁ…肝を冷やしたでやんす」
「さてと、ほら…ちゃんと手に入れたぜ」
手に入れたフェニックスの羽根が入ったビンをイリアに手渡す
「…(コクリッ)」
「合格ってことか?よしっ!そんじゃまぁ、後は本部に戻ってアルカイルさんに報告を…」
すると、その時だった…。
「ピギョォォォォ!!」
「なっ!?」
「ぎょえっ!?」
「あれまぁ…」
「ガルルル…」
なんとフェニックスが麓まで俺達を追ってきたのだった。
「おいおい…冗談だろ?」
すると、そこへイリアが颯爽と前に出た
「イリヤはん?」
「…下がっててください、ここは僕が仕留めます」
「お前…」
始めて俺達の前で口を開くイリア、腰に差した二本の片手剣を抜き構える…何だかすごく頼もしく見える
「ピギョォォォォ!!」
「『エクス・クイック』…」
加速の支援スキルを自分にかけてフェニックスに突っ込んでいく、そして目にも止まらぬ速さでフェニックスを斬り刻む
「ピギョォォォォ!!」
痛みに悶えるフェニックス、イリアに向けて火炎放射を放つ
「『氷城壁』…」
分厚い氷の壁で炎を防ぐ
「終わりだ…」
背中に背負った大剣を抜く、すると大剣にメラメラと炎が灯る
「ピギョォォォォ!!」
「『爆裂炎斬』!」
“ザシュッ!ボォォォン!!”
フェニックスを一刀両断に斬り裂き、斬った傷口が発火して爆発した。
「……」
あまりの戦いぶりに俺達は全員驚きのあまり開いた口が塞がらなかった。
「す、すごいなアンタ…これが、現役Sランク冒険者の実力」
「……」
「でも、手なんか出してよかったのかよ?試験中はよっぽどのことがない限り手は出さないって…」
「…フェニックスの羽根を手に入れ、僕に渡した時点で僕はあなたを合格と認めました…故にその時点で試験は終了、後はどうしようと僕の自由…」
「なるほど、そういう理屈ね…何にせよ助かった、ありがとう」
「お礼はいらない…その代わり、次の試験も頑張って」
と、俺の肩にポンと手を置くイリア
「イリア…」
・・・・・
【ギルド本部】
東大陸から帰還し、アルカイルさんに結果を報告する。
「そうか、ご苦労様だったな…」
「ありがとうございます」
「いよいよ、明日の任務で最後だな…」
「はい」
「任務の内容はまた明日伝える、今日はゆっくり休むといい…」
「はい…失礼します!」
執務室を後にする
「旦那!」
「おうゲータ…ハナビとクリムは?」
「先に屋敷に戻ってやんす」
「そうか、お前は待っててくれたんだな…ありがとう」
「いえ、お易いご用でやんす…ところでイリアさんでしたっけ?あの方の魔術すごかったでやんすね!」
「そうだな、まさかあのフェニックスを一人でぶっ倒すなんてな…」
「それもそうでやんすけど、あの方が使ってた術って『爆撃魔術』でやんすよね?」
「あぁ、最後にフェニックスをぶった斬ったあの技か…そうみたいだったな」
「爆撃魔術ってその威力もさることながら魔力の消費力もえげつないらしいでやんす…それこそ一回使っただけでも魔力が空っぽになるほどらしいでやんす」
「そんなにか?でも待てよ…あいつあの技使った後でも普通に俺達の後歩いてきてたよな?」
「えぇ、言われてみれば…たしかに」
有り得ない、俺も何度か経験あるから知ってるが魔力を使い果たしてしまえば忽ち体に力なんて入らなくて貧血起こした時みたくフラフラになって歩くことすらできないはず…。
「…考えられるとしたら、爆撃魔術一発撃ったとしても支障ないほどの魔力の持ち主とか、でやんすか?」
「だとしたら、とんでもねぇな…Sランク怖ぇー…」
それから俺はめんどくさいのでそれ以上考えないようにした…。
To be continued…
-----【To days Result】-----
フェニックス ×1
【補足メモ】
『氷撃魔術』『雷撃魔術』『爆撃魔術』
これらの魔術は『属性魔術』には該当せず、『非属性攻撃魔術』という風に呼称される。
攻撃性が非常に高く、上位の術にもなると魔術耐性の高い相手にも有効打となる。




