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モンスターテイマー 〜リョーガと愉快な仲間たち〜  作者: 紫龍院 飛鳥
第六章 リョーガと大規模任務
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第四十七話 リョーガと力の代償


…もうあれからどれくらいの時が経ったのだろうか?

俺は気がつくとベッドで寝ていて目の前には知らない天井があった…。


…ここは、一体どこなのだろうか?


「目が覚めたかね?リョーガ君…」


聞き覚えのある声がして見てみると、そこにいたのはアルカイルさんだった。


「アルカイルさん…ここ、は?」

「ここは城の医務室だ、あれから君は一週間も眠ったままだったのだよ」

「そっか…それで、あれからどうなったんですか?」

「安心したまえ、事態は全部無事に収束し全てのはぐれ冒険者達を捕縛することができた…これも一重に君達の協力のおかげだよ…冒険者ギルドを代表してお礼を言わせてほしい、ありがとう!」

「そんな、礼だなんて…」

「それとな、一つ…君に謝らなければならないことがあるんだ」

「えっ?」

「君の右腕のことなんだが…」

「腕?俺の腕がどうかし…っ!?」


俺はふと自分の右腕を見ると、右腕には包帯が巻かれていて肘から先の腕がスッパリとなくなっていたのだった…。


「…っ」

「驚くのも無理はないだろうな…すまない、我が王家専属の医療ギルド総出で治療に当たってもらったのだが…あまりに損傷が激しくやむを得ず切断せざるを得なかったわけだ、本当に申し訳ない…」


深々と頭を下げるアルカイルさん


「頭を上げてくれ、アルカイルさん…別に責めるつもりはないし謝られる謂れもない…悪いのは後先考えず無茶した俺なんですから…」

「リョーガ君…」

「だから、そんな顔しないでくださいよ…」

「…ありがとう」



…こうして『はぐれ冒険者捕縛作戦』は終わりを告げ、元の平和な日常が戻ってきた。

俺はその後、お城で何日か過ごし体が動くようになって体力もそこそこ戻ってきたところで何日か振りに屋敷へ帰ってきた。


「ただいま」

「兄ちゃん!?兄ちゃーーーん!」


俺が帰るのを余程心待ちにしていたのか、帰ってくるなり俺にぴょーんと飛びついてくるミーニャ


「よがっだ、ホントによがっだっす~!うぇぇぇん!」

「よしよし…心配かけて悪かったな」


ミーニャを抱きしめてよしよしと頭を撫でる


「旦那!おかえりなせぇ!」

「ガウッ!ハッハッハッ!」

「ご主人様ぁ!」


ゲータ達も俺を出迎えるなり飛びついてくる


「おいおいお前ら、ちょ、重いって…」

「旦那ぁ…旦那ぁ!ズズゥ、ズビー」

「お、おいゲータ!喜んでくれるのは嬉しいけど鼻水垂らしてんじゃねぇ!汚ぇな!」

「そんなこと言ったって、しょうがないじゃないでやんすか…」

「ご主人様ぁ~!うぇぇぇん!」

「ぷよたんに至っては涙なのか鼻水なのかイマイチ分からんし、どのみちベタベタして気持ち悪いんだが…」

「ガウー!ガウ!ガウガウ!」

「ミーニャ、クリムなんだって?」

「『ボスが帰ってきてくれて嬉しい』って」

「そうか、お前ら…ありがとう」


と、もう一度みんなをぎゅっと抱きしめる


「ん?おぉ!主殿!帰ってきておったのか!」

「お帰りなんし、リョーガはん」

「フウラ、ハナビ…お前らにも心配かけたな」

「まぁの、じゃが儂は主殿は必ず帰ってくると信じておったがの!クァーッハッハッハッハ!」

「ほんに、命があって良かったでありんす…」


着物の袖で涙を拭うハナビ


「ありがとう、ところで…ユラ達は?」

「ユラ殿達ならば、ギルドの手伝いで事態の後始末に駆り出されておる」

「そうか…」

「そろそろ帰ってくる頃かと、おや?言うてたら帰ってきたようでありんすねぇ」


「ただいまー、あー疲れた…ったくギルドの連中ったらよ、ウチらがアンデッドだからって散々こき使いやがって、アンデッドだって疲労ぐらい溜まるっつーの…ん?」

「よぉ、ただいま…そしておかえり」

「リョー、ガ?」


ユラは俺と目が合った途端、サァーっと一筋の涙を流し泣きながら俺に抱きついてきた。


「リョーガ…!リョーガ!リョーガ…リョーガリョーガぁ!リョーガぁぁぁ!!」


何度も俺の名前を連呼し号泣しながら俺を強く抱きしめる


「ちょ、おい!ユラ?お、落ち着けって!イタタ、力強い…」

「無理もないのだ、メリッサ達あれからずっとギルドのお手伝いで忙しかったからリョーガちんのお見舞いにもほとんど行けてなかったのだ」

「そ、そうだったのか?」

「えぇ、その間もずっとユラ女史はリョーガ隊長の身を案じておられたのでありますよ?」

「ユラ…」

「だってユラちん、リョーガちんのこと大好きなんだもんなのだ」

「えっ!?」

「ふにゃっ!?」

「なんとっ!?」

「あれまぁ…」

「お、おいメリッサ!てめ、な、何をわけの分かんねぇことを…」

「違うのだ?だってユラちんいっつもリョーガちんといる時『幸せな匂い』がしてるからてっきりそうかと…」

「そ、それは…その、違っ…」


いつも青白い顔のユラの顔に赤みがかかる


「ユ、ユラ…」

「ち、ちげぇし!ア、アタイは別にそんなんじゃ…リ、リョーガのことなんて、す、好きでもなんでもねぇかんな!」


と、顔を真っ赤にしてその場から逃げ出すユラ


「あっ…一体何なんだ?」

「クァーッハッハッハッハ!主殿も隅に置けんのぅ!」

「ほんに、罪なお人でありんすねぇ…ウフフ」

「は、はぁっ!?」



夕食の時間、テーブルの上には豪勢なご馳走が並んでいた。


「旦那様、お帰りなさいませ…」

「お帰りなさい!リョーガ様!」

「リョーガどん、お帰りだす」

「ルリ、ルカ、ドッガ…ありがとう、ただいま」

「さぁ、今日はリョーガ様の為に腕によりをかけて作りました!いっぱい食べてください!」

「オラの野菜も食べてくりょ、栄養満点だで忽ち元気になるだす」

「ありがとう、いただくよ」



・・・・・



…それから夜も更け、俺が自室で休んでいると



“キィー…”



誰かがこっそりドアを開けて入ってくる気配がして目が覚めた。


「…リョーガ、起きてるか?」

「ん?ユラ…どうしたんだ?」

「うん、まぁ、その…」

「もしかして、俺の血でもねだりにきたか?」

「うん、でもリョーガ病み上がりだし…やっぱ今日はやめとく」

「いいよ、少しだけなら…」

「…ありがと」


と、小さくお礼を言うとユラは俺に抱きついて血を吸う


「…ごちそうさま」

「もういいのか?」

「うん、ありがとな…じゃあ、おやすみ」

「ああ、おやすみ…」


…ユラの奴、まさか本当に俺のことを?…いや、多分気のせいか



【翌朝】



「兄ちゃん兄ちゃん、はい!あーんっ」

「おい、止せ…メシぐらい左手でも食える」


俺は利き腕を失い、今までできて当然だったことができなくなることが多くなりとても不便となった。


「旦那様、どうぞ…」

「あぁ…」


着替えなども誰かに手伝ってもらわないと一人でできない…

けど、みんなが率先して手伝ってくれるので助かっている。


「やぁ、リョーガ君…具合はどうだね?」


そんなある日、アレクさんが屋敷に訪ねてきた


「アレクさん…まぁぼちぼちです」

「ん〜、そうか…顔色もよさそうだし元気そうで良かった、腕は平気かい?」

「えぇ、まぁ…まだ少し痛みますけど」

「そうか、良ければこれ…痛みによく効く薬草を使った軟膏だよ…ウチの優秀な医療部隊のお手製さ」

「あ、ありがとうございます…」

「あー、それと…甘いものは好きかい?実は貴族御用達の美味しい高級焼き菓子を買ってきたんだ、良かったらみんなで食べてくれ…」

「ありがとうございます、何から何まで…」


…それからも、俺の身を案じて屋敷に色々な人が訪ねてきた。


「リョーガさん!こんにちは!」


今日はニライス支部の受付嬢のルーシーが訪ねてきた。


「聞きましたよ、大怪我をなさったんですって!?大丈夫なんですか?」

「あぁ、そんなに大したことはないから平気だ」

「そうなんですか?あ、これもしよかったらどうぞ!ウチの実家から沢山送られたのでお裾分けです!」


と、木箱いっぱいに詰められた桃をくれた


「こりゃ立派な桃だな…」

「ウチの実家、果樹園を経営してまして…毎年沢山送ってくれるんです、一人だと食べきれないのでいつもギルドの同僚とかに配っているんでリョーガさんも良かったら…」

「ありがとう、いただくよ…」


そして別の日には…


「久し振りね、リョーガ君!」

「ご機嫌よう、ボーイ…」


ディマイケット支部のギルド長のマスターとリクルグ支部のギルド長のシーナさんが訪ねてきた。


「マスター、シーナさん!?久し振りですね…」

「最近活躍聞いてるわよ〜、相変わらず大活躍なようね!」

「いやぁ、まぁ…というか、珍しい組み合わせだな」

「あぁ、だってこの人…アタシのお父さんだもん」

「…えぇっ!?親子!?」

「おいおい、何を驚くことがあるんだボーイ?どこからどう見ても親子だろう?」


いや、全然似てねぇよ…母親似か?


「あ、そうだ!これお見舞いね!獲れたて新鮮の海の幸!」

「俺からこれを、娘から聞いた…かなり酒が強いらしいな、たらふく飲んでくれ」


と、大きな酒樽を三つも持ってきた。


「こっちの樽はウチの店のとっておきのワインで、こっちは貴族御用達の上物のウイスキーだ…んで、こっちが東大陸の『酒の町 セゴ』から取り寄せた『芋焼酎』だ」

「うわ、いいのかよ?こんな高そうな酒ばっか…」

「気にするな、俺からのほんの気持ちだ」

「なんか悪いな…」

「ちょっとお父さん!そんないいお酒あるならウチの店にも少し回してよ!」

「馬鹿言え、お前が単純に飲みたいだけだろ…」

「うぐっ…」

「ハハハ…」


そして、別の日には…


「兄弟ぃぃぃぃ!!大丈夫がかえ!?ワシゃ心配したぜよ!」

「大丈夫だって兄弟、傷ももうしっかり癒えたし…腕がない以外は元気だからさ」

「ほうかぃ、なら安心したぜよ!これは見舞いの品じゃ、受け取ってたもうせ!」


と、荷車には沢山の米俵が乗っていた。


「おんしゃ前に米が好きじゃち言うちょったじゃろ?ほいじゃき『農業の国 コマチ』から絶品の米を取り寄せたがじゃ!食べてたもうせ!」

「おい、そんな…いいのか?しかもこんなたくさん?」

「何を遠慮する必要があるがじゃ兄弟!ワシはこれでもこじゃんと稼いどるきにのう、金の心配ならいらんぜよ!大事な兄弟分の為ならワシはいくらでも身銭切っちゃるき!」

「兄弟…」

「ガッハッハッハ!何事も元気が一番じゃき、腹が減っては戦もできぬってのう!」

「フフ、ありがとうな…兄弟」


それからも、ニライスの町のみんなや色んな人がお見舞いに来てくれた

みんなの優しさに俺は思わず胸がいっぱいになった。







To be conntinued…

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