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モンスターテイマー 〜リョーガと愉快な仲間たち〜  作者: 紫龍院 飛鳥
第一章 リョーガ、異世界に立つ
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第四話 リョーガとスキルアップ


ゲータが仲間になったというものの、ゲータは俺らのレベルよりも遥かに低く、今の時点では戦闘ではあまり役に立たない。


なのでまず俺達はゲータのレベルアップする為彼をみっちりとしごいた。


二週間にも及ぶ血の滲むような特訓の末、ゲータはミーニャとも互角に渡り合えるほどの戦闘力を身に付けたのだった。


そして、ある日の依頼にて…


「ピギィィィ!!」

「えぇい!!」



“ズバッ”



「ピギィィィ!!」

「やったでやんす!勝ったでやんす!」


初めて自分の力でモンスターを打ち倒したゲータ


「おぉ、すごいっすゲータ!」

「へへっ、これも旦那や先輩のおかげでやんす!有難い限りでやんす!」

「まぁ、よくやったな…ん?」


見ると、ゲータの使っている鉈の刃が随分とボロボロになっていることに気づいた。


「お前のその武器、随分傷んでるな…」

「ん?あぁ、結構長いこと使い込んでやすからねぇ…そろそろ限界かもしんねぇでやんす」

「そうだな…いい機会だ、この際全員分の装備を新しいものに買い替えるか」

「えっ!?いいんでやんすか!?ありがてぇ!」

「兄ちゃん兄ちゃん!ウチもなんかほしいよぉ」

「分かった分かった、一先ずギルドに獲物を引き渡してからな」

「うぃっす!」

「合点でやんす!」


…狩った獲物を持ってギルドへ行く


「ほらよ」

「おう、案外早かったなボーイ!…ほほぅ、こりゃ中々イイ『ジャイアントボア』じゃねぇか…余分な傷が一切ない、これなら依頼主も満足だろうぜ」

「そうか、そりゃよかった…ところでマスター、この街で良い武器屋を知らないか?」

「あぁ知ってるとも、何たってここは『流通の街』だからな、武器の店だって腐るほどある…俺のおすすめはそうだな、『スティーブ』の店だな、あそこの店はこの街でも随一の品揃えな上に冒険者のお財布にも割と優しい店だ」

「へぇ、とりあえずそこに行ってみるか…」


と、ギルドを後にした後マスターに紹介されたスティーブさんの店を探す



【万屋 スティーブ】



「おう、らっしゃい…ゆっくり見てってくんな」


長い白髪を後ろで結えたゴーグルをつけた壮年の男性が出迎える。


そこの店は言われた通りかなり品揃えが豊富で、武器や装備品だけでなく、スキルブックや薬剤ポーションを作る際の材料なども売っていた。


「言われた通りかなりの品揃えだな…」

「ウチはこの街で随一の品揃えを誇る店だからな、他の店なんかにゃ負けねぇよ」

「そうか、まぁここなら大抵のものは揃ってるみたいだし、色々見て回るのも面倒だからな…一度に済むから助かる」


と、一通り見て回り、ゲータには新品のダガーナイフ、ミーニャには鉄製の手甲ガントレットを、そして俺は上等な革で作られた鞭とスキルブックをいくつか購入した。


「毎度ありー」

「うっほぉぉぉ!!これ超カッケェっす!!」

「オイラのナイフも鋭くてなんでも斬れちゃいそうでやんす!」

「よかったな、気に入ったみたいだな」

「へい!ところで旦那、その本はなんでやんすか?」

「これか?スキルブックだ、これを読めばスキルを習得できる」

「そうでやんすか?まぁどの道オイラ達亜人種は字なんて読めないもんでやんすからそれは必要ないでやんすね」

「ん?読めないのか、文字が?」

「うん、そもそもウチら亜人種には人間と違ってちゃんとした教育を受けるっていう文化がないっすからね、中には自分で勝手に覚えて読み書きできるのもいるにはいるっすけど、基本的に読み書きは疎か数を数えることすらできない奴ばっかっす、かくいうウチもその一人っすけど…」


亜人種は読み書きや計算ができない、か…あわよくば二人にも何かしらスキルを覚えさせようと少し余分にスキルブックを買ったのだが、無駄になってしまったか…

ん?だが待てよ、そういえば以前…これなら何とかなるかもな


「ん?兄ちゃん?」

「どうかしたでやんすか?」

「いや、もしかしたらお前達にスキルを教えられるかも知れない…」

「へっ?」

「ニャ?」

「ついて来い」

「へ、へいっ!」

「あ、待ってっす!」



・・・・・



俺は以前に『調教』というスキルを習得していたことを思い出した。

この調教というスキルはテイマー系の職業限定のスキルで、契約した配下に技やスキルを教えることができるスキル


基本的にスキルはスキルブックを読んで内容を理解することで初めてスキルを習得することができる。

だが言ってしまえば当然文字が読めなければ内容を理解することは不可能、故にスキルは覚えられない…。


だがこのスキルを使うことでそれも可能にすることができるとのこと

スキルブックのスキルを教えることもでき、自分が習得したスキルや技を覚えさせることも可能

だが教えたスキルの種類によってはその効力は半分程度の力しか発揮できないらしい、そこは多分本人の相性にもよるものだろうと容易に推測できる。


そうして俺は、二人にスキルをいくつか伝授した。


ミーニャには『身体強化系スキル:筋力強化』、『攻撃系スキル:格闘術強化』、『火属性のFランク魔術』を伝授した。


ゲータには『身体強化系スキル:脚力強化』、『補助系スキル:隠密』、『水属性のFランク魔術』を伝授した。


更に二人に共通して『念話スキル』を覚えさせた

これで二人の方からもいつでも俺に交信できる。


一方で俺も『支援系スキルFランク』を習得した



「どうだ?」

「おぉ!なんか一気に強くなった気がするっす!」

「オイラもでやんす!」

「うんうん、上出来だ…とりあえず早速試しに討伐依頼でも受けてみるか?」

「うぃっす!」

「へい!」



【冒険者ギルド】



「…というわけだ、何か手頃な討伐依頼はないか?」

「んー、そうだな…だが今ボーイ達のランクで受けられる討伐系の依頼は生憎これ一つしかなくてな」


と、一枚の依頼書を手渡すマスター

その内容は『アングリーコングの討伐』と言ったものだった。


「Cランクかぁ…まぁこれしかないなら仕方ないな」

「アングリーコングはとてつもなく凶暴だ…気をつけろよ」

「分かった」



・・・・・



俺達はアングリーコングの出没するという山奥へやってきた

辺りを警戒しながら先へ進む。


「…ニャっ!?」

「どうした?」

「近くで強い奴の気配がするっす…」


前々から思ったがコイツの危機察知能力はすごいな…獣人特有のモンか?野生の勘とかか?


するとその時だった…



“バキバキバキ!ベキベキベキ!”



木が大量にへし折れるような音がした。


「気をつけろ!すぐ近くにいるぞ!」


「ウホォォォォ!!」



【アングリーコング Lv28】



そこへ現れたのは推定3mほどの巨大なゴリラ型のモンスター

コイツが討伐対象の『アングリーコング』だ

レベルは今の俺達よりもやや上、だが三人で協力すれば勝てない相手ではない。


「ウホ!ウホォォォォ!!」

「コイツなんかめっちゃ怒ってるっす!」

「だからアングリーコングなんだろう…って言ってる場合じゃねぇな、来るぞ!」


俺達に向けて突撃してくるアングリーコング


「『土盾アースシールド』!!」


俺の作った土盾に勢いよくぶつかり怯むアングリーコング


「今だ!やれ!」


「『火球弾ファイヤーボール』!!」

「『水刃ウォーターカッター』!!」


両側から術で攻撃する


「ウホォォォォ!!」


「よし、次だ!ゲータ!動き回って撹乱させろ!」

「合点でやんす!」


素早い動きでアングリーコングを翻弄するゲータ


「ミーニャ!」

「うぃっす!はぁぁぁ!!」


ゲータに気を取られている隙に強烈な飛び蹴りをくらわせる


「ウホォ!?」

「よし!効いてるぞ!」


「ウゥ…ウホォォォォ!!」


更に怒ったアングリーコング、雄叫びを挙げて胸をドンドンと叩く


「まだまだやる気か?しょうがねぇ、相手してやるよ!ミーニャ!先行して正面から奴を叩け!ゲータは後ろから援護だ!」

「うぃっす!」

「合点でやんす!」


指示通りに動く二人、まずはミーニャが先行して正面に突っ込んでいく


「くらえ!『猫拳乱舞』!!」


嵐のようなパンチのラッシュを叩き込む、だがアングリーコングは怯むことなくミーニャを殴り飛ばした。


「にゃふっ!?」

「ミーニャ!」

「先輩の仇!『闇斬り』!!」


隠密スキルで気配を隠し後ろから接近したゲータはアングリーコングの首筋を狙いナイフを振るう



“ズブリッ”



「ウホォォォォ!!」


刺された痛みで更に暴れるアングリーコング、振り落とされないように必死でしがみつくゲータ


「ゲータ!少し耐えろ!大丈夫かミーニャ?今治してやる!『ヒーリング』!」


治癒スキルでミーニャを治療する、その間必死で耐えるゲータ


「うぉわぁぁぁ!ぬほぁぁぁぁ!!だ、旦那ぁ!早くして下せぇ!!もう限界でさぁ!!」

「もう少し辛抱だ!立てるかミーニャ?」

「う、うん…ありがとうっす」

「ったく、しょうがない奴らだ…」

「兄ちゃん…」

「任せろ…後は、俺がやる!『パワード』!『クイック』!いくぞ!うぉぉぉ!!」


俺は自分に支援スキルをかけ、アングリーコングに突撃する


「ウホォォォォ!!」


俺はアングリーコングの鉄拳をギリギリのところでかわし、鞭で思い切りアングリーコングの顔面をぶっ叩いた。


「!!?」


支援スキルで筋力を強化した俺の一撃を顔面にモロにくらいフラフラ状態になる


「せぇいやぁっ!!」


そこで俺はアングリーコングの体を抱え込み力の限りぶん投げた。


「ウホォォォォ!!」


気を失うアングリーコング、目を回して伸びてしまった。


「ちょっと旦那ぁ!酷いでやんすよ!あわよくばオイラまで巻き添えになるところでしたぜ!」

「悪い悪い、だがお前だったら大丈夫だと思ったからさ」

「でも、酷いでやんすよ!」

「だから悪かったって、それよりも起きる前にさっさとトドメ刺して解体済ませてずらかるぞ!」


こうして、何とか無事にアングリーコングの討伐を成功させたのだった。



・・・・・



「おかえりボーイ達、成果はどうだった?」

「この通りだ、ほら…魔石とアングリーコングの指一本」

「ほぅ、大したモンだな…ほら、報酬だ」

「サンキュー」

「にしてもアングリーコングをたった三人でねぇ…普通ならCランク冒険者十人掛かりでやっと仕留められるもんだが…ボーイの実力はホント測り知れないな…」

「よしてくれマスター、俺はほとんど何もしてない…全部コイツらがいてくれたおかげだ、俺一人じゃ絶対果たせなかっただろうよ…」

「ワッハッハッハ!謙虚なことだな!だがそれもいい!」


(兄ちゃんの嘘つき…あのゴリラ最後は結局兄ちゃんがぶっ倒したのに、でもなんか…お師匠様みたいでカッコいいっす!無闇に自分の力を自慢せず、常に謙虚であれ…お師匠様もこう言ってたっす)



ギルドに報告を終えた後、俺達は宿をとろうと探していた。


ここ数日はゲータの特訓の為、外で野宿ばかりしていたのでそろそろちゃんとした宿で休もうと思い立ったのだった。


…の、はずだったのだが


「申し訳ございません、当宿は亜人種の方のご宿泊は固くお断りさせていただいております…」

「…えっ?」


と、門前払いをくらってしまった…他の宿もどこも亜人種お断りとつっぱねられてしまった。

ここまで亜人種への差別が根付いていたとは…しばらくはテント生活するしかないか…



「旦那…申し訳ないでやんす、オイラ達のせいで旦那まで」

「ごめんね兄ちゃん…」

「気にするなって言ったろ?それに、慣れてくればテント生活も悪くないって思ってきたしな…」

「旦那…」

「兄ちゃん…」

「お、今夜は空が綺麗だな…見てみな」

「えっ?…うわぁ」

「綺麗でやんすねぇ…」


空を見上げると大きな満月が浮かんでいた、その満月を取り巻くように周りには星達がキラキラと煌めいていた。

この世界にも月とか星とかあるんだな…星が綺麗なのは向こうもこっちも変わらないな。


「さ、明日も早いんだ…さっさとメシ食って早く寝るぞ」

「うぃっす!」

「へい!」




To be continued…




-----【To days Result】-----


ジャイアントボア ×3


アングリーコング ×1

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