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モンスターテイマー 〜リョーガと愉快な仲間たち〜  作者: 紫龍院 飛鳥
第六章 リョーガと大規模任務

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第四十一話 ユラと人斬り


…一方その頃、リョーガ達と別動隊として動いているユラ達は。


「三番隊副隊長、『ウィル』と申します…よろしくお願いいたします」

「おう!よろしく頼むぞ若いの!」

「おいおい、こんなチビのガキなんかで大丈夫かよ?」

「し、失敬な!僕はもう二十二歳ですよ!子供扱いしないでください!」

「へへ~、小さくて可愛いのだ~!メリッサと同じくらいかな?」

「や、やめてください!僕は男です!可愛いなんて言われても嬉しくありません!」

「まぁまぁ怒んなって、悪かったよ…それよりも、アタイらはコイツを捕まえればいいんだっけ?」


と、リストを確認する


「元 Aランク冒険者『リルハ』…女性でありんすね」

「ふむ、冒険者になる前は小国の騎士団に所属していた過去あり…過剰すぎるほど人を斬りすぎた為騎士団を解雇され、後に冒険者となるも同じような理由で冒険者資格を剝奪されギルドから追放…でありますか」

「要するに、人を斬るのが好きな狂ったイカれ野郎ってわけか…」

「おぞましいのぅ…」

「今でも各地で『辻斬り』まがいの人斬りを横行しているそうでありんすねぇ…」

「早いとこ捕まえないと、このままではまた被害者が…」

「そうだな…とりあえず探してみるか」


リルハの情報を集める一行、するとその時だった…。


「!?」

「メリッサ?」

「近くで、誰か悲しんでるのだ…」

「えっ?」

「とても強い悲しみの匂い…多分、大事な人を亡くした悲しみなのだ」

「ほぅ、どこじゃ?」

「あっちなのだ」


メリッサの示す方向へ急ぐ、そこは小さな村の家で悲しみに暮れる母とその娘の姿があった。


「うっ、ううっ…あなた」

「お父さん…うぅ」


親子の目の前には白い布がかぶせてある父親とみられる遺体が安置されてあった。


「…血の匂い、誰かに殺されたみたいだな」

「まさか、リルハが…」

「可能性は高いでありんすね」

「そうかもな…」

「ちょっと話を聞いてみましょう…あの、すみません」


親子に話を聞くウィル


「…騎士様?何かご用でしょうか?」

「突然お邪魔して申し訳ございません…少しお伺いしたいことがあるのですが…」

「はい…」


「で?どうだった?」

「はい、やっぱりあの家の旦那さん…誰かに斬られて亡くなっていたみたいです」

「くそ、何の罪もねぇ民間人を…許せねぇ!」

「全くであります!罪なき人間の命を平気で奪うなんて、元とはいえ騎士の風上にも置けないであります!」

「メリッサも怒ったのだ!もうこれ以上誰にも悲しい思いなんてさせたくないのだ!」

「よう言うた!必ず儂らで捕まえてみせようぞ!クァーッハッハッハッハ!」

「えぇ、張り切っていくでありんす!」

「皆さん…」



・・・・・



それからユラ達は方々で情報を集め、リルハの居場所を探った。


「ウィル副隊長、リルハの潜伏先が判明しました…」

「そうか分かった…皆さん!」

「あぁ」


着いた先はとある廃墟の屋敷、ここがリルハがねぐらにしている所らしい。


「ここか…」

「あぁ、血生臭いニオイがプンプンしやがる…間違いねぇ」

「いよいよでありますね…」

「えぇ、お前達は屋敷の周りを固めろ…絶対に逃がすな」

「はっ!」


屋敷の周りに騎士達を配置つかせる


「よし、じゃあ殴り込むとするか!」

「えぇ!」

「おう!」

「あい!」

「のだ!」

「了解であります!」

「よし、いくぞオラァ!」


ドアを蹴破り中へ突入する


「オラァ!出てきやがれ!」

「…あらあら、人の家にぞろぞろと…わざわざ私に斬られに来たのかしらぁ?」


階段の奥から現れたマゼンタ色の長い髪をした女、腰には長剣を提げている。


「貴様が、リルハかのぅ?」

「えぇそうよ…ウフフ、随分と生きの良さそうな子達が集まったものね、刻み甲斐がありそう」

「リルハ!貴様は何故そこまで人の命を奪う!?」

「何故って、決まってるじゃない?私は人を斬るのがだ~い好きなの♡」

「なっ…!?」

「人を斬った瞬間の肉の感触…飛び散る臓器や血飛沫…聞こえる断末魔…ハァ、ハァ、どれをとっても最っ高にエキサイティング!!想像しただけで興奮してきちゃうわぁ…」


頬を赤らめ荒い息づかいで股を手で押さえるポーズをするリルハ


「…救いようのないとんでもド変態だな、吐き気がする」

「この快感が理解できないなんて、人間としてどうかしてるわね」

「大いに結構、こちとら当の昔に人間なんてやめてんだよ」

「あらそう、その赤い瞳…もしかしてあなたアンデッドなの?それは好都合ね!アンデッドなら斬っても斬っても死なないから私の欲を満たすのにおあつらえ向きね!ゾクゾクしちゃう♡」

「ハッ、誰がやらせるかバーカ!」

「あら残念、だったら…そこの騎士の坊やで我慢するしかないわね!」


と、床を蹴って一瞬にして距離を詰めウィルに斬りかかるリルハ


「!?」



“ガキンッ!”



咄嗟にガンディが盾で受け止める


「くっ!」

「っ!?」

「おい!ぼさっとしてんな!死ぬぞ!」

「は、はい!」


「ハナビ殿!」

「あい!」


「『竜風弾ドラゴバレット』!!」


「『狐流妖術 炎舞・紅蓮放撃』!」


フウラとハナビが両サイドから魔術を放つ


「フン…」


剣でガンディを押しのけてその反動で後ろへ華麗に宙返りして術をかわす


「チッ!避けおったか…」

「アハハハ!みんな纏めて斬り刻んであげる!」

「上等!メリッサ!」

「はいはーい!ノリノリ全開で行くのだ!ナウ・ミュージックタ~イム!」


ギターをかき鳴らし味方を鼓舞するメリッサ


「いくぜ!」


距離を詰めてリルハに蹴り掛かるユラ



“ガキンッ!ガキンッ!ガキィンッ!”



「へぇ、中々やるじゃない…」

「余裕ぶってられんのも今のうちだぜ!」

「それは、どうかしらね!」

「っ!?」



“ザシュッ!”



右足を斬り落とされるユラ、バランスを崩してその場に倒れる


「くっ、やべ…!」

「終わりよ!」

「ユラ女史ぃ!」


咄嗟にガンディが割って入りユラを守る


「うぉぉぉ!!」

「ガンディ!」

「…硬いわね、この私の剣の腕を持ってしても斬れないなんて…」

「我が騎士道に懸けて、必ず…守るであります!うぉぉぉ!!」


と、力任せにリルハを押していき壁を突き抜けて外へ飛び出すガンディ


「ガンディ殿!儂らも追うぞ!」

「あい!」


ガンディを追って出ていくフウラとハナビ…一方メリッサとウィルは足を斬られたユラの元へ駆け寄る


「ユラちん!大丈夫なのだ!?」

「ユラさん!」

「お前ら、あぁ大丈夫だ…アタイはアンデッドだから痛みはない、メリッサ…斬られた足持って繋げてくれ」

「こ、こうなのだ?」


斬られた足を持ってきて斬られた断面にくっつける


「…こうしとけばじきに治る、ちょっと時間はかかるけどな…ホントは血ぃ飲めば早く治るんだけどな」

「でしたら、僕の血を飲んでください!」

「…やだ、リョーガ以外の血なんて飲みたくねぇ」

「ガーンっ!」

「ユラちん、そんなこと言ったらウィルちん可哀想なのだ…それに今は選り好みなんてしてる場合じゃないのだ」

「分かったよ、しょうがねぇなぁ…ほら腕出せ」

「は、はい…」


籠手を外して腕を出すウィル


「じゃあ、あんま気は進まねぇけど…緊急事態だからな」


と、ウィルの腕を噛んで血を吸うユラ


「…うっ、やっぱ信じられんぐらいクソ不味い…おえっ」

「そ、そんな…なんかショック」

「もうユラちんったら、リョーガちんの血ばっか飲んでたからすっかり舌が肥えちゃったのだ…」

「仕方ないだろ、アイツの血が美味いのがいけないんだもん…」

「でも今は我慢して飲むしかないのだ」

「うぅ…やだなぁ、うえっ」



・・・・・



一方、ガンディはリルハ相手に一人で奮闘していた。


「…ハァ、ハァ、ホントにあなた硬いのね…ここまで斬りこんで傷一つつかないなんて初めてよ」

「自分のこのからだや盾はミスリル製、ちょっとやそっとでは傷一つつかないであります!」

「へぇ、でも守ってばかりじゃ私は倒せないわよ?」

「くっ…」


(彼女の言う通りであります…だがしかし動きが速すぎて魔術を発動する隙すらないであります…)


「ガンディ殿!」

「ガンディはん!」

「フウラ女史!ハナビ女史!」

「よく耐えてくだしんした…」

「あぁ、後は儂らがやろう!」

「気を付けてくだされ、正面に向き合っては彼女の動きが速すぎて術を出す隙がないであります…」

「ほぅ、それはちと厄介じゃのぅ…」

「なら、接近戦で挑むのみでありんす…」

「いくか、ハナビ殿?」

「あい、あちきも…久方ぶりに本気を見せるでありんす!」


すると、フウラはドラゴンの姿に変身し、ハナビも九本の尻尾を持つメラメラと燃え盛る白い炎のような妖気を全身に纏った九尾の妖狐の姿へと変身した。


「こ、これが…ハナビ女史の真の姿…」


『ウフフ、この姿になるのは何百年ぶりでありんすかねぇ?』


「嘘でしょ…ストームドラゴンに、九尾の狐…『ブレイズフォックス』ですって!?」


『正確には、『嵐竜族』と『妖魔族』じゃがのぅ…』


「嗚呼、ゾクゾクするわぁ…ドラゴンを斬り裂いたらどれほどの血飛沫が上がるのかしら?フフフ、アハハハ!!」


不気味に笑いながら剣を振り上げて斬りかかるリルハ


『フンッ!』


尻尾を鞭のように振り回しリルハに当てる


「へぶっ!」


『あちきも、いきますえ!』


炎の妖気を纏った爪で容赦なく引き裂く


「ああぁっ!…ま、まだよ!私は…まだまだやれる!」


『やめておけ、これ以上は命を落とすぞ…』


「うるさい!さぁ…もっと私を興奮させなさいよ!フフフ、アハハハ!」


『完全にイカれておる…正気じゃないぞこやつ』


『狂気の沙汰でありんすね…』


「フフフ、アハハハ!!」


すると、その時だった…どこからともなくバイオリンの音色が聞こえてきた。


(む?この音色は…)


すると、リルハはバタリと倒れてスヤスヤと寝息を立てて眠った。


「『音曲魔術・ドリーミングメロディ』なのだ…」


「メリッサ女史!」


『おぉ!やはりお主の術であったか!』


人間態へ戻るフウラとハナビ


「ところでユラはんは?」

「ユラちんなら大丈夫なのだ!今はあっちで休んでるのだ!」

「それは何よりじゃのぅ」

「では、戻りましょうか…」



「おう、終わったか?」

「あい、きっちりと済みましたえ」

「そうか、悪かったな…アタイがドジったばっかりに…」

「気にすることはない!終わり良ければ総て良しじゃ!クァーッハッハッハッハ!」

「フウラ…」

「では、僕は隊長に報告を…」

「自分も行くであります」

「じゃあメリッサ達は先にお屋敷に戻ってるのだ!」

「えぇ、ではまた後で…」



・・・・・



【リョーガ邸】



「ただいまなのだー!」

「おう、おかえり…そっちも終わったのか?」

「うむ!主殿も今帰ってきたってところかのぅ?」

「あぁそうだ…にしてもくたびれたな…」

「リョーガぁ!」

「うわっぷ!?」


と、いきなり飛びついて俺に抱きつくユラ


「お、おいユラ…いきなりなんだお前!?いつになく激しいぞ…」

「だって、さっきの戦いでアタイ大怪我しちまってさ、回復する為とはいえ騎士の小僧のクソ不味い血飲む羽目になって最悪だったんだぞ!」

「そ、そりゃ災難だったな…つか、大丈夫なのか?大怪我なんて…」

「怪我なんかもう治ったからいいんだよ、それよりもまだ口の中クソ不味い血の味が残っててめちゃくちゃ不快なんだよ~…口直しさせてくれ!なっ?いいだろ?」

「ったく、しょうがねぇなお前は…」

「やった!いっただきまーす!!」



“…チュウゥゥゥ”



「ちょ、おい…ユラ?強い強い!そんな勢いで飲んだらマジで…うっ」

「チュウゥゥゥ、あぁ美味ぇ…じゅるじゅる…」

「あ、やべ…目の前が、霞んできた…」

「ユ、ユラの姉ちゃん!もうやめるっす!兄ちゃんが死んじゃう!」

「だ、旦那ぁ!しっかりしてくだせぇ!」

「ご主人様ぁ!」

「ガウッ!(ボス!)」

「これはイカン!ハナビ殿、止めるぞ!」

「あい!」


我を忘れて血を吸いまくるユラを引き剝がす


「邪魔すんな!もっと血ィよこせぇ!」

「ダメじゃ、完全に我を忘れておる!メリッサ殿!さっきのあれを!」

「任せるのだ!ナウ・ミュージックタ~イム!」

「う、うぅ…もう、絶対アイツに血なんか飲ませるもんか…」




To be continued…




-----【To days Result】-----



人斬り リルハ ‐Win‐

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