第三十五話 リョーガとお年玉 後編
前回のあらすじ、新年早々リョーガ邸の地下訓練場で開催された『第一回 リョーガ主催 お年玉争奪ガチンコバトルトーナメント大会』…みんなお年玉欲しさに熱いバトルを繰り広げていた。
第一回戦目は、ミーニャ&クリムの『チーム・師弟』VSゲータ&ぷよたんの『チーム・頭脳派』の対戦…
前半ゲータ達のペースに持ち込むも、ミーニャの起死回生の『野生解放』によりチーム・師弟が勝利を納めた。
第二回戦目は、フウラ&ルリの『チーム・幼馴染』VSハナビ&ルカの『チーム・炎』の対戦…
強力な炎の術を繰り出すチーム・炎の力をものともせずに強烈な合体攻撃でチーム・幼馴染が勝利を納めた。
第三回戦目は、ユラ&メリッサの『チーム・アンデッド』VSガンディ&ドッガの『チーム・大男』の対戦…
持ち前のパワーと防御力を生かして瞬く間にユラを撃破し、チーム・大男が勝利を納めた。
…そして闘いは、ついに最終決戦へと突入しようとしていた。
「“さぁ盛り上がって参りました『お年玉争奪ガチンコバトルトーナメント大会』!いよいよ最終決戦へと突入ぷよ!最終決戦へと駒を進めたのは『チーム・師弟』『チーム・幼馴染』『チーム・大男』の三チーム!果たして優勝を手にするのは一体誰なのか!?片時も目が離せないぷよ!尚、引き続き実況は僕、ぷよたん…そして解説はご主人様が担当するぷよ!”ご主人様、よろしくぷよ!」
「あぁ、よろしく…」
「“それでは!まもなく最終決戦を開始いたしますぷよ!”」
「ミーニャ先ぱーい!クリムー!ファイトでやんすー!」
「フウラはん、どうかお気張りなんし」
「頑張ってルリちゃん!」
「ガンディー!テメェ負けたら承知しねぇかんな!」
「ドッガちんも、みんな頑張るのだー!」
決戦に臨む三チームに声援を送る一同
「気合十分っす!クリム、絶対に勝つっすよ!」
「ガウッ!ガウガウッ!(はい!師匠!)」
「クァーッハッハッハッハ!儂は誰にも負けんぞぉ!」
「私も、精一杯助力致します…」
「みんな気合十分だすなぁ…オラ達も気張っていくべ!」
「了解であります!どんな攻撃だろうと防ぎきってみせるであります!」
「“それでは!最終決戦いよいよスタートぷよ!”…レディー…ファイッ!」
「まずは厄介なあ奴らから攻め落とすか、ルリぃ!」
「はっ!フウラ様!」
「クリム!頼むっす!」
「ガウッ!」
「“あーっと!クリムさんもルリさんもまずはチーム・大男から攻め落とすようぷよ!”」
「『竜水飛沫』!」
「うわっと!危ないであります!」
ルリの放った水の術を盾で防ぐガンディ
「…防がれた!?」
「ふーっ、ユラ女史から聞いてるでありますよ…水竜族の水は我々ゴーストやアンデッドには大敵であると!そう簡単に食らわないであります!」
「なら、どこまで耐えられますかね?」
「ガウッ!ガルルル!」
「おっ?クリムどん、オラとやる気だすか?望むところだす!」
「ガウッ!」
「おうおう、仲良しのクリムどんを殴るのは気が引けるだすが…恨みっこはなしだべ!」
「では、我々も始めようか?ミーニャ殿…」
「うぃっす!いくっすよ!フウラの姉ちゃん!」
各個撃破の激しいぶつかり合いが繰り広げられる。
「“さぁ、激しいぶつかり合いが繰り広げられているぷよ!どうぷよか?ご主人様?」
「…そうだな、みんなここまで勝ち上がってきただけあって激しい闘いになることは予想はできていた…特に俺個人としてはミーニャとフウラ、この二人は普段からより高みを目指して切磋琢磨し合っている、どちらが勝ってもおかしくはない、そう感じている…」
「なるほど、僕もそう思いますぷよ…」
…そんなこんなで各自更に闘いの激しさを増していく
「クァーッハッハッハッハ!やはりやるなぁ!ミーニャ殿!」
「フウラの姉ちゃんも、やっぱり強いっすね…」
「ククク…今の状態ではちと生ぬるいかのぅ…どれ、ちいとばかり本気を出すとしよう…」
と、ドラゴンの姿に変身するフウラ
「ウチも、負けるわけにはいかないっす!」
“ブォンッ!”
と、ガントレットに魔力を込めて爪を発現させるミーニャ
『ゆくぞ、ミーニャ殿ぉぉぉ!!』
「うにゃぁぁぁぁぁぁ!!」
…一方で、ガンディとルリは
「えぇい!」
「『土盾』!」
水をかけられないように必死でガードするガンディ
「…フゥ、やはりしぶといですね」
「至極当然!自分の守りは、崩すことはできません!」
「…なるほど、把握しました…ならば私も、本気を出させていただきます…」
すると、ルリもドラゴンへと変身する
「の、臨むところであります!」
…一方で、クリムとドッガは
「ガルルル、ガァウッ!」
「ぬおっ!?ぬぅ…オラの肌にこうも易々と傷をつけられるとは…面白いだすなぁクリムどん!なら、ドラゴンとなったオラの体を傷つけることはできるべか?」
ドラゴンへ変身するドッガ、その巨体を前に圧倒されたじろぐクリム
「クゥン…」
『ハッハッハ!もう降参だすか?』
「ガルルル!ガウ!ガウガウ!(降参なんてしない!僕は、負けない!)」
『うんうん、それでこそクリムどんだす!さぁ、いくだすよぉ!』
「“おぉ!竜人種のお三方がドラゴンに変身したぷよ!これは更に白熱しそうぷよ!”」
『がぁぁぁぁぁ!!』
「うにゃぁぁぁ!!」
“ガキンッ!ガキンッ!”
ドラゴン化したフウラと激しくぶつかり合うミーニャ
『ほぅ…中々やるではないか、ドラゴン化した儂の体に傷を残すとは…良い武具ではないか』
「へへへ、どんなもんっす!」
『じゃが、あまり多様できる代物でもなさそうじゃな…じきに魔力も尽きるじゃろうて』
“シュンッ…”
と、爪が一回り小さくなってしまった。
「にゃっ!?」
『クァーッハッハッハッハ!魔力ブーストがついているからと油断したのぅ!』
「くっ!」
『そのようなちっぽけな爪では儂の鱗を裂くことなど不可能!もう諦めよ!』
「まだまだっす!『野生解放』!」
『クァーッハッハッハッハ!いいぞ…もっともっと楽しもうではないか!』
…一方で、ガンディとルリは
「『竜波』!!」
「『巨土壁』!!」
ルリの猛攻に必死で耐えるガンディ
『…ハァ、ハァ、私の真の力を解き放った状態での術もこれほど耐えきるなんて、呆れた頑強さですわね』
「それは、褒め言葉として受け取っておくであります…」
『ですが、もう終わりです…嗚呼、我らが水の女神よ…この私に、どうか力を与えたもう…』
「!?、何が始まったであります?」
『…我、敬虔なる水の女神の信徒…歪なる汚れを浄化し、清め給え…』
(こ、この詠唱は…まさか!?)
『悪霊退散!『神聖水流』!!』
「まずいであります!こうなれば、ありったけを…『霊炎砲』!!」
最大の力を込めて炎弾をぶつける
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
「!?」
高熱の炎で水が蒸発していく
(そ、そんな…これほどまでの力が、あるなんて…)
炎弾が直撃して伸びてしまうルリ
「や、やったであります…あれ?し、しまったであります…魔力を使い切ったせいで、もう…立て、な…」
力尽きて倒れるガンディ
「“あーっと!ルリさんとガンディさん共にダウンぷよー!”」
…一方で、クリムとドッガは
「ガウッ!」
『ぐぅっ!』
果敢にドッガに挑みかかっていくクリム
『まだまだ!『尖岩突』!!』
地面から尖った岩が出現しクリムを攻撃するも、クリムはそれを華麗に避ける
『くっ!』
「ガウッ!」
鋭い爪でドッガの皮膚を引き裂いた
(なっ…オ、オラの鋼の鱗に傷が!)
それからも立て続けに攻撃を仕掛けるクリム
(くっ!こ、この姿じゃ機敏に動けねぇべ…)
ジッとこらえながら反撃のチャンスを窺うドッガ
「ガウッ!」
ドッガの前足に嚙みつくクリム
『ぐっ!』
「ガルルル…」
『くぅっ!は、離すだす!』
前足に嚙みついたクリムをブンブン振り回し地面にたたきつける
「ガルルル…」
牙が食い込んで血が滲み出る
『ぐぅ、イダダダ…も、もう降参だす!もうやめてけれぇ!』
あまりの痛みに思わず降参してしまうドッガ
「うぅイテテテ…クリムどん強いだすなぁ、危うくえぐり切られるとこだっただす」
「…クゥン(痛くしてゴメンね)」
「謝るこたぁねぇだよ、オラこそゴメンなぁ…痛かったらに?」
「ガウッ、ウゥ…」
「ほら、無理するでねぇ…立っとるのでやっとでねぇか…」
「クゥン…」
「“あーっとここでクリムさんとドッガさんも共にリタイアぷよ!さぁ残るはミーニャさんとフウラさんの両名のみぷよ!勝利の女神が微笑むのは果たしてどっちぷよ!?”」
『…ハァ、ハァ、どうやらもう残っているのは我々二人だけらしいのぅ…』
「…ホントっす、闘うのに夢中で気づかなかったっす」
『…クァーッハッハッハッハ、では我々も…そろそろケリをつけるとしようかのぅ…』
「望むところっす!ウチのありったけを姉ちゃんにぶつけてやるっす!」
『上等!ならば儂も全身全霊を持ってぶつかるとしよう!ゆくぞ!はぁぁぁぁぁぁ!!』
「うにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
互いに全力でぶつかり合う
「“こ、これはぁ!す、凄まじいぶつかり合いぷよ!あまりの衝撃にこっちも吹き飛びそうぷよ!”」
「…あぁ、一体…どっちが勝つんだ!?」
あまりの強い衝撃で火花が散り、周りが見えなくなる。
…やがて衝撃が収まり、目を開けてみると…
「“あーっと!こ、これはぁ!”」
ミーニャもフウラも、両者共に力尽きて倒れていた。
「“な、なんと!両者共にダウンぷよ!”ご、ご主人様…」
「…こりゃ、引き分けだな」
「ひ、引き分け!?でも、それだと優勝者はなしってことに…」
「…ま、そうなるな」
「ぷよぉ…じゃあ、お年玉はお預けぷよ?」
「んー、そうしようかと一瞬思ったがな…ま、全員頑張ったことだし、今回は特別にみんなの頑張りを称えて全員にお年玉をやろう!」
「あぁ!」
…斯くして、第一回 お年玉争奪ガチンコバトルトーナメント大会は幕を閉じ、優勝者はなしで全員がお年玉をもらえることとなった。
新年早々とんだ出費だな…ま、みんな喜んでるみたいだし…これはこれでいっか。
・・・・・
大会を終えて、全員食堂に戻り改めて新年会を始めることにした。
「えー、みんな新年おめでとう!今日は無礼講だ!沢山食べて飲んでしっかりと英気を養ってくれ!そして今年一年もみんなで力を合わせて頑張ろう!乾杯!」
「カンパーイ!!!!!」
To be continued…




