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モンスターテイマー 〜リョーガと愉快な仲間たち〜  作者: 紫龍院 飛鳥
第二章 リョーガ、東大陸を行く

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第十九話 リョーガと若様


…これまでのあらすじ、西大陸冒険者ギルド 総ギルド長である『アルカイル王配殿下』から海賊レイモンド一味に盗まれた『妖刀・血染』を返しに行く任務を仰せつかった俺達は、国の転覆を目論む過激派反乱組織『朝日の党』と一戦を交えたり、ひょんなことから親しくなった猛獣使い(ビーストテイマー)の少女『ピーチ』のお宝探しを手伝ったり、『妖魔の里』と呼ばれる知性を得て進化したモンスター達の集落を訪れ、そこで妖狐一族の『ハナビ』を新たな仲間として迎え入れたのであった。


…斯くして、様々な苦難や紆余曲折を経た俺達は、とうとう和の国の都へと辿り着くことができた。




【和の国の都】



「着いたな…ここが都か」


そこでは今までよりも多くの人達が溢れていて、見上げると目の前には大きなお城が聳え立っていた。


「ん?ちょっと待て…なんか変だな?」


ふと、住民達の顔を一人一人よく見てみるとなんだかみんなしょぼくれたような顔をしていた。


「…おやおや、皆はん元気がないでありんすねぇ」

「何かあったのか?なぁ、ちょっといいか?」


俺はすぐ様通りがけの中年男性に尋ねてみた


「はい?なんでしょう?」

「いや、少しみんなが暗い顔をしてるから気になってな…何かあったのか?」

「あぁ、それが…つい一昨日、君主様がお亡くなりになられたのです…」

「何、だと!?」

「兄ちゃん、もしかして…」

「あぁ、間違いなく…奴ら(・・)の仕業だな」


話を聞く限り、亡くなった君主様は賊の襲撃に逢い瀕死の重傷を負い懸命な治療の甲斐も虚しく亡くなってしまったとのこと…恐らくその賊というのが『海賊 レイモンド一味』で間違いないだろう…奴はこの国で妖刀を奪ったと言っていた


「つい昨日、君主様の国葬を終えたばかりで国民達は皆…君主様の死を嘆いておられるのです…」

「そうだったのか…」

「兄ちゃん…どうするっすか?」

「どうするも何も、一先ず妖刀コイツを返さないとな…その為に来たんだからな」

「ですけど、向こうも君主様が亡くなられたばかりで忙しくしているではないでやんすか?」

「…それもそうだな、ならあまり長居しない内にスッと返してさっさと戻ろう、それなら問題ないだろう?」

「あい、構いまへんえ…」

「なら、そうと決まったらさっさと返しに行こう!」



・・・・・



【サクラ公国 サクラ城】



「たのもー!」

「む?貴殿らは…何用か?」

「俺達は西大陸のリマーシ王国冒険者ギルド本部からの使いの者だ、お目通り願いたい!」


と、門番に冒険者カードを見せる


「そ、それは!?Aランク冒険者の証であるゴールドカード!…して、ご用件は?」

「ここに、賊により盗まれた『妖刀・血染』を奪還し、貴国へ返還しに参上した!」


と、妖刀を取り出して門番に見せる


「な、なんと!?それは紛うことなき我がサクラ公国の至宝…!」

「ま、まさかあの賊より奪い返したと申すか!?」

「本当だ!冒険者の名にかけて決して嘘偽りなどないと誓う!」

「分かり申した、暫し待たれよ!」


と、門番の一人が城の中へ駆け込んでいく…


…数十分後、戻ってきた門番の後ろには貫禄のある老人の姿があった。


「御家老様、この方々でございます…」

「うむ、分かった…この度は、我らがサクラ公国の至宝である大切な刀を取り戻していただき深く感謝を申し上げまする…」

「いや、そんな…」

「申し遅れました、私『桜庭家』家老の『塔野 フキ三郎』と申しまする…」

「冒険者のリョーガだ…とりあえず、これを」


と、フキ三郎さんに妖刀を手渡す


「ありがとうございまする…」

「じゃ、確かに渡したからな」

「はい、本来であればお礼として貴殿らを手厚くもてなしたいところなのですが…何分今は立て込んでいまして」

「気にするな、君主殿が亡くなられたばかりで色々大変だろう…俺達もあまり長居するつもりはなかったしな」

「お心遣い、痛み入ります…」

「じゃあな…」


その場を去ろうとしたその時だった。



“ヒヒーーーン!!”



「!?」


突然馬に乗った青年がものすごい勢いで門を走り抜けていき、あわや俺達はぶつかりそうになった。


「危なっ!?…ったく、なんだ今の?お前ら無事か?」

「うぃっす、大丈夫っす」

「ひぃー、危なかったでやんす…もうちょっとで跳ね飛ばされるところだったでやんす!」

「ほんに、乱暴な御仁でありんすねぇ…」

「ぷよ〜、怖かったぷよ…」

「クゥン…」

「な、なんてことだ!また『若様』め…勝手に外に!」

「若様?」


あの馬に乗った奴、若様ってことは死んだ君主の跡取り息子かなんかか?…にしても、かなり急いだ様子だったが…どこ行くつもりなんだ?


「リョーガ殿と言いましたな?お願いでございます!若様を連れ戻してきてはくださらぬか!?」

「はぁ?どういうことだ?」

「じ、実は…」



…サクラ公国 十七代目君主の嫡男『桜庭 ハルノブ』

彼は幼少期から悪戯好きの問題児で先代君主も家臣達も毎日とても手を焼かされているという。


いつも今日のように勝手に城を抜け出しては城下で遊び歩いている始末なのだそうだ…


「桜庭家次期当主ともなられるお方があの様な体たらくで、お恥ずかしい限りでございます…」

「やれやれ、跡取りだったらちゃんと教育しとけよな…」

「それが、若様は先代が晩年になってからお生まれになった待望の御子息でして…奥方様は若様をご出産した直後、お亡くなりになり、淋しい思いをさせまいと先代は若様を大層甘やかしてしまわれたのです…」

「その結果がこれか…ったく世話ねぇな」

「お恥ずかしい限りでございます」

「まぁいいや、一先ず若様とっ捕まえてくりゃいいんだろ?」

「はい、何卒よろしくお願い申しあげまする…」

「分かった、んじゃいっちょいくか!クリム!」

「ガウッ!」


俺達はクリムに跨り若様の後を追った。



・・・・・



「おーい若様ー、どこっすかー?」

「いたら返事してくんなんしー!」

「やれやれめんどくさい若様だな…世話が焼けるぜ」

「一体どこ行ったんでやんすかねぇ?」

「さぁな…せめて若様の行きそうな場所くらい聞いておくんだったな…はぁ、めんどくせぇ」


若様を探して歩いていると、大きな湖の畔に着いた。


「わぁ…」

「綺麗な湖だな…」


透き通るような鏡のような水面に空や森の木などが写ってキラキラと輝いていた。


「ん?あれは…」


見ると、湖の側でさっきの馬に乗った青年…基、若様が一人で黄昏ていた。


「やれやれ、こんなところにいたか…」


俺達は若様に歩み寄っていく


「見つけたぜ、若様」

「…何だお主達は?」

「俺は冒険者のリョーガ、フキ三郎さんにアンタを連れ戻してくるように頼まれたんだ」

「…フン、爺やの差し金か…悪いが儂は城へはまだ戻るつもりはない」

「なんか理由でもあんのか?俺で良ければ聞くだけ聞いてやるぜ?」

「お主達に話す義理などない、早々に立ち去れ!」

「ムカッ!おい!ウチの兄ちゃんが折角話を聞いてくれるって言ってんのに何すかその態度!人の親切は有り難く受け取るのが礼儀だって知らないんすか!?」

「やめろミーニャ、相手は若様だ…」

「でも…」

「フン、下らん…お主らと話すことなど何もない!もう儂に構うな!」


そう言って若様は再び馬に跨って走り去ってしまった。


「…チッ、世話の焼ける若様だぜ」

「早く追うっす!見失っちゃうっすよ!」

「分かってるよ、ったく…めんどくせーな」


逃げた若様の後を追う俺達、するとその時だった…


「な、何だお前達は!?は、離せ!」


「!?、あの声は…」

「若様でやんす!」

「こっちから聞こえたぷよ!」

「…何やらただ事ではありんせんね」

「あぁ、いくぜ!」


声がした方へ行くと、若様は数人の男達に取り押さえられていた

男達は刀などの武器を持っており何やら不穏な空気だ…。


「…あいつら!?」

「離せ不届者!儂を誰だと思うておるのじゃ!離せー!」

「げへへへ、無駄無駄!アンタにはこれから大事な人質になってもらうからよ…逃がさないぜ?」

「くっ、己ぇ…」

「ちょいと待ちな!」

「あん?」

「お主達!」

「大人しくそいつを渡しな、今なら命だけは見逃してやる…」

「あん?何だテメェ?」

「フン、誰だか知らねぇが俺達の邪魔するんなら容赦しねぇ…やっちまえ!」


刀を抜いて襲いかかる男達


「チッ!後で後悔すんなよ!」

「お待ちなんし!ここはあちきが…えぇい!」



“パァン!”



と、ハナビが勢いよく手を叩くと一瞬周りの空気がピリッとしたような感覚がした。


「…何だ?今の?」


するとその時だった。


「…ぎ、ぎぃやぁぁぁぁぁ!!た、助けてくれぇ!」

「あ、熱いぃ!やだ!やめてくれぇぇぇ!!」


突然何もしていないのに悶え苦しみだした男達


「こ、これは!?」

「何が起きてるっすか!?」

「『狐流妖術 幻技・浸湯しんとう滅却』…今この人らはあちきがかけた幻術により煮えたぎる釜でグツグツ煮られている幻を見ているでありんす…」

「幻…なのか?にしてもすごい苦しみ様だな…」

「ウフフ、たかが幻だと思って侮ってはなりんせんよ?強い術であればあるほど、その者の精神を破壊し…心を死に至らせることも雑作もありんせん…」


精神的苦痛ってわけか…たしかに心が壊れちまえば人間なんて廃人も同然になる、ある意味肉体的な攻撃よりもキツいな…。


「う、うぅ…」


やがて男達は、ヨダレを垂らし痙攣しながら白目を剥いて気を失ってしまった。


「まぁ、何せよ…無事で良かったな若様」

「フン、余計な真似をしおって…言っておくが、儂は城には戻らんぞ!」

「…まだつまらん意地を張ってやがんのか、もういい加減しろよな…城のみんなだってきっと心配してるに決まってる」

「心配などするものか、儂はこれまで…父上に甘えてばかりで城の者達にも散々迷惑をかけてきてしまった、今頃は儂がいなくなって清々しているに違いない…」

「んなわけあるか、そうじゃなきゃ爺やさんだってわざわざ俺達にアンタを連れ戻すように頼むわけないだろ…」

「でも…」

「自分が悪いことしたって反省してるんだったら…城の人達に心の底から手ェついて謝ればいい、何なら俺も一緒に謝ってやる」

「…城のみんなは、儂のことを許してくれると思うか?」

「あぁ、きっとな…よし、帰るぞ!」



・・・・・



無事に若様を城へ連れ戻した俺達、早速若様は城のみんなを一同に集めてみんなに深く頭を下げてこれまでの行ないを謝罪した。


「皆の者!これまで本当に悪かった!儂はこれから心を入れ替えて立派な君主となれるように邁進いたす!だからそなた達には、それまで一緒にこの国を一緒に支えてほしい!頼む!この未熟な儂に、どうか皆の力を貸してほしい!」

「わ、若!頭をお上げくだされ!」

「そうですぞ!我々はこれからも若様の為に精一杯ご助力させていただきますので、どうか頭をお上げくだされ!」

「…これにて一件落着、だな?」

「リョーガ殿、本当に何から何までありがとうございまする…うっうっうっ」

「おいおい、泣くなよ…俺はただ若様に城に戻るように説得しただけだぜ?何もしてねぇって…」


「ウフフ、謙虚な優しいお方でありんすねぇリョーガはんは…」

「そうっすね、でもそこが兄ちゃんの一番カッコいいとこでもあるっす!」

「その通りでやんす!あれでこそリョーガの旦那なんでやんすよ!」

「ぷよ!」

「ガウッ!」


…こうして、騒動は無事に全て丸く収まったのだった。




【和の国 某所】



「何ぃ?ハルノブの誘拐に失敗?」

「も、申し訳ありません!『総帥』!」

「フン、まぁ良い…どの道城主不在の今の和の国は最早風前の灯火も同然…時は満ちた!今こそ、勝利の朝日を我ら『朝日の党』のものにする時が来たのだぁ!者共武器をとれ!勝利の朝日は我らにあり!!」


「勝利の朝日は我らにあり!!」


「いざ行かん!今こそ決着の時よ!」

「えいえいおー!!」



To be continued…





-----【To days Result】-----



朝日の党 構成員 × 5

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