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モンスターテイマー 〜リョーガと愉快な仲間たち〜  作者: 紫龍院 飛鳥
第一章 リョーガ、異世界に立つ
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第一話 リョーガと猫耳少女

【始まりの町 ニライス】



…気がつくと、俺は見知らぬ町の中にいた。

まるでゲームの中に入ったかのような中世ヨーロッパの下町といったような小さな町だ。


「ここが…異世界か」


すると、俺の服装がいつの間にか変わっていたことに気づいた

部屋着のジャージからこの世界の登場人物のような無難な服装に様変わりしている

たしかに、この世界じゃあまりジャージ姿は似つかわしくないだろうな…神様からの最低限の配慮ってやつか


ズボンのポケットに手を突っ込むと何かが入っていることに気づく、取り出してみるとそこには硬貨の入った袋と一枚のメモがあった。


袋の方は恐らく財布のようで、中には何枚か銀貨のようなものが詰められていた、当面の生活費だろうか?まぁどこの世界でも何をするにしても結局は金が必要であることに変わりないからな…

にしても、これだけだと少し心許ないな…残りは己で稼げっていうことか…正直働くのは気が進まないが致し方あるまい。


そして、財布と一緒に入っていたメモ書きを見てみると、こう書かれていた。


『もしも仕事に困ったら町の『冒険者ギルド』へ行ってみるといい』


と、だけ書かれていた。


冒険者ギルド?そういやゲームでもそんなようなのあったな…確か色々な仕事の斡旋とかをしてくれるところだったか?

討伐クエストとかお尋ね者退治とか、そんなだった気がする…なるほど、ここはそういう世界か…異世界と聞いていたから大体の察しはついていたが…


というわけで、俺は早速その冒険者ギルドとやらに行ってみることにした。



・・・・・



「ここか、冒険者ギルド…」


早速中へ入る、すると中には武装したおっかなそうな人達が沢山いて入ってきた俺を睨みつけるような視線でジロジロ見たりニヤニヤしながら見てくる者もいた。


「こんにちは、ご用件でしたらこちらへどうぞ!」


受付嬢に案内される


「ようこそ冒険者ギルドへ!受付嬢の『ルーシー』と申します、ご用件を承ります」

「あぁ、すまない…こういったところは初めてでな、詳しく聞かせてもらえると有難い」

「かしこまりました、では当ギルドについてご説明いたします…冒険者ギルドではお客様からのお仕事のご依頼を承っております、内容は簡単なものですと人探しや物資の調達ですとか、一般的なものですとモンスターの討伐ですとかお尋ね者の捕縛ですとか、依頼の難易度によってF〜Sランクに割り振られます、上ランクになるにつれて依頼料は高額になります」

「なるほど、それで?冒険者になるにはどうしたらいい?」

「それでしたらこちらの受付で登録可能です、登録しますか?」

「あぁ、頼む」

「かしこまりました、ではこちらの記入用紙にお名前と年齢、そして希望する『ジョブ』をご記入ください」

「ジョブ?」

「こちらがジョブのリストになります、この中からお選びください」


リストを手渡される、『ジョブ』とは所謂『職業』ということのようだ、リストには様々な職業の種類が記載されている。

剣士や魔術士、盗賊シーフ弓使い(アーチャー)、呪術師なんて物騒な職業もある、とにかく種類が豊富にある。


「ん?これは…」


と、一つの職業に目が止まった。


「なぁ、この『魔獣使い(モンスターテイマー)』ってのはなんだ?」

「はい、魔獣使いというのは『テイマー系』のジョブでモンスターと契約して、その契約したモンスターを配下として使役して戦わせることができます」


モンスターに戦わせる…か、ぶっちゃけ俺…生前ゲームでも色々モメたりするのめんどくさかったから基本ソロプレイ専門だったし、どの道誰とも組むつもりもなかったしなぁ…この魔獣使いってのなら育てるのは少し面倒だが自分の言うことを聞く強いモンスターを仲間にできるってことか、こいつはいい…これにしよう。


と、職業を魔獣使いに決め記入用紙に名前と年齢を書く


「はい、リョーガさん 20歳、ジョブは魔獣使いですね?では少々お待ちください」


数分後


「お待たせ致しました、まずはこちらがリョーガさんの『冒険者カード』になります」



【Fランク冒険者:リョーガ Lv:1 ジョブ:魔獣使い】



「そしてこちらが魔獣使い用の初期装備一式となります」


と、渡されたのは革製の防具と鞭、群青色の麻のマント、アイテムを入れるポーチ、そして一冊の本だった。


「この本は?」

「そちらは『冒険の手引き書』となっております、冒険に関することやリョーガさんのジョブの魔獣使いについての説明が記載されています」


所謂説明書みたいなものか、初期装備も一式タダでくれるし親切だな…


「時にリョーガさんは魔獣使いを選択されてましたけど、まだ契約したモンスターはお持ちではございませんよね?」

「あぁ、そうだ」

「でしたらまずは『スキル』を習得してからの方がいいと思います」

「スキル?」

「はい、スキルというのは冒険や戦闘の際に役に立つ能力のことです、この建物の隣にスキルを習得できる『スキルブック』を取り扱うお店がありますのでそちらでお求めください」

「分かった」


ギルドを後にして、早速そのお店に行ってみることにした。


「すまない、邪魔をする」

「おう、いらっしゃい」


店に入ると初老の男性が出迎えてくれた

店の中には所狭しと本が陳列してあった、恐らくこの本が『スキルブック』とやらだろうか?


「この店でスキルを習得できるって聞いたんだが…」

「おうそうだ、あんちゃん新人かい?見たところ、魔術士か?」

「いや、魔獣使いだ」

「魔獣使い?ほぉ〜、まだそんな物好きがいたとはねぇ」

「どういうことだ?」

「あぁ、俺も長いことここでこの商売やってっけどよぉ、ここ何十年も魔獣使いを選んだ奴は見たことないねぇ…」

「そうか…」


何十年もか…ひょっとして魔獣使いってめちゃくちゃ人気ない職業なんじゃ…?


「ところであんちゃんスキル探しに来たんだろ?初回サービスだ!ホントは一人一冊だが、あんちゃんは特別だ!二冊好きなの持ってきな!」

「に、二冊もいいのか!?しかもタダで?」

「構わねぇよ!あんちゃんみたいなテイマー系を選んだ奴は最初はみんな苦労するもんだからよ、遠慮すんな!」

「あぁ、悪いな…」

「で、どのスキルにする?」

「うーん、その前にスキルについて詳しい説明を頼む」

「あぁそうだな…スキルってのは大体『攻撃系スキル』『防御系スキル』『魔術系スキル』『支援系スキル』『補助系スキル』『身体強化系スキル』『回復系スキル』大きく分けてこの七つに分類される、このスキルブックを読んでスキルの仕組みやプロセスを理解することで習得できる」

「ふむ…ところでスキルに上限とかはあるのか?」

「特にはないが、その人やジョブによって向き不向きがあるから注意しな、あんちゃんは魔獣使いだからそうさな…魔術系スキルとか支援系スキルか回復系がおすすめだな」

「ふぅん…」


俺は一先ず店中のスキルブックを一通り吟味し、とりあえず最初に勧められた『Fランク魔術』と何かの役に立つであろう『治癒スキルFランク』を選んだ


スキルは本を読んで内容を理解しただけであっさりと習得できた。

見たことない文字だったが何故か意味が理解できた…そういや俺は日本語を話してるつもりだがちゃんと会話は成立するし、日本語で書いた文字もちゃんと正しく伝わっているしこの世界の文字や言葉だってちゃんと理解できる…心当たりがあるとしたらこの世界にくる前神様に下準備として手のひらから発せられた変な光を浴びたくらいで…ひょっとしたらあの時に何か細工をされたと思われる。

…まぁ、難しく考えるのもめんどくさいのでそういうことにしておく。


「じゃあ頑張んな魔獣使いのあんちゃん!今後ともご贔屓にな!」

「あぁ、じゃあまた…」



・・・・・



俺は早速手に入れたスキルを試してみようと思い、町の外へ出た

あわよくば手頃なモンスターを見つけてそのまま契約してしまおう。


森を適当に歩いていると、目の前に三匹の『スライム』が現れた。


スライム…古今東西初級の雑魚モンスターとして最も有名なモンスターだ


「早速来たか…悪く思うなよ!くらえ!『火球弾ファイヤーボール』!!」


そう叫ぶと、火球が真っ直ぐに飛んでいきスライムにヒットした、ヒットしたスライムは一撃で倒れた。


「フン、所詮はスライム…この程度か」


すると、もう一匹のスライムがいきなり飛びついてきた


「何だ!?うわっ!」


飛びついたスライムは俺の体にへばりつき、俺の体を包み込もうとしながら体を広げていく


(コイツ…もしかして俺を捕食するつもりか?んなろぉ…食われてたまるか!)


と、俺はへばりついたスライムを力ずくで引き剥がし力いっぱいブン投げた

ブン投げたスライムは木に激突して、ベチャリと音を立ててそのまま絶命した。


そして、最後に残ったスライムは怒っているのか体が赤み掛かっていく


「よっと!遅い遅い!」


俺はスライムの体当たり攻撃をよく見てかわす


「隙ありだ!『水刃ウォーターカッター』!!」


水の刃でスライムを真っ二つに斬り裂く


「ハァ、結構手こずったな…まぁレベル1じゃこんなもんか…少しレベルでも上げてみるか」


それからも俺は森を歩き回り、モンスターと遭遇しては戦って倒してを繰り返した。

それにしてもこの森の近辺はスライムしか出てこず、他のモンスターは一切出てこなかった…正直スライムも契約はできないわけではないのだが…ブヨブヨしてて気持ち悪いしこんなのと四六時中一緒にいるとなるとなんか嫌だ、せめて仲間にするならちゃんとした生物の姿をした奴がいい、そう思って俺は手当たり次第に森中のスライムを狩りまくった。


「フゥ…結構倒したな、どれくらいレベル上がったかな、と」


冒険者カードを確認する



【Fランク冒険者:リョーガ Lv:5 ジョブ:魔獣使い】

【『鑑定:Fランク』を習得】



レベルが一気に5に上がり、スキルも増えている

手引き書によると、レベルを上げることで手に入れられるスキルもあり、こうして手に入れたスキルは使い込んでレベルを上げるにつれて精度を増して強化されるらしい。


ちなみに今手に入れた『鑑定』というスキルは対象物のステータスを確認することができるスキル、今はまだ名前とレベルぐらいしか見ることができないが使いこなしていけば能力とかも見えるのだろうか?


…そろそろ日も落ちる頃合いとなったので一先ず町へ戻って宿をとって休もう

モンスター探しはまた明日でいいか



・・・・・



町へ戻って宿を探していると、路地裏から争うような声が聞こえる


「オラぁ!調子乗ってんじゃねぇぞ!」


こっそりと覗いてみると、三人ぐらいの男達が一人の少女をよってたかって殴る蹴るの暴行をしていた。


(やれやれ…どこの世界にも胸糞悪いことする連中はいるもんだなぁ)


俺は自分で言うのもあれだが、基本的には何に対しても無関心で無気力だが、曲がったことは大嫌いでこういった悪事を黙って見過ごすことはできないのである。


なので当然俺は男達の間に割って入り少女を助けてやることにした。


「おいお前ら!いい加減にしろよ!大の大人が揃いも揃ってガキ一人によってたかって恥ずかしくねぇのか!?」

「あぁん?なんだテメェ!?関係ねぇ奴はすっこんでろ!」

「そうもいかねぇよ、俺はな…めんどくさいこととお前らみたいな性根の腐ったゴミクズ野郎が大嫌いなんだよ」

「なんだとテメェ!喧嘩売ってんのかあぁん!?」


俺はすかさず鑑定スキルで男達の力量を測ってみる…どうやら冒険者でもなんでもないただのゴロツキのようで、レベルも2〜3相当とさっきのスライム達と差して変わらないほどの雑魚だった。


「フッ…」

「何笑ってやがんだゴラァ!」

「ムカつく野郎だ、ぶっ殺す!」


三人で一斉に俺に殴りかかってくる


「『土盾アースシールド』」


と、俺の前に土の盾が出現し攻撃を防ぐ


「い、いてぇぇぇ!」

「コイツ、冒険者か!」

「構うこたぁねぇ!あっちは一人でこっちは三人いるんだ!袋にしちまえ!」


再び襲いかかってくる、けれども俺は慌てない


「『風撃ウインドブレス』」


突風で一気に吹き飛ばす


「ぎゃひっ!?」

「な、何なんだコイツ!?」

「チクショー、顔覚えたからな!お、覚えてやがれ!」


一目散に逃げていく男達


「やれやれ…さてと」


暴行されていた少女の元へ駆け寄る


「おい、お前大丈…ん?」


俺は一瞬、少女の姿を見てハッと驚いた

というのも、その少女は一見すると15〜16歳くらいの栗色の短めの髪をした普通の少女なのだが…なんと少女には猫のような耳と尻尾が生えていたのだった。


「これは…」

「う、うぅ…」


少女は全身痣だらけで顔も気の毒なほどに酷く腫れ上がっていた…とにかく考えるのは後にしよう、まずは彼女の手当てが優先だ。


そう思った俺は少女を担ぎ上げてその場から離れた。



・・・・・



「う、うーん…」

「起きたか…」

「ここは…?」


目を覚ました少女、不思議そうに辺りをキョロキョロ見回す


「まだ寝てろ、一応治癒スキルで手当てしてあるとは言え安静は必要だ…」

「えっ…兄ちゃんが、助けてくれたっすか?」

「あぁ」

「え、えっと…あ、ありがとうっす」

「別に、大したことはしてない…」

「あ、あの…」

「ん?」

「に、兄ちゃんは…ウチのこと気味悪いとか思ったり怖がったりしないんすか?」


少し怯えたかのような声で俺にそう問いかける少女


「別に、ただ猫みたいな耳とか尻尾生やしてるし…多少不思議に思ったが怖いとも気味悪いとも思わん」

「そ、そうっすか…なんか、兄ちゃん変わってるっすね」

「そうか?」

「そうっす、大抵の人間はウチみたいな『亜人種』を見れば怖がったり気味悪がったりするもんなんす」

「亜人種?」

「知らないんすか?人ならざる一部を持った種族を『亜人種』っていうんすよ、ウチみたいな獣の耳と尻尾を持つ者は『獣人』って呼ばれてるっす」

「ふぅん…」


どうやらこの世界では『亜人種』と呼ばれる者達は人間から忌み嫌われ迫害されているらしい…

ゲームや漫画でもそう言った種族が奴隷として売られたり見せ物にされたりなんてことはよくあることだ。


「ウチは『ヤマネコ族のミーニャ』って言うっす、兄ちゃんは名前なんていうんすか?」

「リョーガだ、冒険者をやっている」

「ふぅん…そうっすか」



“グゥ〜”



すると、彼女の腹の音が鳴ったのが聞こえた。


「あっ…」

「腹減ってるんだな、これで良かったら食え」


と、俺は彼女が起きたら食べさせようと用意したパンを手渡す


「い、いいんすか?」

「あぁ、寧ろお前に食べさせようと思って買ったんだ…遠慮はいらない」

「い、いただくっす!」


パンに齧りつくミーニャ、あっという間にパンを平らげると突然大粒の涙を流して号泣し出した。


「ぐすっ…ひぐっ」

「お前、大丈夫か?」

「平気っす、ウチ…こんなに人間に優しくされたの初めてっすから、嬉しいんす」

「そうか…」

「このご恩は一生忘れないっす!何か恩返しさせてくださいっす!」

「き、急に言われてもな…あっ!」


そういえば…手引き書の魔獣使いの欄にこんな記述があったな。


『魔獣使いは人間以外であれば如何なる種族とも契約することが可能である』


…それって、亜人種でも問題ないということか?

まぁ、物は試しだ…やってみるか


「なぁ、ちょっといいか?」

「ニャ?」

「実は俺は魔獣使いでな、今は配下にする為の相棒を探している最中なんだ」

「ふんふん」

物の本(手引き書)によれば、お前達のような亜人種とも契約が可能みたいなんだ…だからもしお前さえ良ければ俺と契約してくれないか?」

「えっ?そんなことでいいんすか?モチロンっすよ!」

「い、いいのか!?」

「うぃっす!しっかり働いて恩返しするっす!」

「恩に着る…じゃあ早速」


俺は手引き書に書いてある通りに習ってミーニャと契約を交わす


「『我、ここに汝と主従の契約を交わさん…』」


彼女の顔の前に手を翳してこう唱える、すると彼女の額に紋章のような物が現れてスッと消えた。


「…これで契約できたみたいだな」

「うぃっす!これからよろしく頼むっす!リョーガの兄ちゃん!」

「フッ…あぁ!」








To be continued…



-----【To days Result】-----


スライム ×12


町のゴロツキ ×3

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