表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モンスターテイマー 〜リョーガと愉快な仲間たち〜  作者: 紫龍院 飛鳥
第二章 リョーガ、東大陸を行く
19/148

第十七話 リョーガと反乱軍


…ウルフロードへと進化を遂げたクリムの身体能力は驚くほど向上し、俺達三人(+ぷよたん)を背中に乗せて一晩中全力疾走しても息切れ一つしないほどの持久力を手に入れた。


「ふぉぉぉ!めちゃくちゃ速ぇっす!」

「ハッハッハッ!こりゃ快適でやんす!」

「あぁ、これなら次の街まであっという間についちまうな!」


…と、言ってる間に早速新しい街へ辿り着いた




【炭鉱の国 コウザ】



「ここが次の街だな」


ここは和の国に属している小国の一つ、ここの港から次の場所へ移動する予定だ。


「とりあえずまずは港へ向かう前に腹ごしらえでもするか…」


と、飲食店を探して街をウロウロしていると…


「ん?」


「ヒ、ヒィッ!!」

「ヘッヘッヘッ、悪しき売国奴に与する不貞の輩め!天誅じゃ!」


若い侍がガラの悪い男達に襲われている、俺は当然助けに入った。


「おい!お前ら!」

「あん?何ね貴様きさん、何横から茶々入れよるとや!?」

「たった一人相手に大人数でいきがってんじゃねぇよ…」

「あぁん!?何てかワレェ!?」

「ムカつく野郎ばい、死んで後悔しても遅かぞ!」


…数秒後、男達は呆気なくやられ、山となって積み重なる


「ぐへぇ〜、ば、化け物ごたぁ強さばい…」


「へへ、どんなもんっす!」

「チョロいでやんす!」

「…さてと、大丈夫かアンタ?」

「え、えぇ…かたじけのぅございます」

「しかし、何なんだコイツら?」

「コイツらは『朝日の党』と呼ばれている反乱軍でございます…」

「反乱軍?」

「はい、申し遅れました…拙者は『亀山 ドン吉』と申します…」

「俺はリョーガ、冒険者だ…アンタその身なりからしてどっかに仕えてる侍かなんかか?」

「はい、拙者は『炭谷家』、この国の城主様の家臣でございます」

「…ふーん、で?その朝日の党?っつったか?一体何なんだ?」

「それは…」


…話を聞くと、反乱軍『朝日の党』という連中は和の国に対して反旗を翻す過激派な反逆者集団である。


今でこそ和の国は平和の象徴として栄えているものの、四百年ほど前は暴力が蔓延り血で血を洗う争いばかり繰り広げられ、『蛮族の国』と呼ばれた武闘派国家だったらしい。

そんな折、ある男の活躍により争いは終結し、『蛮族の国』は『和の国 サクラ公国』として生まれ変わったという。

その男の名は『桜庭 ハルナリ』という人物で、争いを終結させた立役者となった彼はサクラ公国の新たな君主となって国を立て直したという。


だが、新しく立て直された和の国の方針に不満を持った連中が徒党を組み、和の国を滅ぼそうと目論み…以来それから四百年間ずっと和の国は朝日の党と戦っているのだという話だ。


この土地を治める『炭谷家の一族』は和の国の君主と深い関係にあり、朝日の党からも目の敵にされているのだとか…。


「なるほど、そんなことが…」

「…最近は成りを潜めていましたがここのところまた悪さをしでかすようになり、当家の者達にも牙を剥くようになったのです…それを危惧した御館様は姫様(・・)だけでも国外へ逃したのございます…」

「姫様って…あっ」


そういや、ココノエ港を出た頃にゴロツキに襲われているお姫様を助けたことがあったな…たしかその時にそのお姫様もそう名乗っていた気がする…


「その姫様だったら俺ら来る途中に出会ったぞ?」

「!?、それは真でございますか!?して、姫様は?」

「あぁ、無事だよ…道中でゴロツキに襲われてたけど、たまたま通りかかった俺が助けたんだ」

「な、なんと…神の救いとは正にこのことでございます、ありがとうございます!ありがとうございます!」


…と、涙ぐみながら俺に感謝するドン吉


「い、いや…いいって、頭上げろよ」

「ぜ、是非ともお礼を…恩返しをさせてくだされ!」

「え、えぇ〜…」


…と、すごい勢いで迫られ俺は仕方なくドン吉についていく



・・・・・



【炭谷城】



「御館様の、お成ぁり〜!」


俺はドン吉に案内され、姫様を救ったお礼をとのことでまずは『御館様』へ挨拶をすることに

俺は礼によって御館様が来るまで頭を下げて待っていた。


「苦しゅうない、面を上げよ…」

「はっ…」

「亀山よ、その者が娘とそなたを助けたと申すものか?」

「左様でございます、こちらは冒険者のリョーガ殿と申すお方でして…」

「ほぅ、冒険者とな…此度は家臣と我が娘の命を救ってくれて感謝致す、儂が炭谷城城主にしてこの国を治めておる『炭谷 コウ士郎』じゃ」

「冒険者のリョーガと申します…」

「うむ、よしなに…では、ささやかながら儂からのお礼の気持ちじゃ」


と、御館様が手をパンパンと叩くと御膳を持った侍女達がやって来た。


「さぁ、好きなだけ食べるが良い!」


そこにあったのは夢にまで見た茶碗に盛られたてんこ盛りの『白米』だった。

他にもお頭付きの舟盛りや茶碗蒸しなど豪勢な食事が運びこまれてきた。


「おぉ…いただきます」


俺は早速お米を口へ運んだ、その瞬間…懐かしの故郷の味が口いっぱいに広がり自然と涙が溢れた。


「ぐっ…うぅ…う、美味い!」

「…そ、そんなに気に入ったのかの?ま、まぁ良い…好きなだけ味わうが良い」

「はい、っと…そうだ、御館様」

「む?何じゃ?」


俺は御館様に俺が魔獣使い(モンスターテイマー)であることとミーニャ達のことを説明し、一緒に食べていいか尋ねると快く承諾してもらった。


「むふぉぉぉ!この魚美っ味いっす!」

「へい、どれも絶品でやんす!」

「ガウ!」

「ぷよ〜、茶碗蒸しプルプルして美味しいぷよ!」

「こらお前達!もう少し行儀良く食えないのか?御館様の前だぞ」

「構わんよリョーガ殿、今宵は無礼講じゃ!」

「すみません…」


少しミーニャ達にも礼儀作法を覚えさせた方がいいなこれは…



・・・・・



その夜、御館様の計らいで城に一晩泊めてもらえることとなった。


「あー、さっぱりしたでやんす!この国の『温泉』ってサイコーでやんすね!」

「あまりに気持ち良すぎてお湯に溶けちゃうところでしたぷよ…」

「ホントでやんすよ!拾い集めるの大変だったんでやんすから…」

「…さ、もう寝るぞ!明日も早いんだ、寝坊したら置いてくからな」

「はぁい、おやすみ兄ちゃん」

「おやすみ」


夜も段々と更けていき、みんなが寝静まった頃…


「敵襲ー!敵襲じゃー!!」


「!?」

「ふにゃっ!」


家臣達の声で目を覚ました俺達


「な、何事でやんすか!?」

「て、敵襲って言ってたっす…」

「チッ、ったく…めんどくさいことになりやがった、お前らすぐに着替えろ!いくぞ!」

「うぃっす!」

「へい!」


城の門の前には、大勢の朝日の党の構成員達が武装して集結していた。


「さぁ同志達よ!時は満ちたぁ!今こそ腐りきった和の国に迎合する売国奴へ天誅を下すのだ!勝利の朝日は我らの手の中にあり!」

「勝利の朝日は我らの手の中にあり!」

「いくぞ!えいえいおー!!」

「えいえいおー!!」


城の門を無理矢理突き破り、城の中へ攻め入る朝日の党


「曲者だ!出あえ出あえぃ!」


迎え撃つ炭谷家の家臣達、朝日の党の構成員達と斬った張ったの激しい戦いを繰り広げる。


「一人も中へ入れるな!一人残らず仕留めろ!」

「おうおう、派手にやってんなぁ」

「!?、お客人!?危険です!お下がりくだされ!」

「大丈夫だ、俺達も手ェ貸してやる」

「し、しかし…」

「気にすんな、一宿一飯の恩義だ…いくぜお前達!」

「うぃっす!」

「へい!」

「ガウッ!」

「ぷよ〜!」

「お客人…かたじけない!」


俺達も参戦し、朝日の党の構成員をバッタバッタと倒していく


「…おうおう、揃いも揃って情け無いのう」

「…お、『お頭』!」


お頭…?コイツらのリーダーか!?


「どいてろ…かーっぺっ!」


突如そこへスキンヘッドの大男が現れ、肩に担いでいた大きな金棒を高く振り上げる


「うおらぁぁぁぁ!!」



“ドゴォォォン!!”



地面に金棒を強く打ちつけて衝撃波を発し、いっぺんに数十人ほどを吹っ飛ばした。


「な、なんだあのバカ力…!?」

「フハハハ!参ったかドサンピンどもめ!」

「…正直反則だろあんなの、ゲータ!ぷよたん!雑魚の相手は任せた!ミーニャ!クリム!」

「うぃっす!」

「ガウッ!」


金棒男の前に立ちはだかる


「ん?何ね貴様きさん?炭谷家のモンやないみたいやな?」

「俺は冒険者のリョーガだ、テメェがコイツらの頭か?」

「あぁそうたい!おいは朝日の党 コウザ支部支部長!泣く子も黙る『クマ五郎』様ばい!」


支部…?恐らくコイツら和の国各地に支部を置いてそこで悪さしてやがんのか

古今東西悪者は必ず群れを成すってか…。


「貴様、冒険者とか言うたのぅ…炭谷のモンに雇われたかなんか知らんばってん、そっちについたからにゃ貴様らもぶち殺しちゃるけんのぉ!うらぁぁぁ!!」


「『エクス・ディフェンダー』!!」


自分に防御支援魔法をかけて金棒を受け止める

防御支援はかけたとはいえ正直ハンパない力に押しつぶされそうだ。


「兄ちゃん!このぉ!うにゃぁぁぁ!!」

「ガルルル、ウガァッ!」


クマ五郎に飛びかかる二人


「くっ!この畜生ども!」

「ミーニャ!クリム!一旦離れろ!」

「うぃっす!」

「ガウッ!」

「くらいな!『雷撃波エレクトリック』!!」


クマ五郎目掛けて電撃を放つ


「ぐあぁぁぁ!!」


(…やったか!?)


「ぐふぅ…中々やりよるのぅ、兄ちゃん」


電気に痺れて倒れるかと思いきや全然ピンピンしてやがる…Bランク級とはいえまともに電撃くらったくせに呆れたタフさだ。


「そらっ!お返しじゃ!」



“ドガッ!”



「ぐふっ!」


金棒をフルスイングするクマ五郎、俺の骨がミシミシと音を立てる…もし防御支援をしてなかったらこんなもんじゃ済まなかったろう…。


「兄ちゃん!よくも…許さないっす!『野生解放』!!」


闘気を纏って突撃するミーニャ


「フヘヘヘ、いい拳やけんなぁ…ばってん、そげん拳じゃあまだまだおいは倒せんばい!」

「にゃっ!?」

「ガウッ!ガルルル…ウガァッ!」


クマ五郎に噛み付くクリム


「くっ!離せワン公!」

「でかしたクリム!そのまま離すなよ!『炎熱鉄拳バーニングブロー』!!」


力いっぱい拳を振り下ろす


「ぐっ!これしき!うらぁっ!!」


と、金棒をめちゃくちゃに振り回してクリム諸共俺を吹っ飛ばす


「ぐっ!」

「ガウッ!」

「大丈夫かクリム!?」

「ガウッ!」

「よし、いい子だ…ミーニャ!お前もいけるな!?」

「もちろんっす!」

「一人じゃダメだ…みんなで力を合わせて一気に叩くぞ!」

「うぃっす!」

「ガウッ!」

「よしっ!いくぞ!」


各々散開していく


「へんっ!何度こようと同じこったい!ぺしゃんこにしちゃるわぁ!!」


金棒を上段に高く振り上げる


「今だ!『岩石縛り(ロックバインド)』!!」


振り上げた金棒を術で縛り押さえつける


「何っ!?」

「ガウッ!」


クリムが背中からクマ五郎に向かって体当たりする


「ぐっ!」


金棒から手を離し仰け反るクマ五郎


「くっ!ナメんな!」


拳を振りかぶりクリムに殴りかかるが、クリムはそれを避けてクマ五郎の首筋に噛み付いた。


「ぐわっ!またかこのっ…離せ!」


クリムを引き離そうとしてクリムを引っ張ったり殴りつけたりするもクリムは頑として離さなかった。


「ガルルル…」

「このワン公、いい加減に…」

「いいぜクリム、後は…俺達がやる!」

「!?」

「準備はいいな?ミーニャ…」

「もちろんっす!」


支援魔法で極限にまで筋力を強化し、力を溜め込む…それまでの時間をクリムは懸命に稼いでくれた。


「小癪な!うらぁぁぁ!!」

「これで終わりにしてやる!『炎熱鉄拳』!!」

「うにゃぁぁぁぁ!!」


俺とミーニャの全身全霊を込めた渾身の拳が炸裂し、クマ五郎の拳を打ち砕いた。


「ほぎゃぷぎぇぶごおぼろしゃぁぁぁぁぁ!!!!!」


派手に吹っ飛んだクマ五郎はそのまま塀にぶち当たって気を失ってしまった。


「お、お頭ぁ!」

「う、嘘や…お頭がやられるなんてありえんばい!」

「に、逃げるばい!」


頭を失い、烏合の衆となった朝日の党の構成員達は一目散に蜘蛛の子を散らすようにして逃げ出した。


「逃すな!追え!」

「やめとけ、もう奴らに戦う意志はない…深追い無用だ」

「…お客人」

「ふぁ〜、それより疲れた…無駄に汗かいちまったしもっかい風呂入って寝るかぁ」



・・・・・



翌日、俺達は御館様から城を守った褒美として金一封の報酬と国の特産である石炭を山のようにもらった

どの道持ち歩けないのでぷよたんの体内空間へしまった。


城を後にした俺達は、船に乗り次の場所を目指す


「もう、行ってしまわれるのでございますか…」

「あぁ、早いとこ都へ行ってコイツを届けないとな…」

「そうですか、では道中お気をつけて!そうだ!これ、よろしかったどうぞ!道中で食べてくだされ!」


そう言ってドン吉は竹の葉で包まれたおにぎりを手渡した


「ありがたくいただくよ、じゃあまたな…」


船に乗り込む、ドン吉は俺達の姿が遠く見えなくなるまでずっと手を振って最後まで見送ってくれた。


「兄ちゃん兄ちゃん!お腹空いた!」

「はぁ?もうかよ…ったくしょうがないな」


俺はおにぎりを一つ取り出してミーニャに渡す、ミーニャはそれを間髪入れずにかぶりつく


「んふぅ〜!美味いっす!」

「よかったな…見てたら俺も腹減ってきた、俺も食べよう」


俺もおにぎりを取り出して一口食べる


「ふっ、やっぱり美味いな…」



To be continued…




-----【To days Result】-----



朝日の党 構成員 ×100


支部長 クマゴロー -Win-

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ