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モンスターテイマー 〜リョーガと愉快な仲間たち〜  作者: 紫龍院 飛鳥
第二章 リョーガ、東大陸を行く
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第十六話 リョーガと洞窟探訪


…ココノエ港を立ってから三日、小さな村を発見した。


(大分歩いたな…場所でいうと今は福岡の辺りか?この先の港で船に乗って次は中国地方の辺りか…まだまだ先は遠いな)


団子屋で休憩しながらココノエ港で貰った地図を広げて現在地を確認する、しかしこの東大陸…地形から何までホントに日本そっくりだな…偶然の一致にしてもドンピシャすぎる…


(『兄ちゃん!お腹空いた!ウチにもその丸いヤツ食べさせてよぉ!』)


(『慌てんなって、ちゃんとお前らの分も用意しとくから…』)


(『むー、視覚や聴覚は共有できるのになんで味覚は共有はできないんすか…せめて嗅覚だけでも共有できたらいいのに…』)


(『まぁまぁミーニャ先輩、気持ちは分かりますが落ち着いてくだせぇ』)


「ご馳走さん…親父、団子二十本持ち帰りで」

「に、二十本?そげん沢山買いよるとやお客さん?」

「あぁ、ここの団子美味かったからな…ツレにも食べさせてやりたくてな」

「お客さん、嬉しかこつ言いよるばい!そげんこつ言ってくれたんわこの商売始めてお客さんが始めてったい!ばり嬉しか〜!ほい、団子二十本ね!」

「あぁ」

「またおいでやす!」


…村を出て人気のないところを見計らってミーニャ達を出して団子を食べさせる。


「…モグモグ、ん!美味い!美味いっす!なんすかこの食べ物!不思議な食感の丸いヤツに甘くてしょっぱいタレが絡んで美味いっす!」

「先輩のは『みたらし団子』でやんすね、オイラのは『あん団子』でしたっけ?これもまた優しい味がしていいでやんすね〜!気に入ったでやんす!」

「ぷよ〜!美味しいぷよ〜!」

「ガウッ!」


夢中になって団子を貪り食うミーニャ達


「フッ、あんま慌てて食うと喉につかえるぞ…よく噛んで食べろ」

「…うぐっ!?」

「おいおい、だから言わんこっちゃない…ほら、お茶飲め」

「…フゥ、死ぬかと思ったっす」

「誰も盗ったりなんかしねぇからゆっくり食え」

「うぃっす…ん?」

「どうした?」

「何か、こっちに近づいてくるっす…」


ミーニャの言う通り、何かの足音がこちらに段々と近づいてきた。


「…モンスターか?お前ら!警戒しろ!」


…すると、そこへ現れたのは大きな熊だった。


「熊か、モンスターじゃねぇみたいだが…やられる前にやるぞ!」

「!?、兄ちゃん待って!」

「なんだよ!?」

「この熊さん、敵じゃないっす!」

「な、何!?」

「この熊さん、あのピーチの姉ちゃんの相棒の『クマ爺』っす!」

「ピーチって…あっ!」


…リクルグ港で出会った猛獣使い(ビーストテイマー)のピーチ、この熊はそいつの相棒か。


「一体どうしたんだこんなとこで一匹で?ピーチや他の仲間はどうした?」

「グモォ!グモグモ!」

「えっ!?マジっすか!?」

「おいミーニャ、コイツ何だって?」

「ピーチの姉ちゃんがお宝探し中に大怪我して今にも死にそうだって!」

「何だって!?」

「兄ちゃん…」

「分かってる!おい熊公、案内してくれ!」

「グモ!」



・・・・・



クマ爺に案内されてやってきたのは小さな洞穴、そこには腹部から大量に出血して今にも死にそうなピーチの姿があった。


「ピーチ!」

「リョ、ーガ…?アンタ、何で?」

「アンタの熊が俺達にアンタがピンチだって教えてくれたんだ…心配するな、今助けてやる!『エクス・ヒーリング』!!」


治癒スキルでピーチを懸命に治療する、そして治療の結果何とか一命を取り止めることができた。


「…ふぅ、治った」

「うん、ありがとう…」

「例なら熊に言いな、アンタの為に必死になって俺達を探しに来たんだ」

「そっか、ありがとうクマ爺…」

「グモォ!」

「ハハ、よせってくすぐったいよ!」

「傷は塞がったが、まだ安静にしておけ…あんだけ出血してたんだ、貧血起こしてクラクラするだろうからな」

「あぁ、分かった…」

「しかし、一体誰にやられたんだ?傷の具合から見て下手すりゃ内臓抉れて死ぬレベルだったぞ…」

「実は、さ…」


彼女の話では、このすぐ近くの洞窟でお宝探しをしていたところ、中で凶暴なモンスターと遭遇してしまい返り討ちに遭ったという。

彼女は重傷を負わされ命からがら何とか逃げ出したという…


「なるほどな、それってどんなモンスターだった?」

「…あぁ、真っ黒でデカいオオカミ型のモンスターで、首が三つあった」


首が三つのオオカミ型モンスター…『ケルベロス』かよ


「そのモンスター、恐らく『アシュラウルフ』ですぷよ」

「知ってんのか?」

「はい、かなりの凶暴さを誇るモンスターで『Aランク相当』の危険度が示されていますぷよ…」

「なるほど、やっぱりこの国にもいるだな…モンスター」

「なぁリョーガ、アンタAランク冒険者なんだよな?その腕を見込んで頼みたい、アタシらの護衛をしてくんないかな?もちろん報酬は払う!」

「兄ちゃん…」

「分かった、このまま放っておいてもまたお前ら無茶し兼ねないからな…そうなったらこっちも目覚めが悪い、引き受けてやるよ、お前らの護衛」

「ありがとう!何から何まで恩に着るよ!」



・・・・・



と、いうことでピーチ達の案内でお宝の眠る洞窟へ向かう


「行っとくけどアタシ達マジで弱いからな、いざ戦いになっても足手纏いになるだけだから」

「分かってる、そもそも相手はAランク級のモンスターだ…ハナからお前は宛にしちゃいない…」

「うぅ、そっか…ハハハ」

「でも、お前の相棒達とか戦ったら強そうだけどな」

「うーん、確かにゴリちゃんはウチらの中じゃ力強い方だけど…この子臆病すぎるところがあって本気で戦えないんだよね、クマ爺はクマ爺でもう結構なおじいちゃんだから全力で戦えるほどの体力はないし、ピーちゃんは偵察とか得意だけど実際そんなに強くないんだよね」

「…まぁいいや、とにかく戦闘となったら危ないから隠れてろよ」

「分かった」


ズンズン洞窟の奥の方へ進んでいく


「…うっ」

「クゥン…」

「ミーニャ?クリム?どうした?」

「なんかこの辺り、すごくおしっこみたいな臭いするっす…クッサ」

「そうか?…スンスン、たしかにちょっと臭いな」

「これは『マーキング』って言って犬とかが自分の縄張りに自分の臭いとかをつけてここは自分の縄張りだぞってアピールする為のものだよ」

「なるほど、てことはもうここは既にアイツの縄張りってことか…」

「気をつけた方がいいでやんすね…」

「あぁ、いつ来てもいいように警戒しておけ…」


すると、その時だった…。



“グルルル…”



「!?」

「ガルルル…」

「来たな…」


奥からのっそり現れたのは体長およそ3mはありそうな巨大な三つ首のオオカミ型モンスター



【アシュラウルフ Lv55】



「出やがった!」

「グルァッ!」


地獄の底から響いてきたかのようなとてつもない咆哮を挙げるアシュラウルフ


「あ、あぁ…」


直後、ピーチは青ざめた表情で尻もちをついた


「ピーチ!、!?これは!?」



状態異常バッドステータス:恐怖】



恐怖状態で動けなくなってしまったピーチ、恐怖状態とはメンタル系状態異常の一種で恐怖で体が強張りビビって行動が一切できなくなる症状


「しっかりしろ!『キュアメンタル』!」

「はっ!アタシ…」

「危ないから下がってろ!ぷよたん!ピーチ達を守れ!」

「はい!ご主人様!ぷよ〜!」


大きくなってピーチ達の前に壁となって立ち塞がる


「俺達もいくぞ!」

「うぃっす!」

「へい!」

「ガウッ!」


「ミーニャ!クリム!両サイドの首を押さえろ!ゲータは俺と真ん中だ!」

「合点!」


それぞれの首へ向かっていく


「うにゃーーー!!」

「ガルァッ!!」


ミーニャが向かって左の首へ飛びつき連続でパンチを叩き込み、クリムが右の首の喉元に噛みついた。


「グルォッ!!」


「『散弾風ショットガンウインド』!!」

「『特製炸裂弾・三連撃ち』!!」


狙撃と魔術で真ん中の首を攻撃する


「まだまだだ!休む暇を与えるな!」


間髪入れずに怒涛の攻撃を仕掛ける


「グルォッ!!」


と、急に激しく暴れ出してミーニャとクリムは共に振り落とされる


「うわっ!」

「ミーニャ!クリム!」

「まだまだ、負けないっす!うにゃぁぁぁ!!」


今度は後ろへ回り込み不意を突くミーニャ


「くらえ!」


すると、その時だった



“シャアァァァァ!”



「うわっ!?」

「なっ!?」


突然ミーニャ目掛けて思い切り小便を引っ掛けたアシュラウルフ


「…うぅ、め、目が…」


小便が目に入ったようで悶絶するミーニャ

すると、見えなくなったところをアシュラウルフの後ろ足で蹴られて吹っ飛ばされた。


「ぐにゃっ!?」

「ミーニャ!マズイな…ゲータ!」

「お任せでやんす!」


ミーニャを救出に向かおうとするゲータ、しかしその前にアシュラウルフが立ちはだかる。


「ぐっ!」

「うぅ…痛い、痛いっす」

「グルルル…」


マズイ、絶体絶命のピンチだ…このままじゃミーニャが食われる…なんとかしねぇと


と、思ったその瞬間…ミーニャのことを守らんとしてクリムが立ちはだかる


「ガルルル…」

「ク、クリム…」

「ガルルル…ウガァッ!(師匠は…僕が守る!)」


低く唸り声を挙げてアシュラウルフを睨みつけるクリム


「ウガァッ!」

「グルォッ!」


それは、あまりに一瞬の出来事だった…クリムが動いたかと思えば次の瞬間にアシュラウルフの右の首を物凄い力で食いちぎったのだった。


「グルォッ!」


首の根本から血飛沫をあげるアシュラウルフ


「は、速い…!見えなかったぜ」

「ガァウッ!」


今度は左の首を一瞬の内に噛みちぎる、また全然見えなかった…クリムお前、そこまでしてミーニャを守ろうと…

クリムの体がアシュラウルフの返り血で更に真っ赤に染まっていく


「グルルル…グルァッ!」

「ガァウッ!」


とうとう最後の首まで噛みちぎられ、その場に倒れ伏せるアシュラウルフ


「…勝ったのか?しかもクリム一人で…」

「ハッ、ハッ、ハッ…ガウゥゥゥン!!」


勝利の雄叫びを挙げるクリム、そして次の瞬間…



“チカッ!”



突然クリムの体が眩く発光し始めた


「こ、この現象…まさか!?」

「へい、『進化』でやんす!」


「ガウゥゥゥン!!」


光が静まると、クリムの体は倍以上の大きさとなり、クリムの父親にそっくりな荘厳で威圧感たっぷりの逞しい姿に成長を遂げた。



【個体名:クリム 種族名:クリムゾンウルフロード】



「クリムゾンウルフロード…」

「ウルフ系モンスターの中でもボスクラスの実力がないと進化することができないという上級種ぷよ!」

「やったな!クリム!おめでとう!」

「ガウ!ヘッヘッヘッ!」


巨大な体でじゃれついてくるクリム


「お、おい!クリム!どけ、し、死ぬ…」

「大きくなっても、クリムはクリムでやんすね…」



・・・・・



「どうだ?もう目は大丈夫か?」

「うぃっす、もう平気っす!それにしても、クリム随分とデッカくなったっすね!」

「ガウ!」

「おーよしよし!よく頑張ったっすね〜!」

「クゥン…」

「まぁ何にせよ、これで無事アシュラウルフは倒したわけだし、お宝探し続行しますか!」

「おう!いやぁ、正直ヒヤヒヤしたぜ…」

「そうだな、っと!忘れない内に解体済ましとかないとな…ゲータ、手伝ってくれ」

「合点!」


アシュラウルフの死体の解体を済ませ俺達は先へ進む


「…ん?あそこになんかあるな」

「おっ?やった!お宝だ!」

「これが…?」


見つけたのはいかにも古ぼけた千両箱のような箱、意を決して箱の蓋を開けると…


「なっ!?」


溢れんばかりの大判小判がザックザックと詰められていた。


「やったぁ!大当たり!うっひょー!!」

「す、すっげぇっす!これ、お金っすか?」

「うーん、どうやら随分昔に使われていた東大陸のお金みたいですぷよ、今はお金としては使えませんが売れば相当な額になると思うぷよ」

「マジかよ…まさか、こんなところにとんでもないお宝が眠ってたなんてな…」

「ありがとねリョーガ!アンタ達がいなかったらここまで辿りつけなかったよ〜!」

「どういたしまして…」


それから、俺達はお宝を持ち帰って町で換金した

するととんでもない額となり俺達もピーチも開いた口が塞がらなかった。


「…それじゃあはい!これはリョーガ達の分!」


と、袋の金貨の半分ほどに分けた分を俺に手渡す


「いいのかよ?こんなに貰って…」

「いいんだよ!約束は約束だからさ!とりあえず今回はマジで助かった!改めて礼を言うよ、ありがとう!」

「いいんだって、これに懲りたらあんま無茶なとこに入ったりするんじゃないぞ?」

「へへ、そん時はまた助けてくれよな?」

「…ったく!調子のいい奴め…」

「へへ〜!じゃあアタシ達はこれで…っと、その前に」

「??」

「最後にもっとはみはみもふもふさせてぇぇぇ!!」


「「い、いやぁぁぁぁぁ!!」」


「…はぁ」



「ふぃ〜、満足満足!ご馳走様!じゃあアタシはいくね!またね!」


そう言って相棒達を連れて去っていくピーチ


「…やれやれ、はちゃめちゃな奴だな…おい、お前ら大丈夫か?」

「うぅ…また汚された、ウチあの姉ちゃん怖い」

「嗚呼、また一つ大事な何かを奪われた感じがするでやんす」

「ガフゥ…」

「………」




To be continued…




-----【To days Result】-----



アシュラウルフ ×1

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