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モンスターテイマー 〜リョーガと愉快な仲間たち〜  作者: 紫龍院 飛鳥
第一章 リョーガ、異世界に立つ

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第十話 リョーガとトリックスター


「…旦那ぁ、ビガロの野郎の居場所が割れたでやんす」

「そうか、でかした…で?どこにいるんだ?」

「へい、奴は毎晩のように部下を連れて『海神わだつみの宴』っていう酒場に通っているらしいでやんす」

「海神の宴っていうと、大通りにあったそこそこ大きな酒場だったな…」

「うっし!なら早速今夜その酒場へ乗り込んでボコボコにするっす!」

「待てミーニャ、ビガロの野郎は部下を複数連れているって話だ…正面から突っ込んだところで得策とは思えない、無闇な行動は慎め」

「うぅ…」

「あ、あの〜」

「ん?どうしたぷよたん?」

「僕から一つ提案があるんですぷよ、いいぷよ?」

「なんだ?話してみろ」

「ぷよ、では…」



“ゴニョゴニョ…”



「ほぅ、そうか…」

「へへへ、面白そうっすねぇ」

「流石は天才スライムでやんすね!」

「えへへ…」

「よし、それで行こう…早速今夜決行だ!」

「うぃっす!」

「合点でやんす!」

「ガウ!」

「ぷよ!」



・・・・・



【海神の宴】



「や、やめてくれぇ!いやだぁ!」


一人の男が店の壁に手足を括り付けられている


「さぁさぁお立ち会い!これから『人間ダーツショー』を始めるヨォ〜!」

「いよっ!待ってました!」

「やっちまえ〜!『ビガロ』さぁん!」


テーブルの上に乗ったピエロメイクの派手な男がそう叫ぶと周りの男達が囃し立てる。

このピエロメイクの男こそレイモンド一味の幹部の一人である『トリックスターのビガロ』である。


「さぁて、どこに当たるかナ〜?ヒッヒッヒッ…」


ナイフを懐から取り出して狙いを定める


「さぁ、ショータイムだ!」


ナイフを投げる、投げたナイフは男の太腿に刺さる


「ぎゃあぁぁぁぁ!!」

「ヒッヒッヒッ!イイ声で鳴くネェ〜!さぁ、もう一発…」


二投目のナイフを構える


すると、その時だった…


「…ぎゃあっ!?」

「ん?」


突然ビガロの部下の一人が倒れたのだった。


「おい、お前どうした?」


見ると、倒れた部下の背中には刃物で斬られたような傷跡があった。


「なっ!?なんだこれ…!?」


その後、同じように部下達がバタバタと倒れていく


「ぐあっ!?」

「ぎゃあっ!?」

「ぐぼぁっ!?」


「なんだ?何が起きてやがるんダ!?」


瞬く間に部下達は倒れていき、等々ビガロ一人になってしまった。


(くっ…どこダ?きっと誰かがここにいる…どこダ?どこにいる?)


辺りをキョロキョロと見回す


「!?、そこダ!!」


背後の気配を察知しナイフを投げる


「おっと!」



“ガキンッ!”



「ヒュー、流石は幹部の名は伊達じゃないでやんすねぇ…」

「なっ!?誰だ貴様!?」

「オイラの名はゲータ…お前さんの部下どもは一掃させてもらったでやんす!」

「な、何だと!?ただのリザードマンごときが…しかも貴様、どこから出てきた?」

「フッフッフッ…オイラをただのリザードマンだと思って甘く見ることなかれでやんす…」

「何ぃ?」

「まぁいいでやんす、こっからは『プランB』といきやしょう!ぷよたん!」

「ぷよー!」


と、ゲータの懐からぷよたんが飛び出す


「スライム!?」

「あ〜ん…」


と、ぷよたんの口の中から俺達が勢いよく飛び出す


「うにゃー!!」

「ガァウ!!」


「なっ!?なんダ!?」

「真打ち登場ってか?お前がビガロだな?」

「くっ…そうだ、お前達何者だ!?」

「俺は冒険者リョーガ…お前を討ち取らせてもらうぜ」

「生意気ナ…」

「フッ…」


説明しよう、今回実行した作戦の概要はこうだ…

俺とミーニャとクリムがぷよたんの体内の空間内に隠れ、ぷよたんはゲータの懐に隠れる

そしてゲータは隠密スキルでこっそりと店内へ侵入し、部下達を一掃していく。

あわよくばこのままビガロも一緒に倒すことができればと思ったがそこはあまり期待はしていない…なのでここで『プランB』

ゲータがビガロを仕留め損なった時にはゲータが懐からぷよたんを出して俺達が飛び出しビガロと真っ向から戦う。

まぁ、俺達全員で掛かっていけばビガロ一人くらいは御しきれないこともないだろう…。


「まぁいい…貴様ら全員、ここで串刺しにしてやるサ!」


シャキンと手品のように無数のナイフを取り出す


「さぁ、ショータイムと行こうカ!」


無数のナイフを投げつけてくる


「『散弾風ショットガンウインド』!!」


術でナイフを全て撃ち落とす、それと同時にミーニャ達が突撃する。


「うにゃー!」

「ヒッヒッヒッ、これでもくらえ!」


と、ミーニャ達に酒瓶を投げつけるビガロ


「うにゃっ!?」

「わっ!?冷た!?」


瓶が割れて中の酒を浴びてしまうミーニャ達


「ヒッヒッヒッ、知ってるか?酒ってよく燃えるんだゼェ?」


と、マッチに火をつけて酒を被ったミーニャ達に投げつける



“ボォォォォ!!”



「うわっ!?あちちち!!」

「野郎!『放水アクアスプラッシュ』!!」


水魔術で火を消化する


「うへぇ…助かったでやんす旦那」

「あぁ、にしてもあの野郎…こんなところに火ぃつけるとか正気かよ…」

「ヒッヒッヒッ…まだまだこれからだゼェ?」

「チクショウ…いけるかお前ら?」

「へい!」

「ガウッ!」

「ぷよ!」

「ウチも…アレ?」


ミーニャ一人おぼつかない足取りになっている


「うぅ…なんか、フラフラするっす…気持ち悪い」

「ミーニャ!まさか、さっき酒を被ったせいで酔ったのか?」

「うぃ〜、体に…力が…うぷっ」


酒を被っただけでフラフラだ…ミーニャは相当な下戸なんだな


「どの道、ミーニャは戦えそうもない…ぷよたん、ミーニャを頼む」

「ぷよ!あ〜ん…」


戦闘不能となったミーニャを空間内に格納する


「ゲータ、クリム…前衛は任せた」

「合点でやんす!」

「ガウッ!」

「よし!行け!」


「うぉぉぉ!!」

「ガァウッ!!」


二人見事なコンビネーションでビガロを圧倒していく、一方でビガロはあまり接近戦は得意ではないのか防戦一方である。


「くっ!中々やるナお前達…だが、そろそろフィナーレと行こうじゃないカ!」


すると、懐から別のナイフを取り出す

そのナイフの刃にはドロっとした緑色の液体が染みついていた。


(あのナイフ…毒でも塗ってあんのか?どの道注意しねぇとな…)


(『ゲータ!クリム!あのナイフ、恐らく毒かなんか塗ってある!絶対に触れるな!』)


念話で二人に注意するように伝え、二人は無言でこちらを向いて頷いた。


「いくゾ!えりゃぁぁぁぁ!!」


と、先程とは打って変わって俊敏な動きでナイフで斬りかかるビガロ


(しまった!まさかさっきまでのはただ接近戦が苦手なフリをした演技だったってのか!?一杯食わされたな…)


「ほらほらほら!」


必死に見切ってナイフを避けるゲータ…が、しかし


「ぐっ!」


少しナイフに掠ってしまった


「ゲータ!」

「心配ないでやんす!ただのかすり傷…っ!?」


次の瞬間、ゲータはバタリと倒れてしまった。


「ゲータ!バカな、ちょっと掠っただけで…」

「ヒッヒッヒッ、このナイフの毒は少し掠っただけでも一瞬で全身に回る猛毒ダ…あぁ、安心したまえヨ…この毒だけでは死ぬことはない…ただの神経毒だからナ」

「神経毒…体を麻痺させて動かなくさせるってか…」

「その通り!動かなくなったところをゆっくりと時間をかけて嬲り殺しにするのサァ…」

「この下衆野郎め…」

「なんとでも言え!さぁ次は誰ダ?」

「う、うぅ…だ、旦、那ぁ…」

「くっ!クリム!」

「ガウッ!」


と、ビガロに飛びつきナイフを持った右腕に噛み付くクリム


「ぎゃあっ!」

「グルルル…」

「いいぞ!そのまま噛み砕け!」

「グルルル!」

「…なぁんて、甘いんだよ!」


と、左手の袖口からもう一本の毒ナイフを取り出してクリムに突き刺した。


「キャインッ!」

「クリム!」


毒にやられ麻痺して動けなくなるクリム


「さぁ、残るはお前とスライムだけだナ…」

「ご、ご主人様…」

「…ぷよたん、お前はゲータとクリムを回収して解毒をかけてやれ」

「で、でも…」

「後は、俺がやる!」


鞭を構えて前に出る


「ヒッヒッヒッ、ペット(・・・)をやられてトサカにきたか?」

「おい、言葉を選べよピエロ野郎…コイツらは、ペットなんかじゃねぇよ…コイツらは、みんな俺の大事な仲間だ!」

「ハッ!だったらお前ら仲良く地獄へ送ってやるヨ!」

「やってみろクソ野郎…俺はもうキレてんだ!『エクス・パワード』!」


自分に支援スキルをかけて勝負を挑む


「うらぁっ!」

「ホッ!」


全力で鞭を振るうがビガロは軽快なステップでそれを避ける


「くっ!ちょこまかすんな!」

「ヒッヒッヒッ!隙ありだ!」


と、いつの間にか背後に回り込まれる


「!?」

「くらえ!」



“ズブリッ”



避けようとするも間に合わず背中を深く刺されてしまう


「ぐあっ!」

「ヒッヒッヒッ!毒で痺れて這いつくばるといい!」

「う、うぅ…」

「ご主人様!」

「さぁ、これでトドメだヨ!死ねぇ!」


ナイフを高く振り上げる


「ご主人様!」

「!?」



“サクッ!”



「ん?」

「あっ…」


…ナイフで刺される寸前、毒で痺れて動けなかったはずが何故か体が動き、ナイフを避けることができた。


「な、何!?」

「ご主人様…」

「…イッタぁ!…ってアレ?俺なんで動けるんだ?」

「バ、バカな!?何故毒が効かんのダ!?」

「いや、俺にもわかんねぇ…」

「ありえん!俺の毒が効かん人間などいるはずがない!」

「ご、ご主人様?本当に平気なんですぷよ?」

「…あぁ」

「くぅ〜!小癪な〜!絶対に殺してやる!」


怒りを露わにして真正面から突っ込んでくるビガロ


「…フン」


鞭でビガロの足を払って転ばせる


「あだっ!」


その隙に上からビガロの両腕を踏みつけてナイフを使えなくする


「これで、フィナーレだな…」


右手に魔力を一点に集中させる


「お、おい!やめろ!」

「あばよ!『炎熱鉄拳バーニングブロー』!!」



“メキリッ!”



俺の渾身の拳がこめかみにめり込む


「がふぁっ!」


悲痛な叫び声とともに戦闘不能となるビガロ


「よしっ!終わり!」

「ご、ご主人様〜!」

「おう…いつつ、背中メチャクチャ痛ぇ」

「大変ぷよ!すぐに治療しますぷよ!」

「おう、頼んだ…」



・・・・・



その後、ビガロと部下達をギルドへ連れて帰り全員纏めて牢屋へぶち込んだ。


「まぁ、兎にも角にもご苦労様ね!それにしてもレイモンド一味の幹部を二人も倒しちゃうなんて驚いたわ!」

「あぁ、まぁな…」

「あら?浮かない顔ね?どうかしたの?」

「いや、なんでもない…ちょっと今日はもう疲れたし、もう寝るわ」

「そ、そう…」


報告を終えて部屋へ戻る、部屋のベッドでは治療を終えたミーニャ達と治療し疲れたぷよたんが先に眠っている。


…それにしても、あの時なんで俺にだけ毒が効かなかったんだ?それだけが謎だな…


と、考えてみたが思い当たる節もなく謎が深まるばかりだった。


「…はぁ、もうなんでもいいや…めんどくせぇ」


考えるのがめんどくさくなった俺はそのまま寝てしまった。


…兎にも角にも、これで残すは幹部二人と船長のレイモンドとなった、これで漸く半分程度ってところか…明日からもなんとか頑張るしかないかぁ…。




To be continued…




-----【To days Result】-----



レイモンド一味下っ端 ×25


トリックスターのビガロ -Win-

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