自動販売機
昼休み教室内で友達と駄弁りながら昼食を済ませ残り時間もあと半分になった。
近くにおいてある飲み物を手に取るが持つだけでわかるほどに中身が空だ。
新しいものを買いに行くのも面倒だがこのまま喉が渇いたままのほうがもっと嫌なので重い腰を椅子から持ち上げる。
「飲み物買ってくる」
「いってらー」
財布を持ち教室から出る。購買で買うという手段もあるが昼休みの始めの方ならまだしもこの時間になってくるとあまり品数が無いため今日は自動販売機ですませることにする。
階段を下り自動販売機があるところまで移動する。
すると自動販売機の前で何やら悩んでいる人がいる。先客がいたようだ。
だんだん近づいていくとその人物が誰だか気づく。
「あれ、先輩じゃないですか!どうしたんですか?」
「飲み物を買いに来たんだよ」
「私もなんですよ、奇遇ですね」
「そうだな」
他愛のない話を交えながら二台あるうちの彼女がいないほうの自動販売機で飲み物を買う。
「先輩は何買ったんですか?」
「これか?これはだな、コーヒーサイダーだ!」
「...お金はドブに捨てちゃいけませんよ?」
「これはドブではありません!」
「いや、そんなネタ商品よく買いますね。ていうかよく販売しますねコッカコーラも」
「全国大手の飲料会社が販売してるんだから不味いわけがないだろ」
俺も初めは友達との罰ゲームでこれを買うはめになったが飲んでみるとあら不思議!何とも言えないこのサイダーの甘みとコーヒーの後味がクセになる。
俺はクセになった。買ったコーヒーサイダを開けて飲む。
「凛は何買ったんだ?」
「...これです」
そういって見せてきたのは缶コーヒーだった。しかもブラック。
「苦いの飲めないんじゃなかったのか?」
「はい、間違えて買ってしまって。新しいの買おうか悩んでたんですよ」
なるほど。だからずっと突っ立ってたのか。
「これ飲むか?」
「えぇ」
「まぁ物は試しにってことで」
「じゃあ遠慮なくもらっちゃいますね」
俺は凛が持っている缶コーヒーを受け取る。
凛は俺のコーヒーサイダーを手に取りに口を付けようとする。
だがなかなかその手は進まない。
「どうしたんだ?」
「べ、別に先輩との間接キスになるからって緊張してるとかじゃないですから!」
「見事なツンデレありがと」
「ツンデレじゃないしっ!ツンツンしてないし!」
デレ100%だったのね。
「もうずっとこっち見ないでください!恥ずかしいです!」
そういって俺をクルッと後ろ向きにした。
そして決心がついたのか「よし!」と言う声が聞こえた。
だがここで午後の授業の始める5分前を知らせるチャイムが鳴る。
「あーもう行きゃなきゃだから」
「そう、ですよね」
そういって俺にコーヒーサイダーを返してくる凛の姿はどこかしょぼくれている。俺も空いている缶コーヒーを凛に返す。
そして俺は凛が持っている缶コーヒーを指す。
「それ、さっき俺少しもらったから」
「...え?」
「じゃあもう行くわ」
そう言い残して俺はその場を後にする。
最後にチラッと振り返るとあたりをキョロキョロ見渡し誰もいない事を確認して、顔を赤くしながら手に持っているものを飲む凛の姿があった。
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